トラウマを乗り越える

夢は素直だ。その時の気持ちや願望、体験を見させてくれる。いくらか抽象的、空想的すぎるところはあるけれど、心の動きに素直だと思う。

私は新卒で入った会社をかなり早く辞めた。同期は100人近くいた気がするけど、誰よりも早く辞めた。何もかもが耐えられなかった。大きすぎる組織。前例踏襲主義。揺るがない年功序列の風土。売上、売上、ゴリ押し、ゴリ押し…。質問しても放置され、誰にも頼れず、肝が冷える思いで独断で行動して当然失敗し、怒られる日々。冷え切った職場。自分がどこにいるのかも、何がしたいのかも、何のために働いているのかも、何もかもが分からなくなり、思考停止に陥って、毎日毎日泣いていた。慢性的な腹痛と頭痛に悩まされ、死にたい以外の感情がなかった。会社へ通勤する道のりに建設の工事現場があった。毎朝わざわざその真下を通って、誤って器材が私の頭上に落ちて、そのまま死ねればいいのにと思いながら通勤していた。

このままだと一生毒され続ける。その意識があるうちに仕事を辞めた。引っ越しをして生活環境も変えた。ありがたいことに、新しい仕事もすぐ見つかった。新卒で入った会社とは何もかもが真逆の環境だった。そのおかげか、わりとすぐに気持ちは回復した。本当に助かった気持ちでいっぱいだった。

でもその気持ちは長く続かなかった。新しい生活に慣れてきた頃に、原因不明の頭痛や眩暈に襲われるようになった。無性に泣きたくて不安な気持ちでふさぎがちになっていった。

そんな日が続いていたある日の夜、夢を見た。前の家にいる夢だった。私は当時の家のベッドで寝ていた。夢の中で起きた。体が動かなかった。仕事に行きたくない、でも行かなきゃいけない、でもこんな状態じゃ行けない、動けない…。ベッドの中で固まったまま孤独に葛藤を続けていたら、急に目の前が真っ暗になった。真っ暗な闇の中から、白い靄が浮かび上がってきた。その靄は鋭い目と口の形になり、強い口調で繰り返し私に問いかけてきた。なんでお前はここにいるんだ、なんでお前はここにいるんだ、早く戻れ、早く戻れ…。

現実の私は目を覚ました。泣いていた。その日は恐怖でどこにも行けず、ベッドで泣いて一日を終えた。

最近読んでいる本です。タイトルの通りモラハラに関するもので、多少まわりくどいというか、重複してる?みたいなところが多いなと感じることがまあまああるけど、考えさせられることや思い出されることが多くて、私は何度か泣きました(私はこういう本で泣いてしまう)。

この本の最後の方にPTSDに関する記載があったんですが、特にその部分が完全に私の経験と重なってしまい、この気持ちは文字にしなきゃ…と思って急遽noteを開きました。

 被害者には嫌な思い出が残っているが、それがはっきりと意識されているものであればそれほど問題はない。だが、無意識に押しこめられていた嫌な記憶がその状況とともに、突然、脳裡によみがえってくることがあるのだ(これは比較的短期の間に受けた家族におけるモラル・ハラスメントの場合に起こりやすい)。多くの被害者はこの現象を経験し、だが、それに耐えている。
 反対にそれを忘れようとすると、精神的、身体的な障害が遅れた形で表れることもある、これまでは、苦しみはまるで他人の心に存在していたかのように、あることはあっても被害者のところまでは到達しなかった。それがモラル・ハラスメントから解放されたいま、被害者のもとを訪れるのだ。

モラル・ハラスメント―人を傷つけずにはいられない/マリー=フランス イルゴイエンヌ

ああ、あれはトラウマから見た悪夢だったんだ。分かっちゃいたけど、改めて気付かされて、今になってなんとなく気持ちが楽になった。やっぱりあれはトラウマだったんだ、やっぱりあれは悪夢だったんだ。被害の最中の出来事ではなかったけど、遅れてやってくることもある、そういうものだったんだ。認めてしまったら、自分がただ辛くて悲しくて苦しくて惨めになるだけだと思って避けていたことだったけど、今やっと受け入れられた気がする。

いま考えても本当にしんどい経験と記憶だったなぁと思う。若かった、未来に希望を持ちすぎていた、それだけの話だったのかもしれないけど、そうだったとしてもそれで片付けたくない。美化も風化もさせたくない。忘れたいけど、繰り返さないためにも忘れちゃいけない、そのために当時のありのままの経験や気持ちをありのまま自分の中に留めておく必要がある。

当時は本当につらかったし、乗り越えるのには年単位で時間がかかったけど、いまはなんの後遺症もないし、生きていて本当に良かったなと思います。言葉が陳腐すぎるかな?確かに思い出して心が痛まないことはないけど、トラウマとは別物で、そういうことがあった事実に胸が痛むという感じに近い。

私は完全に抜け切ったと言えるけど、当時の私みたいに辛い思いを今してる人もいるはずだし、その状況から脱却したけど、どことなく気持ちが晴れないという人もいるはず。救いになるか分からないけれど、いつか分かってもらえればいいなあと信じて、最後はポジティブな言葉で終わりたいと思います。

被害を受けた経験は、時間がたっても忘れられることはない。だが、その影響は次第に小さくなっていく。十年後、二十年後になって、加害者の姿が頭にちらついて苦しんでいるという被害者はまずいないと言ってよい。

モラル・ハラスメント―人を傷つけずにはいられない/マリー=フランス イルゴイエンヌ

お互い知らない存在でも、私が知らないあなたでも、ただ生きていてほしいよ。


※1時間ぐらいで書き上げてそのままの勢いで上げているので内容ごっちゃごちゃです乱文ごめんなさい


おわり

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