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ノロが出た

久しぶりの「たたら製鉄note」を図らずも更新することに。

なんと、我が家の庭からノロが出てきたのだ。

誰がどう見ても、経年変化で表面が酸化したノロそのもの。

ノロというのは、砂鉄から玉鋼を精製する際に出る金属を含む不純物の塊で正式名を鉄滓(てっさい)やスラグという。ノロ、ケラ、金糞という通称名で呼ばれることが多く地名に残っている所もある。

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【3年前の「たたら製鉄講座」でのノロ出しの様子】
木炭と砂鉄を連続して交互に投入し加熱した後、炉の釜土や砂鉄に含まれるガラス質や鉄以外のもの(チタンなど)が結合したノロを最初に炉から出す。この最初に炉から溶岩のように流れ出るノロを「初花」(はつはな)ともいい、製鉄を司るとされる金屋子神(女神)に供えたという。

ちなみ、韓国語で「初め・ひとつ」のことを하나(はな)という。製鉄技術も大陸から持ち込まれたとすれば、「初花」하나(はな)に繋がっているような気がしてならない。

では、なぜ「たたら製鉄」をした時に出る言わば産業廃棄物が我が家の庭に転がっていたのか。

仮説は二つある。

①盆栽や庭の飾り石として使う場合があるらしい。
②ノロに含まれる鉄分を利用するために、畑に埋めたケースもあるらしい。

①の説は、個人的には大いにあると思っている。
我が家に住んでいた方は、たくさん石を集めていたし、盆栽や能面打ちを趣味にする位の趣味人だったからだ。

②の説も、可能性は無くはないと思う。
ただ、もう少しまとまった量が出てこないと何とも言えない。

いずれにせよ、ここの空き家の住人に決まるのが私でなかったらノロは密かに庭の片隅で静かな時を過ごすことが出来たはず。

拾い上げられシゲシゲと眺めては「ノロだ!ノロだ!」とはしゃぐ住人によって、古の眠りから起こされた気の毒なノロ。

仲良くしようぞ。


<たたら製鉄に関してはコチラ↓>


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