小池達也

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最近の記事

「息の詰まりそうな子どもと立ちすくむ大人のマガジン」その後(3) 抑圧の構造と優しさについて

写真は、近所の子が描いてくれた、僕のイラスト。(内容と関係ない) タイトルからもお分かりの通り、この本の大きなテーマの1つは「抑圧」です。序章から第5章までは、地域の人々の声をベースに、ぼくたちの目の前に実存する、子どもへの抑圧のラインナップを紹介していくような構成になっている。扇動でもなく、センセーションでもなく、淡々と構造を暴露していく。第6章でようやく一息付くための実践が提示され、解決の方向性が提示されたように見える。 しかし、終章では「ここで(あなたに対して)具体

    • 「息の詰まりそうな子どもと立ちすくむ大人のマガジン」その後(2)意見を言おうとすること

      先日発行した初の書籍「息の詰まりそうな子どもと立ちすくむ大人のマガジン」の販促記事、第二弾です。 現在、本巣市根尾地域の小中学生は合わせて43人。彼らが通う小学校と中学校は2022年から「義務教育学校」として統合されている。保護者の一人にインタビューした内容を、マガジンに掲載した。引用して掲載する。 語り手の意見を(やや乱暴に)まとめると、「私は、ただ知りたいことや不安なことがあり、それらを対話によって相手に伝えたい。私の希望や不安のすべてを解消したり、学校運営に反映する

      • 「市民社会におけるコミュニケーションのあり方を考えるフォーラム」開催によせて

        土谷 和之さんと直接会ったのは一度だけだし、 その時には、ほとんど話をしていない。 2018年の年始に、ぼくと土谷さんの双方が関係する NPOで不祥事が起き、それ以降、メッセージを交換してきた。 その過程で、土谷さんが他のNPOから起訴されたことを知り、 話を聞いたり、陰ながら応援をしてきた。 自分が関わったことで、何かが解決したわけではない。 やりたい事かと言われたら、そうじゃないと思う。 一銭にもならないし、むしろ持ち出しが多すぎる。 楽しい気分になることは少ないし、リ

        • 「息の詰まりそうな子どもと立ちすくむ大人のマガジン」その後(1) 達成度評価について

          先日発行した初の書籍「息の詰まりそうな子どもと立ちすくむ大人のマガジン」、おかげさまで、ゆるゆると出荷が続いております。ありがたい…。 感謝の意を込めて、最近の出来事や書き終わってからのエピソードをぼちぼち書いていきます。 「マガジン」では、大人の社会は子どもを守るどころか、子どもを過度に競争的なシステムに追いやっている、ということを書いた(第4章)。学習到達度を把握して自己改善することが目的のはずの定期テストのために、子ども自身が「もうぼく、限界です(p.34)」と吐露

        「息の詰まりそうな子どもと立ちすくむ大人のマガジン」その後(3) 抑圧の構造と優しさについて

        • 「息の詰まりそうな子どもと立ちすくむ大人のマガジン」その後(2)意見を言おうとすること

        • 「市民社会におけるコミュニケーションのあり方を考えるフォーラム」開催によせて

        • 「息の詰まりそうな子どもと立ちすくむ大人のマガジン」その後(1) 達成度評価について

          ネットワークビジネス拒否宣言

          1.ネットワークビジネス(=マルチ商法)とは、商品の購入と勧誘・販売を通じて、生産的行為をしていない仲介者よる中抜き(ネットワークビジネスにおいては「権利収入」「紹介報酬」等と呼称される)の連鎖と拡大を目指すビジネスモデルである。 2.私は、自分が関わるあらゆるNPO活動、地域活動、事業活動において、「一切の」ネットワークビジネスを拒否する。 3.私は、自分が関わる活動の人間関係を利用してネットワークビジネスを行う者を発見した際は、その停止を求めて厳重に抗議するとともに、

          ネットワークビジネス拒否宣言

          mixed book review:夜が明ける(西加奈子)×無理ゲー社会(橘玲)

          【mixed book review】 現代の貧困がテーマの2作品をmixしてレビューします。 No.1 夜が明ける/西加奈子 2名の主人公の、高校時代から30代前半までの半生を描いた作品。とにかく、この2名の主人公が、実際の同級生を思い出してしまうくらい、本当にいる人物のように感じる。僕が同じくらいの年齢なので、余計にそう感じるのかも。で、そういう登場人物たちが、少しずつ、苦しい状況に追い込まれていく。読者(神)の視点で「30年くらい生きていれば、誰だって苦しい時もある

          mixed book review:夜が明ける(西加奈子)×無理ゲー社会(橘玲)

          辺境の思想生活/中原淳

          (査読も含め)4週目を読み始めた。 ずっと、手元に置き続ける一冊になると思う。 「辺境の思想生活/中原淳」 まだ3月ですが、断言できる。 今年一番、読まれてほしい作品です。 よだか総研の初出版作なことも理由だけど、 この認識を共有して、議論できる仲間がほしい。 何より、多くの人が必要とする内容だと思う。 もし、あなたが一度でも、 自分自身への自信が損なわれたと感じたり、 競争に勝利しなければ自分の未来がないと思ったり、 専門家の巧妙な手口や資料やポジショントークを疑ったり

          辺境の思想生活/中原淳

          mixed book review:石の花(坂口尚)×伊勢崎賢治氏インタビュー(長周新聞)

          【mixed book review】 ロシア・ウクライナ危機について、「読んで良かった」と思う2作品を、mixして紹介します。 1作品目:石の花(坂口尚,1983-86年の作品) 第二次世界大戦においてナチス独軍から侵攻されたユーゴスラビアの若者を描いた戦争群像劇。主人公のクリロは学生だが、戦禍に巻き込まれる中でパルチザン(ユーゴスラビア人民解放軍)に所属し、抵抗を続けることになる。生きるためには、守るためには、誰かを殺さなくてはいけない。凄惨な状況が続く中で、クリロは

          mixed book review:石の花(坂口尚)×伊勢崎賢治氏インタビュー(長周新聞)

          日記 2022/03/14

          大阪ボランティア協会が発行する市民活動総合情報誌『ウォロ』、最新号のテーマは「市民団体の不祥事」。縁あって編集部からお声がけいただき、特集チームに参加しました。 記事も1ページ、執筆しています。「NPOのビジネス志向と倫理」研究会での議論を踏まえて、NPOと倫理の関係について現状と、あるべき状態を書きました。 こういう内容のことを書いたり話したりすると、自分自身にもブーメラン的に返ってくるのでしばらくの間、悶絶していました。それくらいの意味を含んだものには仕上がっています

          日記 2022/03/14

          自治は誰が担うのか問題と、「悲劇の名望家」の昔話

          所俊邦さんに薦めてもらった、「日本的自治の探求ー名望家自治論の系譜ー」を読んだ。明治維新から明治20年代にかけての20年間は、地方議会制・地方自治体制・地方税制などが導入され、地域自治に関する言論が盛んに展開された。まだ「市民」や「自由」といった概念も存在しないこの時代に、福沢諭吉をはじめとする当時の知識人や政治家等は、どのような地域自治論を主張していたか、もっと有り体に言うなら「誰が自治を担うのか」ということが書いてある。 この本が自治の担い手として着目しているのは、本の

          自治は誰が担うのか問題と、「悲劇の名望家」の昔話

          田舎で東京を思い出した話

          朝、鉛色に赤いラインの入った電車が、予定より20分も遅れてホームに到着する。ドアが開いたが、足を一歩踏み入れる隙間もないくらい人がぎっしり乗っていて、誰も降りてこない。数秒の空白を置いてから、ホームで並んで待っていた10人くらいの人々が、1つのドアめがけて押し寄せていく。 膨れ上がったバックパックに荷物を詰め込むように、自分を車両になんとか押し込もうと踏ん張り身体をねじる。ホームには1車両に1人の駅員がいて、ドアから溢れそうになっている人の尻や腰を、外側から押し込んでいる。

          田舎で東京を思い出した話

          自治について

          自治とは何か?を考えたくて、読んでみた。 けど、選書を間違ったかな、、という印象。 期待した「地方での自治論」的広がりはなく、 「地方自治体論」としての入門書だった。 まあ、英語タイトルで気付けって話だが。。 自治を辞書で引くと、こう書いてある。 「自らのことを自らの手で処理し治めること」 https://kotobank.jp/word/自治-73790 この本では、住民が自治の主体になる場面は 主に「選挙と住民投票(四章)」だと書いてある。 これ、本当にそうなのか?

          自治について

          無題

          何者かにならねば とか 何かを成し遂げなければ とか 思わなくなったのは いつからだっただろう 世界のうちの切り取られた一部を だれかの責任と断定することで 自分から切り離したいと 思えなくなったのは いつからだっただろう それでいて あるがまま、ではなく なすすべなく、でもなく 必ず突破口があると 信じられるようになったのは いつからだっただろう 自分のなかの世界が 自分のそとの世界に 侵されなくなったのは いつからだっただろう ーーー もしかして 風が吹いたら

          (選挙と)優しい嘘

          先週、ぼくがファシリテーターをやった、 政策立案ワークショップの動画。 短く編集されて、論点がわかりやすい。 (BGMがちょっと、気になるけど…) フル動画はこちら。 横井さんも冒頭で言っていたけど、 住民のニーズはどんどん多様化するのに、 行政のできることは、どんどん減ってる。 だから、市民の主体的な行政/政治への 参加が、これからもっと必要になる。 ニーズを顕在化させて、共有して、 議論を深めて、政策にして、提案する。 市民の間で、共同で、学習や実験をする。 市民が

          (選挙と)優しい嘘

          あなたがSROIを高めるために今すぐできる9つのこと

          ・短期的成果を生む事業にだけ取り組もう ・短期的成果を生む当事者だけ支援しよう ・支援に時間や工数がかかる当事者は拒絶しよう ・市場価値に置換しにくいことはやめよう ・外部不経済を生み出すことへの躊躇をやめよう ・当事者の状況に関係なく、就職や進学させよう ・当事者やスタッフなどの希望は無視しよう ・人件費はコスト。極限まで削減しよう ・団体内部での対話や議論もコスト。全部やめよう まさに、上のリストに当てはまりそうな SROIの使い方をしている事例を見てしまって、 かなり

          あなたがSROIを高めるために今すぐできる9つのこと

          日常をつくる

          昨年末から揖斐川町は選挙が続いている。先週も、家の近くを走る選挙カーが、こんなことを言っていた。「変えなくては変わらない今、変えなくては変わらないんです、変わるために変えるんです」 何を言っているのか、よくわからなかった。どうしても現状を変えたいと思っている人が、選挙カーに乗って叫んでいる、ということは、わかった。でも、その人と自分が、同じ目的や利益を共有しているのか、ということは、わからなかった。 正直に言うと、最後の「わからなかった」の部分は、理解が及ばない、というよ

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