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PMが未経験業界の介護・福祉業界のドメインを理解した方法

2022年5月に介護・福祉業界をドメインにしている(株)エス・エム・エスに転職しました。カイポケという介護・福祉事業所向けSaaSサービスで、相変わらずPM(プロダクトマネージャー)をさせてもらっています。

今さらながらエントリー記事ということで、未経験の領域(ドメイン)でPMに着任してからやってきたことを紹介します。介護・福祉業界に限らず、バーティカルSaaSではドメイン理解が多分に求められるはずなので、似たような立場にいるPMの方などに少しでも参考にしていただければと思います。

はじめに:複雑な介護・福祉の制度

私が担当している「カイポケ」というサービスは、介護・福祉業界で多くの事業所の方々に使われているバーティカルSaaSです。私はリクルートでは住宅領域、LabBaseでは理系人材領域に携わってきたのでバーティカルという意味では同じなのですが、実際に入社して介護・福祉業界では以下のような特徴があることが分かりました。

  • 1人1台のPC付与が当たり前ではない(施設で共用のPCも)

  • 要介護者や障害者の支援をしながらプロダクトを操作する必要がある

  • 介護保険請求を行うソフトであり、国の法制度に沿ってプロダクトを作らなければいけない時がある

これらの制約条件や前提条件を元にプロダクト開発を行うので、キャッチアップする情報も多岐にわたります。エス・エム・エスはホワイトな企業であるため(笑)、残業時間を長くしてインプットをするということもできず、限られた時間の中で早急に自立できるようにキャッチアップを進める必要がありました。

具体的なキャッチアップ方法

ここからは具体的に業界ドメインをインプットしていった方法をご紹介します。もちろん前任者からの引き継ぎや、会社での研修なども実施していただきました。その上で、プロダクトをより成長させるために、深いインプットが必要と感じていたので、+αとして自ら行ったことをここでは紹介します。

社内の資料を漁り、過去の検討経緯を知る

エス・エム・エスは歴史のある会社であり、過去に実施した調査・レポート・ユーザーインタビュー録・事業計画・プロダクトの施策・リニューアルの結果など多くの資料が存在しています。すべてを見るのは難しいですが、共有フォルダのフォルダ構成を見たら、大体どこにどんな資料があるか検討がつくでしょう。アクセス権をつけていただける範囲で以下のような資料にはざっと目を通しておくと良いでしょう。

  • 経営会議の議事録(事業やプロダクトの重要な意思決定の経緯が分かる)

  • プロダクトのリリース(どのような施策をどんな背景で実施したか)

  • 事業・プロダクトのKPIレポート(できれば過去からの変化を見る)

  • 市場調査、ユーザー調査のまとめ資料

顧客訪問をひたすら行い、肌感をつかむ

介護・福祉施設に直接訪問して現場の様子を観察

私が最も力を入れたのは顧客訪問で、介護・福祉事業所に直接お邪魔し、現場の雰囲気を掴ませていただきました。介護・福祉事業所は、どういった場所でどういった仕事をしているか、利用者はどのような様子かまで明確なイメージは持てていませんでした。

そのため、カイポケをご利用いただいている一部のお客様に直接お電話し、「カイポケを良くするために訪問させていただき、お仕事や事業所について教えてください」とお願いをしました。ほとんどのお客様がありがたいことにご協力いただき、月10件程度訪問をさせていただくことができました。

訪問時は利用者を支援している様子を観察させていただいたり、管理者・スタッフの方々にインタビューさせていただいたり、事業所で利用しているツール(スマホアプリや業務日誌などの紙)を見させてもらいました。この過程があったことで、プロダクトを操作している以外の業務まで考えることができました。

マンガ・書籍でさらに情報をインプット

業界本も今も継続しながらですが、読んでいます。ただし、介護業界の本は制度などに特化した本もあり、少し眠気を誘うこともあります。導入時は『ヘルプマン』のような漫画から気軽に読み始めました。

漫画で学ぶシリーズは介護にも進出しています。介護業界の中心的な役割のケアマネージャーの仕事を理解することで、介護業界全体が見渡せるようになります。こちらも漫画で読むことで、手軽にインプットができるのがありがたいです。

漫画でインプットが徐々にできていったら、介護保険の仕組みを理解する概説本がおすすめです。先に紹介した漫画でインプットが進んでいれば、こちらの本もサクッと読めるでしょう。

毎日介護・福祉関連のニュースを読む

Googleアラートで10キーワード程度登録

漫画・書籍で学ぶことも大事ですが、日々環境が変わる中でプロダクトも対応していく必要はあります。特に介護・福祉業界は、国や自治体の制度によってプロダクトを変えざるを得ない時があります。そのため、最新のニュースは追っていく必要があります。私が実施していることの1つはGoogleアラートで「介護 DX」「介護 政策」などのキーワードを登録して最新ニュースが毎朝届くようにしています。毎日10分程度眺めるだけでも、積み重ねると業界のことが少しずつ分かってきます。


厚生労働省のHPには統計データや最新の委員会の議事録・資料を共有

また国の各省庁には最新の政策に関する調査レポートや、統計レポートを多数配置してくれています。調査に時間やお金をかけなくても、既に調査してくれたものが無料で手に入るのは非常にありがたいです。これらの情報を読んでいくと、今後の日本国の介護・福祉政策などの輪郭が分かってくるので重宝しています。

まとめ

今日はエス・エム・エスに入社して、未経験の介護・福祉事業所のドメインを習得するにあたり、私自身が取り組んできたことをご紹介しました。ドメイン習得にあたり、同僚の田村には大変お世話になり、業界理解をする上でキーマンや書籍のご紹介をしてもらいました。

ドメインエキスパートPMとして活躍する田村のnoteに、より詳細な介護業界のキャッチアップ本紹介がまとめられているので、介護についてもっと知りたいという方はそちらをお読みください。


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