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【クリマvol.49③】即売会で押さえるべきマインドセットと工夫ポイント

 先日(もうだいぶ前ですが汗)、12月9日(土)/12月10日(日)、クリエイターズマーケットvol.49がポートメッセなごやで開かれました。
 出展されたクリエイター様がた、本当にお疲れ様でした!

 今回は、クリマに出展されていたクリエイター様がたからアンケートを取り、その結果からクリマについて分析。また、即売会でのマインドセットや工夫ポイントについて、水谷なりに考えてみたことを共有します!


先にまとめ!!

 今回は長文記事になっており、箇条書きの項目も多いので、先にポイントをまとめておきます。

【クリマのアンケート結果】
▼Q1:クリマの良さ

①圧倒的なお客さんの数(過半数の方が回答)
②お客様の幅広さ
③お客様との距離が近い
④参加クリエイターの多様性

▼Q2:クリマの惜しい部分
①特になし(半数程度の方が回答)
②じっくり見てもらいにくい
③搬入や場所の問題
④ミニブースの狭さ

▼Q3:他イベントとの違い
①イベント規模の大きさ
②家族連れなど多様な層への宣伝のしやすさ

【即売会のマインドセット】
●即売会は相対評価である
●「売れなかった ≠ 実力がない」

【売れない!の対策】
●事前にどれだけ宣伝できるかが肝
●「誰が来るところ」に「なにを売るのか」を考える
●一目でコンセプトがわかるものを用意する
●リピーターになってもらえる仕掛けを作る
●「購入したら、どのような袋になにを入れてくれるのか」の見本を展示する
●子どもでも手に取りやすい高さに、ポップなものを置く
●参加者として、イベントを回ってみる

 では、本題に入りましょう!

クリマ出展者様へのアンケート結果

 このたび、さまざまなクリエイター様にお会いした中で、いくつかの簡単なアンケートを取ってみました。

【質問】
Q1:クリマのどこが良いと思いましたか?
Q2:クリマの惜しいと感じる部分はありましたか?
Q3:他の即売会イベントと比べて、どのような違いを感じましたか?

 結果は、下記のようになりました!
※ご回答いただいたクリエイター様の個人名などは伏せております

【Q1:クリマの良さ】
①圧倒的なお客さんの数(過半数の方が回答)


②お客様の幅広さ
●お客さんの層が幅広く、多くの年齢層に作品を見ていただける
●会場が広くて規模も大きく、来場者も多くて賑わっていたのが良かった。愛知県なので来場者・出店者共に関西や関東方面からでも足を運びやすく、東海地方最大規模というのも魅力的だと思う

③お客様との距離が近い
●絵の感想をその場でいただけること。作品のリクエストなどもいただけるので、参考になる
●お客様とのやり取りしやすい距離感だと感じる
●自分の作品が好きな方に直接お会いできるところ
●ブースで足を止めて下さり、「可愛い」「これ欲しい」という言葉が直接聞けることが、イベントの醍醐味だなと思う

④参加クリエイターの多様性
●さまざまなジャンルの作品を拝見でき、他のクリエイターの方ともお会いできるところ
●出展者の作品ジャンルが様々でものづくりの活気を感じられる

⑤その他
●フードエリアも充実していて、そこもひとつの楽しみです

【Q2:クリマの惜しい部分】
①特になし(半数程度の方が回答)


②じっくり見てもらいにくい
●一見さんから興味を持ってもらいにくい
●立ち止まってよく見てもらいにくい
●出店数も来場数も多いため、ゆっくりとみてもらうことが難しい
●興味を持たれるまでが難しい。そこは完全に個人の技量次第なので毎回現実を見ている感じ

③搬入や場所の問題
●ブースの位置によってライディングに結構差がありそうなので、設営時に考慮しておかなければいけない
●会場近くに宿泊施設が無いので名古屋駅周辺に宿泊したが、会場まで距離があって少し不便

④ミニブースの狭さ
●今回はミニブースだったが、後ろが少々狭い

⑤その他
●欲を言えば年5回くらいやってほしい

【Q3:他イベントとの違い】
①イベント規模の大きさ

●取り扱うジャンルの幅広さと会場の広さ! みっちりブースが詰まっているので一日あっても足りない! 出展側でも周っても楽しめる素敵なイベント!
●小規模なイベントに比べて規模が大きく、一度にたくさんの作品を拝見でき、食事なども充実している

②家族連れなど多様な層への宣伝のしやすさ
●イラストや漫画・アートに特化したものではなく、ハンドメイドのアクセサリーや小物雑貨・ぬいぐるみなど販売されている方も多いので、一般の方への来場のお誘いがしやすいです。 とても雰囲気の良いイベントです。
●マンガ系の即売会に出ることが多いので、クリマは家族連れが多くて賑やかだなあといつも感じる
●アート色が強く尖った作品も多い「デザインフェスタ」と、アットホームな雰囲気でアクセサリーや普段使いできる作品が多い「大阪アート&てづくりバザール」のちょうど中間のような雰囲気で、普段あまりアートに触れない人も、面白い作品を求めている人も満足できるようなイベントだと感じた
●クリエーターズマーケットはアクセサリー出展者が多いので、それを見に来てる人が多い印象で、デザインフェスタはイラスト出展されてる方が多いのでそれ目当ての人がクリマより多い印象

③その他
●他のイベントよりもリピーター様が多い

 まとめると、クリマの強みはやはり①大規模、②お客様が多様、③出展者も多様、④家族連れの方にアプローチしやすい、などの点でしょう。
 
 逆に、惜しいと感じたポイントは、①じっくり見てもらいにくい、②搬入や場所の問題など、クリマだけでなく多くの即売会につきものの難点が目立ちました。

「即売会で売れない!」の対策

 ちょこっとだけですが、即売会でよくある悩みについて、少し考えてみましょう。
 クリマも含め、大規模なイベントで必ず発生するのは、以下の二点かと思います。

★じっくり見てもらいにくい
★自信作を持っていったつもりだけど、なかなか売れなかった

 ご経験された方、多いのではないでしょうか? このあたりは難しい問題ですよね汗
 これらについて、忘れないほうがいいことや、打てる対策はあると思います。あくまで私見ですが、少しだけお付き合いください。

【即売会のマインドセット】
●即売会は相対評価である
●「売れなかった ≠ 実力がない」

【売れない!の対策】
●事前にどれだけ宣伝できるかが肝
●「誰が来るところ」に「なにを売るのか」を考える
●一目でコンセプトがわかるものを用意する
●リピーターになってもらえる仕掛けを作る
●「購入したら、どのような袋になにを入れてくれるのか」の見本を展示する
●子どもでも手に取りやすい高さに、ポップなものを置く
●参加者として、イベントを回ってみる

 まず、マインドセットから見ていきましょう。

▼即売会のマインドセット「即売会は相対評価であり、売れなかったからといって、実力がないわけではない」

 即売会イベントの規模が大きく、出展者数も多い場合、お客様の数も半端ではありません。人も流れやすくなります。

 ここで、当たり前のようで忘れがちなのが、「即売会は相対評価である」ということ。

 たとえばクリマは、出展数が約2,000。当然ながら、すべてのクリエイター様をじっくり見て回ることは不可能であり、お客様がグッズを購入できる予算も限られています。

「知り合いの方が出しているグッズを買って、事前に調べたブースもチェックして、あとは気になるところを……」なんてやっているうちに、お金は尽きます。
 ぼく自身、あっという間に予算を溶かしたので、ほぼ間違いないと思います笑

 お客様が「あれも気になるし、これも気になるけど、どれか選ばなきゃいけない……!」という、ある種の困った状況にあることを念頭に置いておきましょう。

 また、即売会に限らず、ぜひ忘れないでほしいことがあります。

「売れなかった ≠ 実力がない」です。

 ぼくはシナリオライターとして、たった数ヶ月でサービス終了してしまうゲームをいくつも見てきました。
 ですが、まったく実力がない作品というのは「まず世に出ない」ものですし、どんなに過疎っていたゲームでも、サ終のときに惜しんでくれるユーザーさんは必ずいました。

 売れなかったからといって、必ずしも実力不足なわけではないのです。
 もちろん、クオリティは売上に関わってきますが、「作品のクオリティだけで売上が立つ」わけではありません。

 今回のクリマで、手応えを感じられなかったクリエイター様もいらっしゃるでしょう。
 しかし、一方で「あの人の作品、めっちゃほしかったのに、時間とお金がなかった……」という一般参加者の方も必ずいます。

「自信作を出したのに売れない」というのは、プロアマ限らずツラいことですが、これだけを理由に今後の活動をためらってしまうのは、非常にもったいないです。

「作ることをやめたら、『まだ見ぬファンの方』が泣く!!」と考えるくらいでちょうどいいと思います。

 ぼくも自信がないほうなので、「自信を持ってください」なんて言える立場ではありませんが、ないよりはあったほうがいいので、ぜひオススメしておきます!!

 ……とは言ったものの、せっかく出展するのなら、売れた方がいいのは間違いありません。出展、制作、搬入……どれもこれも、タダではないのですから。
 というわけで、対策を考えてみましょう。

▼対策①事前にどれだけ宣伝できるかが肝

 ひとつ、お聞きします。
 出展前に、どれくらいの宣伝をしていますか?

 即売会への出展者様は、ご年齢、性別、ご経歴、作風、SNSのフォロワー数など、どれも千差万別。フォロワー数や知人の多さなども異なるでしょう。売れるポテンシャルからして、すでに違いがあります。

 だからこそ、事前の宣伝は必須。

 残念ながら、即売会の公式サイトはたいてい、広報に適していません。検索がしづらかったり、リストアップの機能ができなかったりします。クリマも例外ではありません。
 ブースについても、ミニブースだと、探しづらい場所へ当たってしまう可能性が少なくないでしょう。

 この状況で、広報せずに本番で一発勝負というのは、ギャンブルに近い運試しです。

▼対策②「誰が来るところ」に「なにを売るのか」を考える

 イベントの下調べ、されていますか?

 即売会への出展に慣れている方は、当たり前のように習慣化しているかもしれません。
 しかし、初出展だったり、即売会の参加に慣れていない方は、イベントの性質を調べることについて忘れがちでしょう。

 クリマに特徴的なのが、老若男女を問わず幅広いお客様が参加されること。家族連れも多いです。
 よって、いつもとは少しテイストが違うものや、一般の方にも興味を持ってもらいやすいものを用意しておくといいかもしれません。

 だいぶビジネス的な視点になってしまいますが、少なくとも、「ご自身の作品に興味を示してくれる人が多く来そうかどうか」は見ておいて損がないかと思います。

▼対策③一目でコンセプトがわかるものを用意する

 石田章洋さんの「企画は、ひと言。」という本をご存じでしょうか?

 ゲームを含むエンタメ業界でもよく言われることですが、「わかりやすい」は、今やクリエイティブの必須要素と言っていいでしょう。

 徹底的に娯楽を廃した作品(小説で言うと純文学など)でもない限り、「わかりやすさ」という評価の指標から逃れることはできません。クリエイティブの即売会ならなおさらです。

 ご自身の作品のうち、作風のコンセプトをよく表し、かつ幅広い方に受け入れてもらえそうなものを、最も目立つところに配置しましょう。もっと厳密に言うなら、入門者向け作品を展示しましょう。

 コアな作品は、立ち寄った人とのコミュニケーションで売ることもできるのです。ご自身がコミュニケーションを苦手とされているなら、売り子を誰かに頼むのがよいかもしれません。
「コミュニケーションを通じて売れる」のが、即売会の大きなメリットですので、ここを活用しない手はないでしょう。

「立ち止まってもらいやすいものを、目につくところに展示する」という工夫も大切です。

▼対策④リピーターになってもらえる仕掛けを作る

 これは難しいですが、やはり考えておきたい工夫。

 毎度のように一見さん狙いだと、売上もモチベも安定しません。ずっと新規営業というのは、本当にツラいです(水谷は元営業マン)。

 なので、リピーターになってもらえる仕掛け、ファンになってもらいやすい仕掛けを考えなければいけません。

 名刺は誰もが並べ、作品を購入された方にお渡しされているかと思います。
 ただ、これはお客様に「メリットがない状態で、手間をかけてもらわないといけない」ので、スルーされがち

 その場でSNSのフォローを促す方もいらっしゃいますが、これもメリットがなければブロ解されてしまったり、そもそもフォロワーの質が玉石混交になってエンゲージメントが低くなってしまうので、強制的にフォローさせるのもオススメできません。

 そこで、メリットを作っちゃいましょう。

【主なメリット案】
●その場でSNSのフォロー&ポストなどをしてくれたら、値引きや特典グッズをつける
●優先販売の告知などを行うディスコードのサーバーを作っておき、作品購入者の方だけにサーバーを教える
●次回購入の値引き券や、オンライン販売での値引きコードなどをつける
●ファンクラブのカードを作る
……etc.

 名刺そのものを値引きカードにしてもいいかもしれません。そうすると、作品に興味があるお客様は名刺を取っておく理由ができます。名刺が捨てられずに残れば、それだけSNSを覗いてもらえる確率も上がるでしょう。

 名刺に記入欄を設けておいて、ファンクラブに入ってくれる人へその場で会員コードを書けば、名刺にファンクラブの会員カードを兼務させることもできます。

「難しい!」と思ったら、水谷に声をかけてください。一緒に考えます!!

▼対策⑤「購入したら、どのような袋になにを入れてくれるのか」の見本を展示する

 個性的な袋に商品を入れてくれたり、面白いグッズをおまけでつけてくれるクリエイター様へ出会うと、「その手があったか!」みたいに目からウロコな感覚となります。
 実際、ぼくもクリマでいろいろなアイデアを学ばせていただきました。

 ただ、そういう面白い袋や無料グッズを見て「もったいないなあ」と感じる部分も多かったです。
 それは、多くの方が紙袋やおまけグッズの見本を展示していないこと。

 作品の見本は、ほとんどの方が並べるでしょう。特にイラスト集など、現物を見ないことには買ってもらえないものも多いので。

 一方、「購入者の方にはこんな袋や無料グッズがついてきます」というのをアピールされている方はなかなかいない印象でした。スペースにも限りがあると思うので、これはブースの作り方にも関連してきますが汗

 ちなみに、興味深い袋や無料グッズには、↓のようなものがありました。

【袋の事例】
●紙袋にキャラが印刷されている
→スタンプが押されている場合もアリ。スタンプならローコストで量産できると思いました。オススメ。

●透明な手提げ袋と横幅がぴったりのチラシを挿入している
→単なるビニール袋が、作品集の表紙みたいになります。これも比較的ローコストなはず

●紙袋に手描きのサインやイラストがある
→サイン色紙みたいなものです。取っておきたくなりますが、手間はかかりがち汗

●処方薬に似た白い紙袋(病みかわ系の方)
→めちゃくちゃ取っておきたくなります。ただし難易度は高め汗
……etc.

【無料グッズの事例】
●ポケットティッシュ
●しおり
●日持ちのする食べ物
……etc.

食べ物を配る場合、食中毒の危険性を考慮しましょう。飴などがオススメです。企業が配布する場合はこのあたりをかなり注意するのですが、個人だと失念しがちなので、気をつけましょう。

 ぼくはあまり多くのブースを回れなかったので、今回の無料グッズに関するナレッジはこの程度です。ただ、このあたりは作品に付加価値をつけられる工夫ポイントなので、参考にしていただきたいところ。

 また、「見本を出したらサプライズにならない!」とお悩みの方は、サプライズを二段構えにしておくのがオススメです。
 たとえば、袋は見せておいて、おまけグッズは出さないとか。袋もグッズも見せておいて、購入された方におまけで飴を配るとか。

 行動経済学や心理学などで言われていることですが、無償のプレゼントというのは、「ほんの小さな物でもうれしい」ものです。お値段はあまり関係ありません。小さな飴だけでも、すごくうれしくなるのです。
 ぼくもぜひ、いろんなクリエイター様の袋やおまけグッズを見てみたいと思います。

▼対策⑥子どもでも手に取りやすい高さに、ポップなものを置く

 これは、クリマへの出展をご検討されている方にぜひオススメしたい方法。

 クリマには、家族連れのお客様も多く訪れます。そのとき、子どもが興味を示すと、親御さんも立ち止まらざるを得ません。ここで、コミュニケーションが発生します。

 子どもが興味を示しやすいと思う逸品は、手の届く低い位置に展示しておきましょう。クリマ出展に際し、子ども向けのテイストにチャレンジしてみるのもアリだと思います。

▼対策⑦参加者として、イベントを回ってみる

 これは、どんなイベントでも必須です。

 イベントに複数回の出展経験がある方はよくご存じだと思いますが、イベントというのは毎年のように違いが出ます。
 出展するイベントがどういうもので、どういう参加者がいて、回を追うごとにどういう流れで変化しているのか。これを見ておかないと、傾向も対策も立てられません。

 できるだけ売り子の方と一緒に出展へ臨み、少しでもいいので、ご自身がざっと会場を回れる時間を作りましょう。

 会場を回ったとき、↓の部分に着目すると、新しいアイデアや工夫を思いつくかもしれません。

【イベントを回るときの観点】
●他の出展者の分野と傾向
●どのような人が会場を見て回っているか
→年齢、性別、友達同士、カップル、家族連れなど
●どこに人だかりができているか

 お仕事でもそうですが、「成功者に学ぶ」という超メジャーなメソッドがあります。
 即売会も同じです。特に大きなイベントほど、多様なクリエイター様がいらっしゃいます。ここで成功者に学ばない手はありません。

 実際、多くのイベントは「出展するだけでなく、お客様としても回ったほうが楽しい」と感じるものがほとんど。せっかく出展するのなら、お客様の視点でもイベントを楽しんでみましょう。

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 思いついたナレッジは以上です!
 今後もいろんなイベントの参加を通じ、ナレッジをブラッシュアップしていきますので、ぜひチェックしていただけると嬉しいです!
 
 また、「なんとなくわかったけど、実際になにをどうすればいいのか、考えるのが難しい」と感じた方は、ぜひ水谷に声をかけてください! 一緒に考えます!!
 ぜひご検討ください!

【水谷のXアカウント】
@tatsu_senario
https://twitter.com/tatsu_senario

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