非民主的な経済システム、公権力を行使して是正するしかない富の偏在

信用創造

・民間の銀行が顧客(政府・法人・個人)に貸し付ける(融資する)ときに、口座預金という形で、大半のお金=交換媒体が創られる。
・銀行(債権者)は帳簿上の資産(貸付金)と、負債(顧客預金口座)に同額を記帳するだけ
・顧客がお金を返済すると銀行は貸付金と預金をゼロにして、銀行預金という形のお金が消える。(債権債務の解消)
・債権債務が解消されたときに、お金(預金)が消えることは、通貨の総量を調整、通貨価値を維持する重要な機能

お金の種類

・口座預金:銀行だけが独占的に創ったり消したりする、
市中の金融機関の口座預金と、金融機関が日銀に持つ口座預金。
・「日銀が市中の銀行に融資した資金を、銀行が顧客に貸し出す」というのは事実ではない。
・紙幣、政府機関ではない日本銀行が発行
・硬貨、政府が発行体で、これがいわゆる政府通貨

日本銀行と市中の銀行

民間の銀行は顧客の債権債務を消す(資金決済する)ために、日銀の当座預金口座を使って日々資金をやりとり
民間の銀行にとって本当のお金とは現金と日銀当座預金残高
・日銀口座預金と、民間の金融機関の口座預金は直接リンクしていない。
・日銀も民間金融機関の預金口座に数字を書き込み、預金というお金を創る
・実体経済が拡大するためには、だれかが民間の銀行からお金を借りることが必要
・日銀財務状況(2012年から2021年の9年間の増減)
総資産で575兆円増え、大口内訳は保有国債残高が445兆円増、上場投資信託で35兆円増
負債の大口増は金融機関の当座預金が514兆円増
・日銀が民間の金融機関から国債を買い取り、日銀預金口座に数字(=お金)を書き込んだ=マネタリーベースを増やしたことになる。

富の偏在を招く利子の力

・信用創造では利子分のお金は創られない。
常に世の中に利子分のお金が不足している状態になり、債務者が利子を付けてお金を還すためには、利子分のお金を誰かがまた借金をして、社会に供給する必要がある。
・社会全体の借金(融資)の量が常に増え続けなくてはいけないことで、私たちが経済成長を強いられる。
世の中のお金の量、つまり借金(融資)の量が増え続けないと、銀行は利子を含めた債権を回収できないリスクにさらされる。
・債務者にとっても債務履行できるかは、利子分のお金が世の中に供給されるかどうか、に負うところが大きい。
・世の中に供給されるお金の量が増えないと景気が悪くなり、借金を還せなくなった人たちが担保を差し押さえられてしまう。
・世の中のお金の量、つまり借金(融資)の量が増えないと、景気が悪くなり、お金を借りていない人にも、賃金が下がる・失業するリスクがある。
・私たちは消費活動を通じて利子を間接的に払わされている。
・借りるより多く返すこと、担保資産を取られてしまうリスクは、債務者にとっては大きなプレッシャーになりますが、このプレッシャーが社会の効率的な運営を促し、私たちの生活の質を向上させる技術・製品の普及に繋がる可能性もある。

デフォルト(債務不履行、不良債権化)

通貨供給量が減った場合、誰かがデフォルト(債務不履行、不良債権化)するリスクが顕在化。
債務不履行になった場合は、担保資産の差し押さえ、そして担保資産が設定されてない場合は、債権未回収。

預金封鎖=銀行が自分たちの都合で預金データ(顧客資産)を消すこと

・政府がデフォルトすると、債権者の純資産が減り債務超過、資金繰りが悪化。
・この債権者が銀行だった場合は、資産である債権(貸付金)が回収できなくなってしまい、代わりに負債である一般の口座預金残高を減らす(口座預金残高を消す)これが預金封鎖。
・銀行にとって負債である口座預金を、銀行の都合で消してしまう、預金者にとっては資産である口座預金を、銀行の都合で消されて財産が一瞬で無くなる。
政府が債務を増やすことで、デフォルトに伴う経済的負担と、社会を不安定化するリスクを国民、場合によっては外国の人が負う。
増税して政府の債務を消すのも、国債デフォルト(政府債務不履行)→預金封鎖(預金資産帳消し)で政府債務を減らすのも、結局、家計部門から金融資産を召し上げるという点では同じ。
銀行など国債保有者から見ると、政府の債務の担保は、国民の預金資産。

お金の世界の序列、ピラミッド構造

銀行と一部のお金持ちにお金が集中、貧困・格差・環境破壊などの問題を引き起こす要因。
・お金(=口座預金)を融資時に、銀行が独占して創り、お金持ちに配分することにより、一部の人に多くの富が集中。
・貧富の差が広がると、中間層が減り、多くの人が次世代を産み育てることを躊躇し、少子化。
・人々がお金に依存した生活をすればするほど、世の中のお金の量が増えることになり、お金を創る人たちの力が強くなり、お金を道具にした支配&被支配の関係が強くなる。

資本が蓄積され、インフラ・生産設備が充実し雇用を生む。利潤追求・自由競争の中で、生活の質を向上させる付加価値(自動車、コンピューター、スマホ、家電製品、など)を世の中に提供する、という側面もある。

 公権力を行使して是正するしかない富の偏在、非民主的な経済システム

経済システムは、非民主的に運営され、かつ目的がお金儲けに特化しているため、格差・貧困・環境破壊などの社会的リスクを是正する機能を本来持っていない。
お金持ちが一部の政治家・官僚に働きかければ、政府による権力の行使を思うようにできる
政府の借金と、国民の権力行使(参政権の行使)の機会が少ない間接民主制は、金融資本と資本家が社会をコントロールするには適している。
・非民主的な経済システムの弊害を是正するには、国民が権力行使する機会を増やす直接民主制と、政府の借金による資金調達をやめ、お金持ちからの課税を強化することが必要。

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