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都市の未来設計

column vol.216

街づくりというテーマから、近年は北欧諸国に注目が集まっていますが、ノルウェーオスロでは2019年、歩行者とサイクリストの死者数が「ゼロ」を記録しました。

〈WIRED / 2021年2月4日〉

交通事故死はあったものの、車のドライバーがフェンスに激突して死亡したケースが1件だけ。

オスロの偉業は、交通事故死の根絶を目指す同市の取り組み「ビジョンゼロ」が、あと一歩で実現することを意味しています。

これまでオスロは、都心部の沿道に設けられた駐車スペースを1,000以上も撤廃し、市民に便利な公共交通機関の利用を促進。同時に自転車レーンと歩道も増設しています。

さらに、交通事故発生のリスクが高いエリアに関しては、車を進入禁止に。例えば、小学校の周りに設けられたハートゾーンなどがそうです。

まさに「都市の歩行者天国化」を叶えようとしています。

このことによって、ビジネスシーンも変わってきているようです。

都心を訪れる人の数が10%増加

オスロの歩行者天国化は市民の命を救うだけでなく、ビジネスにもプラスになっているそうです。

この取り組みにより、都心を訪れる人の数が10%増加

それにより、都心部に出店したいという企業数も比例して増え、さらに交通量が減り、大気汚染のレベルも下がったおかげで、住宅不動産に対する需要も伸びています

世界各国でも同様のプロジェクトが急ピッチで進められています。

ドイツのケルンカナダのカルガリーを始め、歩行者がソーシャルディスタンスを確保できるスペースを増やすために、市内の広範囲を自動車進入禁止にしています。

ちなみに先月執筆した「転じる明日」でも、デンマークの廃墟となった刑務所を住宅街へ転用し、活かす都市計画についてご紹介しました。

「アルバーツルンド」と呼ばれる地区なのですが、中心部は車の通行を不可にしています。

WIREDの記事でも触れているように、車を必要としている生活者もいるので、車と共存しつつ、どの都市も公共交通機関を充実させながら、歩行者用に指定されたエリアを拡大する道を探っていくことになるでしょう。

そして、車も貴重な移動手段として、サスティナブル安全性に対するアップデートを果たそうとしています。

自動運転の未来

EVAEBS(自動ブレーキ)、そして「自動運転」など、安心・安全な街づくり(社会づくり)についての技術は向上しています。

そんな中、東洋経済オンライン【結局「自動運転」はいつどのように実現するのか】という記事が面白かったので、共有させていただきます。

〈東洋経済オンライン / 2021年2月16日〉

5Gを通り越して、6Gになると、自動運転はスマホ並みに当たり前の風景になるそうです。

ちなみに、自動運転は、レベル0から56段階に分かれているのですが、レベル0とは、ドライバーがすべての運転操作を実施する状態。

最高のレベル5は、条件なしに、場所を問わず、システムがすべての運転作業を担います。

そして現在、多くの自動車メーカーの実用段階はレベル2からレベル3にあるとのこと。

レベル2とは、前後・左右の運転操作の一部をシステムが行う段階。

すでに、自動ブレーキ(衝突軽減ブレーキ)や、前の車の速度に合わせて車間距離を維持してくれるアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)、車線の中央付近を走るようにする車線維持支援システムなどが搭載されています。

これが、レベル3になると緊急時に運転操作をする必要はあるものの、高速道路など特定の場所ではシステムがすべての運転作業をしてくれるようになります。

究極、不測の事態が起きなければ、ドライバーは何もしなくてもよいことになるというわけです。

さらに、レベル4緊急時も含めて、高速道路など一定の場所でシステムが問題なく運転する状態、そしてレベル5場所の限定なく、システムがすべてを操作できます。

2030年以降レベル4が普及し、2040年には完全自動運転の「レベル5」も実用化すると言われています。

また2040年には、新車でのレベル3以上の自動運転システム車は、4,112万台になり、世界の新車の29.4%になると推測されています。

私が高齢者になる頃には、車が安全な存在として未来都市に溶け込んでいるかもしれませんね。

空が新しい交通網に

6Gが整備された世界の上空ではドローンが行き交い、どこにでも欲しいものを配達してくれているはずです。

空の交通といえば、空飛ぶタクシーが、ユナイテッド航空との提携で本格始動したそうです。

〈Forbes JAPAN / 2021年2月15日〉

カリフォルニア州に本拠を置く電動エアタクシーメーカー「アーチャー・アビエーション」が、ユナイテッド航空などから10億ドル分最大200機のエアタクシーを受注

ユナイテッド航空にとっては、「アーバン・エア・モビリティ(都市航空交通)」への進出に向けた第一歩となります。

ユナイテッド航空は、空の旅におけるCO2排出量の削減を実現するテクノロジーを積極的に採用する方針で、今回のアーチャーとの取引きもその一環だとしています。

空飛ぶタクシーは、ハブ空港への顧客の輸送や、運行する都市部周辺での輸送に使用される予定とのこと。

ちなみに、ハリウッドとロサンゼルス国際空港の間をエアタクシーで飛行した場合、乗客1人当たりのCO2排出量47%削減可能に。

アーチャーは、2024年エアタクシーサービスを開始する予定で、ロサンゼルスなどで最初に運行するそうです。

ついに、子どもの頃に見た近未来の街並みが間も無く目の前に広がろうとしています。

テクロノジーの進歩は凄いですね。

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