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「小売業」次のヒント

column vol.61
心斎橋PARCOが9年ぶりに帰ってきます。ファッションビルと百貨店の枠を超えた新しい都市型ビル「ニューコンプレックスビル」として新たなスタートを切ります。

〈FASHIONSNAP.com / 2020年9月16日〉

唯一無二を目指すPARCOらしい館になりそうで、今から楽しみです。

PARCOはこれまでにも、新しいカルチャーを発信してきました。10代の頃は、PARCO(私の場合は渋谷店ですが)を歩き、買い物をするだけで自分は最先端の人間であると錯覚するほど、憧れの存在でした。

とはいえ、あの頃とは小売業も様変わりしているので、大変ではあると思いますが、ファンの期待に応えていただきたいと陰ながら応援しております。

ということで、次の時代をリードしてきたPARCOの話を受けて、次の小売業を考えるヒントを今日はピックアップいたします。

路上を商業スペースに

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過密都市・東京で「社会的距離」を保つには?というフォーブスジャパンの記事はwithコロナの時代を知恵が詰まっていると思います。

〈Forbes JAPAN / 2020年9月17日〉

世界を見渡してみると、TVのニュースでもよく見かける光景ですが、飲食店が積極的に路上を活用するようになっています。

リトアニアの首都ビリニュスでは、コロナの拡大を受けて路上使用について政府が許可しました。この柔軟性が素敵です。

ちなみに記事にもありますが、アメリカのニューヨーク市の屋外飲食プログラム「オープン・レストラン」は有名ですよね。これは車道の一部や歩道をダイニングスペースとして使用することを許可するプログラムのことです。

通常は道路占用料という形でお金が徴収されるのですが、今はニューヨーク市が金銭的な援助を行なっているそうです。やはり柔軟ですね。

あと、「ウォーカブル(歩きやすい)」な街づくりもキーワードになってくると思います。商業についても同じです。例えば、商業施設、公共施設、地元商業(商店街など)が緊密にそしてシームレスな関係になると、都市の魅力が高まります。点が線になり、面になる。それが理想的です。

ちなみに急にピンポイントな話になりますが、街ブラするのにピッタリの携帯ゴミ箱(入れ)が開発されて、世に出ないかと願っております。

街ブラが好きで、商店街の軒先きなどでビールとつまみを買って、(人の迷惑にならないように)街ブラしながら食べていても、ゴミ箱が見つからない。爆破事件や環境美化の観点からもゴミ箱を置きにくいなら、ちょっとオシャレな携帯ゴミ箱が市場に流通するとうれしいのです。

食べ終わったらサッと入れて、持ち帰って捨てるだけで良いのですから。エコバッグの次は、これかなと思っています。

食料サプライチェーンの新サービス

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「FaaS」という言葉をご存知ですか?「Functions-as-a-service」の方が一般的かもしれませんが、今回は「Farming as a Service」の方です。

「Farming as a Service」は、栽培から購入までの距離をもっとも短くするやり方をハードとソフトの組み合わせで実現します。コロナ拡大により、食料サプライチェーン/ロジスティクスにも多大なる影響が出ていることから注目を集めています。

〈AMP / 2020年9月11日〉

感染予防から人の移動が制限されたため、生産・加工・物流の各フェーズにおいて十分な人員が確保できず、多くの国で生産・物流量が大きく減少しているそうです。

物流に関しては4月、アメリカとカナダの陸上輸送量は通常時に比べ20%減。ヨーロッパではスペインでパンデミック当初50%減、フランスで46%減、イタリアで37%減と大幅に減少。その後、4月中旬頃にはヨーロッパ全体で24%減と幾分か回復したとのこと。

ここで救世主になるのがFaaSです。スウェーデンの農業テックスタートアップ「SweGreen」の取り組みが支持されています。

SweGreenでは、植物工場/都市農業の技術を活用し、最終消費者の最も近い場所で農産物を生産し、最小のロジスティクスコスト/インパクトで、新鮮な野菜や果物を届ける仕組みを確立しようとしています。

スウェーデンのスーパー「ICA Focus」の店内に設置した植物工場は、以前ご紹介した「インファーム」の事例と通じるところがあります。

今後は商業施設の店舗内で普通に農産物が生産される時代が来るのは間違いないですね。FaaSは小売業にとってもエポックメイキングの1つになるでしょう。

路上活用も、FaaSもwithコロナ時代の対応策ということではなく、コロナをきっかけに定着していくはずです。このようにコロナ対策が今後のニューノーマルになっていくことは多いでしょう。

現状を「コロナ対策」と考えるか、はたまた「コロナ改革」と考えるかで企業としての差が如実に現れるでしょう。できれば後者でありたいものですね。

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