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RADIOHEAD個人的15選

「自己紹介」の所でも書きましたが、人生で一番ハマったロックバンドが僕の場合このレディオヘッドです。ごく簡単な紹介をすると、イギリスのバンドで1990年代から2000年代にかけてロックの歴史を更新していった世界最高のロックバンドとの評価もされたりしています。とにかく同時代の他のロックバンドとやっていることが何次元も異なる感じの本当に言葉が正しいかどうかは分かりませんが「宇宙人」が作ったサウンドとしか言いようがない、人間が作るレベルを超えたもの凄いところから降り注ぐ、そしてその時代の「世界精神」をものの見事に表現し得た唯一無二のロックバンドだと言うことが出来るのではないかと個人的には思っています。こんなこと言ったら怒られるかもしれませんが、同時代のグリーンデイやオアシスのやっていたこともレディオヘッドが表現していた奥深さには敵わなかったと思ったりしています。それくらい一回レディオヘッドにハマったらもう他のロックが聞けないくらいにあの当時の僕はなっていたりしました。まあ僕個人が1990年代後半から2000年代前半というレディオヘッドのキャリアのピークと重なるように人生どん底の「引きこもり完全体」になっていて、絶望の淵に立たされまくっていたから余計にその暗いけど中心はあったかい、包容力のある不思議なレディオヘッドの音楽に心底癒されて、まるで宗教に救いを求めるように毎日部屋で聴いて浸っていたからだとも言えますが。本当に今回はめちゃくちゃ個人的要素が強すぎてちょっと脱線、暴走気味になっているかもしれません笑。そんな感じで15曲、年代順にやっていきたいと思います。では早速どうぞ。


Creep (1993年)
彼らのデビューシングルでいきなり世界的な大ヒットとなった90年代グランジ・オルタナティブロックの代表曲の一つです。アメリカのニルヴァーナへのイギリスからの返答とも言われたりしてました。しかしながら当の本人たちはあまりにもこの曲がヒットしすぎて独り歩きしたため、かなり嫌っていたという逸話も残っています。僕個人もこの曲は大好きですね。もういきなりレディオヘッドの浪花節がさく裂したみたいな、情けなさとどうしようもない人生や世界にそっと寄り添ってくれる、ゆりかごみたいなサウンド。この時点でもう図抜けていたと思います。これだけでも歴史に残るロックバンドにはなったかな、と。しかしながらここから本当に誰もが驚く信じられない進化をアルバムを出すごとに1993年から2003年までの約10年間、彼らはやってのけることになります。これだけの進化を高いレベルでやったのはおそらくビートルズ以来初めてだったのではないかと、浅学ながら思ったりもします。いや時代性を考えたらレディオヘッドの方が困難さは上かも。すいません、元熱狂的な信者なので。今もかな。


The Bends (1995年)
彼らのセカンドアルバム「ザ・ベンズ」のタイトルトラックです。ギターの三重奏がいい感じ出しています。デビューアルバム「パブロ・ハニー」にあった線の細さは完全に2枚目にしてなくなっていて、これはギターロックの歴史に残る名盤とも言われたりしています。ホントに1枚目と2枚目の進化のスピードというかレベルが全く異なって凄いことになっています。他のバンドが10年かかってもたどり着けないレベルにもう2年ちょっとで行ってしまったかのような圧倒的な成熟を感じます。もう普通にここで完成形を示したりしているのですが、あの90年代からの世紀末の時代性がこの世紀の天才集団をさらに駆り立てとんでもない方向へと彼らはこれから舵を切っていくことになるのですが。まあでもこのアルバムは一番「ロックバンド」レディオヘッドとして聞きやすくて入門編には丁度いいかもしれないです。他から入るとたぶん嫌になるかも、とか思ったりします。PVは画像が粗いライブ映像ですが、トムヨークが若くていいですね。


Just (1995年)
これも疾走感のあるギターロックの名曲だと思います。このアルバムは捨て曲がなくてオアシスの「モーニンググローリー」みたいな感じかな、と個人的には思ったりします。オアシスのあのアルバムも僕は大好きですが、レディオヘッドの「ザ・ベンズ」もより繊細さを醸し出していていい感じだと思ったりします。繊細な感受性を持った人はオアシスよりこっちの方が合っていたりするのかな、とか。僕はオアシスも大好きでしたが、やはりかなりセンシティブな時期はもう完全にレディオヘッドの圧勝でした。オアシスは元気がないと聞けない感じでしたね。


Street Spirit (Fade Out) (1995年)
「ザ・ベンズ」のボーナストラックを除けば最後を飾る美しいアルペジオが印象的な名曲です。一時頑張ってこのアルペジオをギターで覚えて引いたりしていましたが、かなり難しかったですね。それをさらりとやってのけるリズムギターのエド・オブライエンはやっぱり一流ロックバンドのギタリストやなと思ったりしました。ジョニー・グリーンウッドやったかな、どっちかは忘れましたが。絶望とも希望とも取れるこの曲でこの名盤「ザ・ベンズ」を締めくくったレディオヘッドは次でロック史に残る大仕事をやってのけます。そう90年代屈指の名盤「OKコンピューター」です。


Paranoid Android (1997年)
90年代屈指の名盤「OKコンピューター」を一曲で表すならこの曲かなと思ったりします。トータルで凄いことになっているアルバムなのですが、レディオヘッドのとてつもない進化の度合いを一曲で理解しようとするならこの曲を聞けばセカンドアルバムまであったものが完全に消えて、違うとこに行った彼らの姿が見えて来るのではないかと。僕個人では途中の「rain down」のところが本当に古代の呪術師が雨乞いの儀式でもやっているのではないかと思うくらい神聖で宗教的な雰囲気を出しているのが好きです。でもここら辺から脱落していく人もいるかなと。某アイドル事務所のアイドルが司会する音楽紹介番組でたしか「ゲスの極み乙女」の川谷絵音が衝撃を受けて影響されたバンドとしてこのレディオヘッドのパラノイドアンドロイドを紹介していたのですが、スタジオゲストのお笑い芸人が「この番組で紹介される曲は知らなかったけどみんな好きになったけど、この曲だけは好きになれない」とか言ったりしていて、ファンとしては腹立たしい気持ちになったりしたのを覚えています。まあ邦楽とかに馴染んだ耳にはちょっときつい部分もあるのかなとか思ったりします。たぶん、僕も邦楽とかしか聞いていなかったらこの曲聴いてもなかなか理解できない感じだったかなとか。かなり落ち込んでもう日常のほとんどがどうでもいいとかになっていたりするとこういうぶっこんで落ち込んだ曲とかが一番深いところに届いたりするから、好きになったのかも。まあ彼らもかなり「鬱」みたいになっていたりしたらしいので。PVはかなりきついアニメでたぶん某番組でこのPVが流れたのも理解されなかった原因のひとつかなと思ったりします。ちょっとグロくて僕自身あまり好きじゃないので静止画で失礼します。彼らのPVはまあまあきついの多いのでこれ以降静止画多めでいきます笑。よかったいいライブ映像がありました笑。


Let Down (1997年)
このアルバムで一番好きな曲です。彼らの曲の中でも5本の指に入る名曲だとも思います。でもレディオヘッドはめちゃくちゃ名曲が多いのでどれ選んでもいいみたいなのが多かったりします。ギターのアルペジオが「ストリートスピリット」よりさらに進化した感じで、浮遊感が半端ないです。もう地上を軽く超えていった、そんな感じですね。ここら辺からもう彼らは地上では音楽はやっていない人間レベルを超えた存在へと昇っていっています。精神世界的な話をすると人類にアセンションを音楽を通していち早く示した、そんな感じが今振り返るとしたりします。人類の無限の可能性を見せつけた、そんな存在だったのではないかと。それくらいやっぱり同じ時代のロックバンドとやっていること、とらえているものが違っていましたね。PVはなかったので静止画で失礼します。


No Surprises (1997年)
個人的にこの「OKコンピューター」の最後の3曲の流れが凄く好きで全12曲でこの曲が10曲目でしたね。11曲目の今回は外した「ラッキー」という曲と次に紹介する「ザ・ツーリスト」へと続く流れがもうどうしようもないカタルシスを生んで。情緒不安定気味な時は本当に号泣したりするくらい、本当に素晴らしい至高の芸術体験が出来ていました。このアルバムは当時の90年代の言わば表面的な喧騒すべてに対する「ヘイト」で満ちていて、それが社会に馴染めない魂すべてに響いて歴史的な名盤へとなっていったのだと思います。彼らに救われた僕みたいなあの喧騒に馴染めない存在が世界中にたくさんいたのでしょうね。たぶん今聴いても全く古びれることなく響いてくると思ったりします。まさに時代を超えた音楽がここにはあると思います。


The Tourist (1997年)
そして「OKコンピューター」を締めくくる大名曲がこれです。もう死んでもいいと思ったりしていましてね、これを聴いていた時は。もうこの世で思い残すことは何もない、本当に人生の最後に、散々苦しんだこの世を離れる時に聴くとどうしようもない感情が溢れすぎて返って、まだ「こんなに素晴らしい音楽がある地上を離れたくない」と思わせるような。ちょっと大げさかもしれないですが苦しみの渦中にあるとそんなところまで感じたり思ったりしていました。で、このレディオヘッドの音楽はまさにそんなどん底の精神にも本当に寸分たがわずピタッと寄り添うジャストフィットなサウンドで。カタルシスが半端なかったです。


How To Disappear Completely (2000年)
意訳すると「完全自殺マニュアル」みたいな感じでしょうか。まあそこまでの自殺願望はこの曲からは感じなくて、単にこの世の合わないことすべてから身を引いていたい、そんな気持ちを表現したものかな、とか。この曲が収録されたアルバム「キッドA」はまたとてつもないアルバムでしたね。これでまだ彼らの4枚目なのですが、過去3枚のどれとも似つかない、そしてさらに見事に進化を遂げていると言うか、もうそんなちゃちな表現では追いつけないくらい遠くへ、宇宙へ、いやもうこの世とは違う世界へ旅立った彼らがいました。もうこの世に、この地上に戻って来ないのではないかと、当時本気でみんな騒いでいましたね。主要ロック雑誌とかで。グラミー賞も受賞して、あの村上春樹も小説「海辺のカフカ」の中で主人公のお気に入りアルバムの一つとして、ジャズやクラシックのアルバムと並んでこの「キッドA」を持たして聞いたりしていたくらいですから。それくらい世紀の芸術作品となっていたりするアルバムはしかし、かなりの難解さで聴く人を選んでいたとも言います。僕も最初聞いた時はほとんど理解出来なかったです。それまでのいわゆる「ロック」とは全く違うサウンドで。でもちゃんとロックしている摩訶不思議な音楽とでも言うか。日本のロック専門誌「ロッキンオン」で2000年代の名盤100枚の中で見事1位に輝くなどして、このアルバムのライナーノーツを書いた音楽評論家の山崎洋一郎氏はその中で「レディオヘッドは最も優れたロックバンドである。そしてこのアルバムは彼らの最高傑作だ」とまで言っています。ということは換言すればこの「キッドA」はロック史上最高のアルバムとも言えるわけで。世紀の変わり目の2000年に彼らが体現し感じ取っていた世界精神のど真ん中をこのアルバムが表現しつくしていたことがその主な原因だったのではないかと思ったりします。それはさらに混沌とした世界となった今でも十分に響いてくるサウンドではないでしょうか。今では僕もレディオヘッドのアルバムの中で一番好きなアルバムになっています。PVがあったのでそれで失礼します。


Optimistic (2000年)
この難解な「キッドA」の中で一番聞きやすい曲だと思います。壮大でいて細かいところに優しく降り注ぐ繊細さがよくて、結構お気に入りの曲です。6曲目に入っている曲なのですが5曲目の静かなインスト曲「トゥリーフィンガース」からの立ち上がりと、7曲目の「イン・リンボー」へと続く夜の港の風を浴びている感じがめちゃくちゃ気持ち良くて好きでしたね。いやこのアルバムの流れも神としか言いようがないです。完璧な流れと構成で。やっぱり歴史的な名盤でしたね。聴くごとにハマっていったみたいな。PVはなかったので静止画で失礼します。


Knives Out (2001年)
5枚目のアルバム「アムニージアック」に収録されています。このアルバムは「キッドA」と異なりまだ聞きやすくて一時は一番好きなアルバムでした。「キッドA」の異次元サウンドが少し身体性を持って地上に降り立った、でも軽く歴史を横断して、相変わらずタイムトラベル状態の「ここにはあらず」で。でもだからこそ誰も表現できないことを普通にやってのけてしまう、みたいな。とまあ、アルバムの解説や感想はここまでにしておいて、「ナイブス・アウト」について。この曲はある意味一番好きなレディオヘッドの曲ですね。聴きやすくて、そして何よりめちゃくちゃ郷愁を誘うというか、懐かしくてたまらない気持ちになりました。80年代の同じイギリスのバンドで僕も好きな「スミス」へのオマージュとかも言われたりしていて。ギターの流れるようなサウンドが特に気持ちいいですね。一時ヘビーローテーションで引きこもりの部屋から、時には勇気を出して窓を全開にして、というか近所迷惑でしたが、大音量でかけていたり。それくらい鬱屈した気持ちを外へと解放してくれていいました。それも今振り返るとどうしようもなく切なくて懐かしいですね。もうあの頃の痛みはほとんど消えてなったりしていますが。青春の苦い1ページですが、それでも確か命は燃えていた、みたいな。動画は例の気持ち悪さが出ていたりするので静止画で失礼します。カニバリズについて歌っているとからしいので、そこまでグロくはないですが、あんまり好きな動画でもなかったので、すいませんが。


Life In A Glasshouse (2001年)
異次元サウンドの極みというか。戻ってくる前の彼らの最後のあがきというか。時代がもう渋くて。選んでいるその時代が。1930年代のアメリカのジャズの響きというかなんというか。アルバムのラストにピッタリで、この摩訶不思議な時代を横断しつくした冒険の最後に、線香花火が暗闇にぽたりと落ちていくわびさびの世界にも通じる、孤高のアーティストだけが辿り着く境地みたいな。マイルスデイビスの「カインドオブブルー」の世界観にも似ているなと思ったりもします。渋い、センスが飛び抜けているとしか言いようがないです。普通にはもう作れないでしょうね、彼らにも。あの2000年だったからこそ、一番才能のピークにあり、そしてもう神様が作用したとしか言いようがない力が働いて「向こうに」行けたからこその音楽で。また精神世界の話をして恐縮ですが「アカシックレコード」に触れないとこんな音楽は人間には作れないとも思ったりします。普通はたぶん無理だと思います。ちょっと表現がぶっ飛んでいて度々恐縮です。でもそうとしか彼らの全盛期の音楽は表現出来ないとも感じたりします。


True Love Waits (2001)
トムヨークの亡くなった奥さんに向けた純粋なラブソングだと言います。この曲発表当時はまだ当然のように存命だったのですが、元々ものすごく英語は分からないですが、タイトルからして「ロマンティック」だなあと思って聞いていたのですが、その奥さんが近年亡くなったと言うことを聞いて余計に胸が締め付けられる感じがして、切なく響いてきますね。祈るように捧げられた歌に聞こえていたので。2016年のアルバム「ア・ムーン・シェイプト・プール」にも収録されていますが、2001年のミニアルバム「アイ・マイト・ビー・ロング」からのライブバージョンで。


Scatterbrain (2003年)
ようやく異次元空間から僕らのいる地上に戻ってきた彼らは身体性を取り戻し、しかしその異次元で身に付けた異才を十分に溶け込ませて「ロックバンド」していましたね、この2003年のアルバム「ヘイル・トゥ・ザ・シーフ」で思いっきり。だから「ザ・ベンズ」を一回り大きくした感じもします。ギターサウンドだけれども、異次元の旅で吸収した最新のテクノサウンドもいい感じでアンサンブルしているというか。聴きやすさでは彼らのアルバムの中でもかなり上位に来ると思ったりします。いろいろいい曲がこのアルバムにも入っているのですが、数の制限で最後の2曲を選んでみました。どっちもスローバラード系で。個人的にレディオヘッドの曲でもかなり好きな部類に入ったりします。爽やかでいて哀愁が漂う、そのさじ加減が絶妙ですね。秋の落ち葉が風に舞い、感傷に沁みるみたいなサウンドで、共感覚が半端ないっす。ビジュアルだけじゃなくてにおいすら感じたり。やっぱり地上に降りてきてもその才能はとてつもなかったです。


A Wolf At The Door (2003年)
郷愁誘うサウンドですが、そのやりきれなさが存分に感情乗って音楽の波が押し寄せる、心地よさというか。アルバムのラストに響くにはもってこいな曲でした。僕自身もいくつもレディオヘッドの編集MDとか作って聞いたりしましたがこの曲はやっぱりラストや最後から2番目に持ってくることが多かったですね。そこでこそカタルシスが発生するというか。一番落ち込んでいた時期にずっと助けられていたから、本当に魂の浄化作用が半端ない曲がレディオヘッドの曲には特に多かったと思います。こんなバンドは僕の人生では他にはなかったです。


2003年を最後に僕の引きこもり完全体は終わるのですが、その間中、特にレディオヘッドを知った2000年くらいからもうずっと部屋で鳴り響いていました。冒頭やそれぞれの曲の中でも言及しましたが、本当に絶望して落ち込んでいた時の彼らの音楽から得られるカタルシス、浄化作用は今思うと凄いものがあったと思います。今はもうそこまで落ち込んだり、深く感じたりすることもないのですが、当時の心の傷の具合にピッタリ、欠けたところを埋めてくれたそんな思い入れたっぷりな音楽でした。元気な人が聴くとやや鬱陶しい感じもするかもですが、でもその音楽の美しさはやっぱり普遍的なものもあるかと思うので、普通に世界的なロックバンドになったりしたのかなとか思ったりします。もうあの当時の感傷に浸ることは出来ないですが、絶望の真ん中でこのレディオヘッドの素晴らしい音楽に浸れたことは、引きこもって何一ついいことがなかった神様からのせめてものプレゼントだったのかな、と今振り返ると、結構貴重な体験で、「冒険」だったのかなと思ったりします。引きこもり自体結構「命がけ」だったので。だからこそその地平線の果てで見えた景色は結果として僕の財産になっていたりするのかな、と思ったりします。その時は絶望でしかなかったのですが。まあそんな感じでかなり個人的なものになりましたが、この辺で失礼します。ではまた何かの10選で。

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