見出し画像

手放すことを続けたら何が残るでしょう#23_03

結論:全てを手放して土に還る。そんなシンプルなおじさんになりたい。って話をします

多分人生で最も多忙な1ヶ月のエンドロール。ぼくは紅葉の木曽路を通学の高校生たちに混ざり揺られています。今日から知らない町、知らない島に数日だけ旅に出ます。

40手前、貧乏暇なし猪突猛進東奔西走な日常を乗りこなし、身体が動かなく日のことを想像すると、ぼくはこれまでもこれからも「手放す」ということを続けていくでしょう。そんなことを考えました。

玉ねぎの皮を剥き続けると、玉ねぎがなくなった!というコメディアニメの一コマを思い出します。

ぼくたちは生きる上でたくさんの関係や物質を所有していきますね。作るときには壊すことを考えない。戦後の社会からはそうやって資本主義を乗りこなしてきたでしょう。だからぼくたちは豊かに暮らして、だからぼくたちはそのあと始末に追われることになっている。

ぼくの近頃の生業の中心は古物商としての活動で、それはまさしく「手放す」ことを手伝うこと。目の前の人のこれまでの人生や、その人の先祖代々の魑魅魍魎やおもひでポロポロの片鱗に触れること。

ぼくは25歳の時に「離婚」という人生で初めて「手放す」ことを経験しました。30を過ぎた頃に自身が経営する会社を手放して、自分で始めたゲストハウスも手放しました。

自分が欲しがって買ったモノを捨てること。その関係を切り離すこと。「辞める」こと「諦める」こと「捨てる」こと「壊す」こと。

まだまだ若輩である我が人生の中でも、それなりに「手放す」ことを行動してみて、結果論として、ぼくはいまも生きている。

手放す時は涙を流して、ありがとうもごめんなさいも、愛情も憎悪も肥大化してはぼく自身を苦しめました。だけど、無くなってしまえばなんのその。それはぼくの大切で愛おしい「過去」として、その記憶を恣意的なご都合主義で保管するのです。

ぼくを愛してくれた人にも裏切った人にも心から言える。ありがとうまぢで。その時間が血肉に換わり、やがて土へと還ります。なんてシンプルなんだろう。

ここで藤井風さんの「帰ろう」の一節が響きます。

去り際の時に何が持っていけるの
一つ一つ荷物手放そう
憎しみ合いの果てに何が生まれるの
わたし、わたしが先に手放そう

藤井 風 - 帰ろう

旅で必要なモノはリュックに収まる。得ることよりも、手放すことを知ったんだよ。

40歳を超えてから世界を旅した素敵な女性がぼくにこんな話をしてくださいました。

ぼくはこの町で暮らした2019年に肩書を手放しました。名刺を手放しました。セルフブランディングを手放しました。

肩書きで自分を語らないことは困難です。ただの人。純度100%のたつみくん。誰?って聞かれても、たつみです。としか答えようがないのだから。

「あなたは誰ですか?」と問われたら、なんて答えるでしょう?仕事の話をしますか?信仰している思想や宗教?既婚か独身か子どもの数?推しているアイドル?

これが結構困難なモノだから、最近は自己紹介すら手放しつつあります。ビジネス的な人間関係も手放し気味です。ぼくは、ぼくが勝手に好きだと思う人以外必要のない気がします。

少し前に子どもが生まれました。思ったよりも可愛くて、思ったよりも愛せています。(愛せるのか?!との不安があった)

なんせハッピー野郎の巣窟のシェアハウスで育てているモノだから、責任を持って所有権を手放そうと思います。彼女の親でありながら、彼女は一人の人であり個であることを尊重していきたいのです。触れる全ての大人を親として、ジジババにして、友として、師と仰ぐ。そんな人生になったらいいと思っています。

ぼくはこれから得る利権を手放していきたいです。このままだとぼくは地域の中ではそこそこの発言力を持つおじさんになるでしょう。想像上は、まごうことなき老害です。

ぼくは老害にもゾンビに溢れた世界で唯一の生き残りにも世界最強にもなりたくない。ただ、自分自身の目線に広がる世界で幸福を感じて生きていたい。

紅葉が綺麗だとか、気づけば今年も終わっちゃうねとか、お腹すいた。とか。年に数回は旅に出て、ここも良いけどそろそろ帰りたい。なんて言ってたい。

それには少しばかりのお金も、少しばかりの深い人間関係も、少しばかりの努力も必要になるでしょう。だからぼくはもう少し、貧乏暇なし猪突猛進東奔西走な日常を乗りこなしていくでしょう。

全てを手放して土に還る。
必要以上を欲さず、奪わず、堰き止めない。
そんなシンプルなおじさんになりたいです。

奪い合うよりも分け合う方が幸福そう。
そんなにたくさんはいらないから、あなたに差し上げるわ。そんな暮らし。
手放し続けたら何が残るでしょう。結局のところ、ぼくはぼくで在り続けるでしょうけど。

手放してみる。って実はそんなに恐いことじゃなさそうです。
両手に抱えたモノも、背中にしょっているプライドも、所有しているあれこれも。少しずつ手放してみませんか?

、、って。誰にいっているんだろ?笑

2023年11月2日
写真とテキスト:たつみかずき

**

最近のこと:

①飲食店作ってます

目下再生中の僕たちのシェアハウス坂勘近くの【関所亭】運営者ゆる募してる

②ハッピー野郎の巣窟のシェアハウス坂勘-sakakan-入居者募集してる

宿場noie坂勘-sakan-一緒に暮らさない?

③塩尻市街地でシェアハウス作ってます

公開秘密結社塩尻市en.toのシェアハウスは11月以降入居できるよ

、、貧乏暇なし猪突猛進東奔西走な日常です。はい。

**

記事に関係するリンク:

↑あなたの人生の変化に関与してしまうど田舎の宿(ぐっさんに譲渡したやつ)

↑泥まみれ且つ愛にまみれた古物商(ぼくの生業の中心のやつ)

↑手放すことの歌

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?