見出し画像

【レビュー/アイスホッケー】プレッシャーのかけられない守備、サポートの足りない攻撃 大量失点の駒大が上智大に惨敗

2019年9月22日
関東大学アイスホッケーリーグ2部

駒大0ー6上智大
得点者:竹河内2、柳川、小池、和田森、池田(上智大)

惨敗である。駒大は上智大相手に攻守共に機能せず。2試合連続完封負けで最下位に転落した。

もはや上智大5人対GK菊池亮介1人

試合開始時の両チーム第1セット(白が駒大)

画像1

この日の駒大は主力のDF川野翼、DF西田朋生がけが等により欠場。代わりに第1セットの左ウイング(LWG)だったFW小笠原偉大をDFに入れ、第2セットのセンターフォワード(CF)だったFW久保田祥生を第1セットへ。CFだったFW矢口隼樹を右ウイング(RWG)にまわし、RWGのFW渡辺信勝をLWGで起用した。
さらに技術で勝る上智大対策として、フォアチェックを封印。自陣に引いて守った。

だが、これが大失敗だった。チェックの開始位置が定まらず、スピードに乗って攻め込んでくる相手を捕まえられない。足が動かず、球際も弱く、チェックはあっさりかわされた。一度かわされるとついていけず、相手選手は次々フリーに。ポジショニングも定まらず、ゴール前ががら空きになる事態も頻発した。
特に酷かったのがDF陣で、パックを持つ相手選手に対して何もできず、正対して距離を取りながらズルズル下がるだけ。結果、数的有利であっても簡単にゴール前まで運ばれ、自由にシュートを打たれた。リバウンドを拾おうにも下がりきっているため届かず、FW陣との間にぽっかり空いたスペースを自由に使われては波状攻撃を浴びた。
押し込まれた後も翻弄され、1人かわされるとそれにつられて他の選手のケアが甘くなり、ゴール前もがら空きに、という繰り返し。
もはや上智大5人対GK菊池亮介1人なのではと言いたくなる有り様で、開始54秒で先制されると、第1ピリオドだけで3失点。しかも上智大の第1ピリオドSOGは22で、菊池でなければとても3点では済まなかった。

さらに、攻撃も機能しなかった。
そもそもディフェンディングゾーンからなかなかパックが出ないのだが、辛うじてかき出したパックを運ぼうにも、1人でドリブルするしか手がない。サポートも遅く、1人2人抜いたとしても、あっさり囲まれて潰された。矢口がRWGに入ったことで単独突破は狙いやすくなったが、その利点よりも、これまでウイングをサポートしたり、パス出しをしていた“CF矢口”不在の悪影響の方が大きいように感じられた。

第2ピリオドも状況は変わらず、またも開始42秒で失点。それでもようやく押し返し始めると、アタッキングゾーン内でパスがつながるように。少しずつシュートも増えていき、21分15秒に5失点目を喫すると、さらに遠めからのシュートも狙い始めた。

だが、上智大の守備を崩したり、得点するには至らなかった。26分59秒には1分33秒間の5on3の絶好機を得たが、セットするどころか、まともに攻め込めないまま終了。41分10秒には単独突破した渡辺がシュートを放つもバーに嫌われ、2試合連続で完封負けに終わった。

画像2

守備が機能せず6失点を喫した

基本の再確認を

私は2016年以降の駒大のほとんどの公式戦を見てきたが、文句なしでこれがワーストゲームである。
なお、駒大がリーグ戦で6点差以上で敗れるのは2011年11月5日の青学大戦(0-7)以来、54試合ぶり。2部が8チーム総当たりから、現行の6チームでの予選リーグ&順位決定リーグ方式へ変更された2012年以降では初めてのことだった。もはやそんなデータが必要ないぐらいの惨敗だったが、せっかく調べたので一応書いておく。

繰り返しにもなるが、大きな問題だったのは守備。戦術理解度の高い川野、西田を欠いたこともあり、全体的に判断が遅く、しかも悪かった。急遽DFに入った小笠原は、今年度パワープレー時に右DFに入っていたものの、スタートからDFに入るのは大学初。奮闘はしたが、ケアすべき選手を離してパックキャリアに気を取られてしまう場面もあり、経験不足は否めなかった。公式戦2試合目の出場となったDF山口大貴も経験不足からか、及び腰になる場面や焦ってしまう場面も多かった。
この試合の上智大のSOGは50。選手が近くにはいたとしても、プレッシャーがかかっていない状態で浴びたシュートばかりだった。技術面の改善よりも、守備の仕方や相手に持たれていい場所、持たれてはいけない場所の再確認など、基本的な動きの見直しが必要ではないだろうか。

3ピリは善戦

一方、あえて駒大の良かった点を挙げてみよう。
1つは通常のセット構成であればそれなりに戦えそうな点である。第2ピリオドまでは攻撃時に渡辺、矢口が孤立し、守備時も普段と異なるポジションに上手く適用できていないように見えた。ブレイクアウトでは、ウイングのはずの矢口がゴール裏まで下がってパス出しをする場面もあり、行き当たりばったりな感は否めなかった。第3ピリオドにポジションを入れ替え、RWG渡辺、CF矢口、LWG久保田にすると、ようやくAゾーンでプレーする時間が増えるように。点差をつけた上智大の勢いが多少失われたように見えた他、相手守備を崩すには至っておらず、またDF陣が変わらず不適切な対応を連発していた点は見逃せないが、第3ピリオドだけ見れば0-0。惨敗の中で多少の手応えはあったかもしれない。

2つ目は少しだけ押し返した第2ピリオド以降、初戦同様に合宿で取り組んだ内容を出そうとする姿勢が見られた点である。出そうとしただけで成功したわけではないが、この姿勢は大切だ。継続していき、試合で成功できるようになれば、もっと楽に試合が進むはずである。

全チーム2試合を終え、勝ち点0は駒大のみ。単独最下位に沈む苦しいスタートとなった。ここからは28日昭和大戦、10月1日日医大戦、4日インカレ予選上智大戦と連戦になる。短期間でどう立て直し、勝ち点を積み上げていくのか。ここが正念場である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?