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詩) 友の誤算


友と僕は、高校の図書館で受験勉強をしていた。

友は、ある私立大学の赤本のコピーを始めた。

友曰く、滑り止めの大学だ。


何分経っただろうか。

コピーをする友の手が止まった。

そして、友は

怒り、焦り、悲しみ、笑い、

全てが入り混ざった表情で

僕にこう語りかけてきた。

「もう1000円近くコピーしてる・・・」



僕は、お、おぉ、と声にならない相槌をうった。

高校生にとって1000円は大金である。

友は、その複雑な表情のまま語り続けた。

「このまま必要なページを全部コピーしたら

 この赤本の定価を超えてまう・・・。

 だからと言って、今からこの赤本買うたら、

 コピー代、全部無駄になるやんけ!」


僕は友の肩に手を置いた。

そして小さくこう言った。

「ドンマイ」





友と僕は、神戸の餃子屋を巡っていた。

その日の3店舗目の餃子屋でのこと。


餃子を食べる友の手が止まった。

「ここの餃子、他と違う・・・」

自称グルメの友は、感心しきっていた。

「何かとんでもない隠し味が入ってるな・・・」

僕と友は、箸をすすめた。

「あ!」

友は急に叫んだ。

僕も、餃子屋の大将も、アルバイトスタッフも、ビクッと驚いた。

友は僕に小声で

「隠し味、わかったぞ」

と言ってきた。

僕は友に

「なんや?」

と聞いた。


友は僕に

「まあ、落ち着け」

と言った。


店を出る時、友は、店の大将に小声で語りかけた。


「大将、ここの餃子、バター使ってますよね?」

店の大将は、虚をつかれた表情をした。

友はニヤッと笑った。

大将は、すぐに普通の表情に戻り、無表情でこう答えた。


「使ってないよ」


今度は友が虚をつかれた表情をした。

「え?ほんまですか?」

「キッチン見る?」

「あ、ほんまに使ってないんですね」

「うん」


僕は友の肩に手を置いた。

そして小さくこう言った。

「ドンマイ」





友と僕は、ミスドに行った。

今日は、ミスドが全品100円の日だ。

友は、普段も100円の商品を買っていた。


僕は・・・

友の肩には手を置かなかった。

「これは、友の誤算ではないかもしれない」








今日も読んで頂いて有難う御座いました😃



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