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詩) 係長は真面目な顔で僕に言った



係長は僕に言った。

真面目な顔をして僕に言った。

「そのアイデアだけど、逆にこれはどう?」

「それについては、逆にこっちにしよう」


僕は思った。

はは〜ん。

係長の中で「逆に」がマイブームか。

「逆に」と言えば、デキる男の雰囲気が出ると思ってるな。

僕は黙って、係長の「逆に」を聞いていた。



しかし、あの時はついついツッコんでしまった。

係長がこう言ってきたのだ。

「おい、その案は、6月3日ではない方が良いぞ。」

「そうでしたか。すいません」



「6月3日ではなくて、逆に15日にしよう」

「え・・・」



「なんだ?」

「係長、お言葉ですが、3日の逆は15日ですか?」



僕はオフィスを飛び出し、ビルの屋上で空を見上げた。

風が気持ちよかった。






係長は僕に言った。

真面目な顔をして僕に言った。

「それにはポイントが3つある」

「その論点は3つだ」


僕は思った。

はは〜ん。

係長の中で「3つ」がマイブームか。

「3つ」と言えば、デキる男の雰囲気が出ると思ってるな。

僕は黙って、係長の「3つ」を聞いていた。



しかし、あの時はついついツッコんでしまった。

僕が係長にある相談をした時だ。

「係長、ご相談があります。

 あの案件ですが、トラブルが起きまして。

 とても困っています」

「なるほど。

 俺には解決策のアイデアが3つある。」


「はい」



「1つ目の案は、開発部に相談するんだ。

 2つ目の案は、取引先の山田さんと交渉してみるんだ。

 山田さんはキーパーソンだからな。

 3つ目は・・・・」


「係長、どうされましたか?」



「ちょっと待って」


「はい」



「うーん・・・

 あれ?あれ?

 えーっと。」



「・・・」



「・・・すまない、2つ目を話している間に、3つ目を忘れてしまった」



「あ・・・

 そういうこと、ありますよね」



「うん。あるけど、仕事ではあんまりないよね。」


「そうですね。」



「思い出したら、言うよ」




僕はオフィスを出て、ビルの屋上で空を見上げた。

飛行機が真っ直ぐ飛んでいた。







部長は係長に言った。

「おい、これで、俺たち3人分の缶ビールを買ってきてくれ」

部長は、係長に1万円札を渡した。


出張帰りの新幹線の車中。

商談が上手くいった部長は上機嫌だった。


部長は新幹線の座席に着くと、

「みんなで缶ビールでも飲みながら帰るか」

と提案した。

係長と僕のビール代も出してくれるとのことだった。



新幹線の出発にはまだ時間がある。


係長は部長に言われた通り、ビールを買いに、一旦新幹線の車中を出た。

そして、駅のホームの売店に向かった。



僕は、部長や係長の弁当を並べたりしていた。


そうこうしている間に、係長が戻ってきた。



すると部長が激怒した。

「おい!お前、何してるんだ!」


係長に対して言っていた。

部長は係長に対して怒っていた。


「なんで、そうなるんだ!」


振り返ると、係長は手に、パンパンに膨らんだレジ袋を持っていた。

中は全て缶ビールだった。


係長は、缶ビールを40本ぐらい買ってきていた。



「なんで、1万円全部使うんだ!」

「すいません!」


「普通、一人3本ぐらいでいいじゃないか!」


「すいません!」



「おまえ、これだと新幹線の中で

 一人15本ぐらい飲まないといけないだろ!」

「申し訳ございません!」



「まったく・・・

 なんで、1万円渡して、お釣りが200円なんだよ。。」




「逆に、3本で良かったんですね・・・」




「その”逆に”をやめろ!

 15本の逆は3本ではないしな!!」



「申し訳御座いません!!!!」





僕は新幹線の窓から空を見た。

夕日がとても綺麗だった。









今日も読んで頂いて有難う御座いました😃




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