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脂肪幹細胞を使った豊胸手術とは?

こんにちは。
今回も僕のnoteを開いていただき、ありがとうございます。

2回にわたり、聖心美容クリニックと再生医療への取り組みについてお話させていただきましたが、今回は、セリューションを使った豊胸手術の可能性についてもう少し掘り下げてお話したいと思います。

再生医療について、少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。


■セリューションを使った豊胸の可能性

2007年、聖心美容クリニックでも始めた、セリューション豊胸

当時、脂肪幹細胞を使った豊胸術は、ほとんど知られていませんでしたが、現在では、他院でも取り入れられるようになっています。

実をいうと、脂肪注入による豊胸手術には、“暗黒時代”がありました。
1987年から医学雑誌のPRSに、乳房への吸引した脂肪の移植について否定的な意見が掲載され、米国形成外科学会も、豊胸のための脂肪注入を非難する見解を出したのです。
これにより、脂肪注入による豊胸は、一時期、敬遠されていました。

しかし、1997年に米国のシドニー・コールマン医師が、適切な方法であれば脂肪注入は悪いものではないと論文で発表し、優れた脂肪注入技術であるコールマンテクニックを提唱したことで、再び評価されるように。

脂肪注入の暗黒の世界が解き放たれ、アメリカでも脂肪移植する豊胸術がポピュラーになってきました。
もちろん、豊胸は脂肪注入だけではありません。
インプラント(バッグプロテーゼ)を大胸筋膜下、もしくは大胸筋下や乳腺下に挿入する豊胸術は以前からあります。
インプラントであれば、脂肪注入のように生着率(胸に残る率)を気にする必要がなく、サイズアップが保証されますし、特に、大きな乳房サイズを求める海外の女性のニーズにはマッチしているといえるでしょう。

一方で、日本人の場合は、強調し過ぎないサイズでよく、2サイズアップくらいで十分という価値観があります。
それに、異物を体内に入れることに抵抗のある日本人女性は多く、当時、自分の脂肪を使う脂肪注入による豊胸は体にやさしいと評価が高かったのです。

脂肪注入による豊胸は、脂肪の生着率が悪く、1回の脂肪注入で2サイズアップは難しいのですが、生着率のよいセリューションであれば2サイズアップが期待できます。

■脂肪幹細胞と豊胸手術

そもそも、なぜ豊胸手術に幹細胞なの?
そんな疑問を持たれる方も多いでしょう。

脂肪幹細胞を使った豊胸手術の一番のメリットは「生着率の高さ」です。

もともと、乳房は血流があまり良くない部位。
そこに、太ももやお腹から吸引した脂肪をたくさん入れても、
脂肪を生着させるための酸素や栄養が行き渡らなければ、思ったほど脂肪が残りません。

少量の脂肪を何回にも分けて注入する方法も考えられますが、手術の回数が増えるのは、患者さんの身体の負担になります。

脂肪吸引しないといけないから、痛みもあります。

手術する側もされる側も、できるだけ少ない回数で、期待する大きさにしたい…
これが、脂肪注入のテーマでした。

■幹細胞のさまざまな働き

幹細胞にはさまざまな働きがあります。

新しい細胞に分化(変身)したり、自らと同じ細胞を複製したりする能力を持っており、活性化した幹細胞を乳房に注入することで、必要な脂肪や毛細血管などの細胞をつくります。

幹細胞がよりよく分化するためには、脂肪組織から分離させて活性化する必要があるのですが、そこで役立つのがセリューションです。

乳房に注入する脂肪とは別に多めに脂肪を吸引し、セリューションにかけて、脂肪細胞を取り除き、幹細胞群(SVF:間質血管細胞群)を抽出し活性化。

これを吸引した脂肪に混ぜて乳房に注入します。

これによって、幹細胞が乳房の毛細血管を増やしてくれるので、乳房の血行がよくなります。その結果、酸素や栄養が行き渡り、脂肪の生着率アップが期待できるのです。

■セリューションであれば豊胸手術は4時間

セリューション最大のメリットは、
抽出した脂肪からその場で幹細胞をつくれることです。

吸引した脂肪から幹細胞群を抽出するのに1時間半。

その日のうちに抽出した幹細胞を脂肪に混ぜて移植できるので
3時間~4時間で手術が終わります。

しかし、課題もあります。
この豊胸手術では、注入(移植)する脂肪だけでなく、
脂肪の生着率に貢献するSVFの分の脂肪も確保しなければなりません。

しかし、豊胸したい女性の多くは瘦せ型の傾向があり
SVFを抽出する分の脂肪がないのです。
これが、セリューションを使った豊胸の限界でした。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

脂肪由来の幹細胞を使った豊胸術について、
少しご理解いただけたでしょうか?

次回のnoteでは、セリューションを使った豊胸の課題を克服する
“培養幹細胞”についてお話したいと思います。

ぜひ、次回も読んでいただけたら嬉しいです。

鎌倉

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