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海外自転車旅ハウツー編 -13の事前準備-

海外自転車旅ハウツー編はじめます。

世界一周、大陸横断的なものではなく、会社員が有給をとって行くような1-2週間の旅を想定しています。

「海外自転車旅、興味はあるけど、なんか難しそう・・・」と思っている方を「自分でもできそうだな!」という状態に導くこと目指します。

ハウツー編は「事前準備リスト」と「装備リスト」の2つを考えており、今回は事前準備リストです。

台湾自転車旅1500km、フィリピン自転車旅1000kmを走った経験をもとに、必要なことを全て網羅したつもりです。

「そもそも海外自転車旅興味ねーよ!」という方はまずフィリピン自転車旅日記編をどうぞ

行き先を決める

 すでに行きたい国がある方はそこに行きましょう。
 まだ行きたい国がない方は、GoogleやYouTubeで「自転車旅 海外」などで検索してみましょう。きっと心が惹かれる記事や動画が見つかります。ハイレベルすぎてすぐには真似できないですが、自転車世界一周系YouTuberの動画なんかはおもしろいです。私は↓この動画を見てイランに興味を持っています。

 それでも行き先が決まらない方は、台湾なんてどうでしょう。単純に近いですし、コンビニやホテルが多く走りやすいです。トラブル時に鉄道でエスケープしやすいのも安心です。年末年始でも暖かくて人も親切。東西南北で風土が異なり、飽きないのも魅力です。ヒルクライマーには武嶺がオススメです。乗鞍より高いところまで自転車で登れます。
 台湾よりはほんの少し難易度が上がりますが、もちろんフィリピンもオススメです。

日程を決める

 会社員の方であれば、行き先が決まった後に頭に浮かぶのは「どう連休をとるか」ということではないでしょうか。最低でも9日の連休は欲しいです。(移動日に2日、現地での予備日に1日、帰国後の休息日に1日を確保しても、5日間走ることができます。)
 9連休というと一見難しそうですが、ゴールデンウィークや年末年始のような連休に有給をくっつけて、なんとかなりませんか?。私の場合、台湾旅では5日有給を取って16連休、フィリピン旅では3日有給を取って12連休を確保しました。
 なんと、今年のゴールデンウィークはたった2日の有給で9連休がとれます。チャンスです。

ネットからの転載です

ルートをひく

 行き先と日程が決まったら、次は走行ルートを引きます。私は3つのツールを使います。
 ①グーグルマップ
 ②Strava
 ③スプレッドシート
フィリピン旅(と少し台湾旅)を例にしながら、5つのステップを紹介します。当然、各ステップ行ったり来たり試行錯誤していくものです。

大まかなルートをひく

 グーグルマップのルート検索を使い、スタートとゴールを決めるくらいのレベルで大まかなルートを引きます。そのためには、行きたい場所と走れる距離を決めておくことが必要です。
 フィリピン旅を例に解説します。行きたい場所の優先順位は以下のように考えていました。
 ・最高:イロイロ
 ・高 :バギオ(マニラから北へ250km、標高1500mの高原都市)
 ・中 :マニラ、セブ
 ・低 :タガイタイ、ギマラス島、ボホール島
 走行距離は1日に走れる距離×走行日数で見積もります。フェリーに乗ることを考えると、1日に走れる距離は100~150キロです。走行日数は滞在日数11日から移動日2日と予備日1日を除いては8日間です。走行可能距離は130km × 8日で1000キロと見積もりました。
 すると、行きたい場所を効率よく回りつつ、1000キロでおさまるルートとして「マニラ→セブ」が導かれるというわけです。他には「バギオ→セブ」や「セブ⇔イロイロ往復」も候補に上がったのですが、前者は距離が長過ぎ、後者は短すぎということになりました。バギオは行きたい都市だったのですが、マニラとバギオの間はバスで6時間の移動が必要であり、断念しました。

グーグルマップでの大まかなルート検討

詳細なルートをひく

 グーグルマップは一部地域を除いて自転車用のルート検索には対応していません。そこで、詳細なルート検討ではStravaも併用します。
 Stravaを使う理由の1つは、グローバルヒートマップ機能によって自転車で走りやすいルートが分かることです。その画像を2枚貼りました。自転車での走行ログが多い道ほど濃い紫で示されます。人口にも影響されるのが難しいところですが、濃い紫の道ほど走りやすい道と考えられます。グーグルマップのストリートビューも併用して道路の舗装状況も確認しておきます。Stravaには路面タイプという表示がありますが、実態に合っておらずあまり参考にできない印象です。
 フィリピン旅ではフェリーの航路についても調べる必要がありました。グーグルマップはフィリピンのフェリーをあまりカバーしていないようだったのでGoogle検索を使いましたが、ここでの情報収集がかなり甘かったことは日記編を見ていただければ分かるとおりです。

Stravaを使った詳細なルート検討
黒丸で囲ったセブ島最高峰オスメニアピーク周辺のグローバルヒートマップです。
東からのルートは色が濃いのに対し、
私が通った南西からのルートは色が薄く、人気がないのが一目瞭然です。

宿泊地を決める

 具体的なルートが見えてきたら、宿泊する街を決め、日付を区切っていきます。グーグルマップで「ホテル」と検索すれば泊まれそうな街の見当はつきます。日付ごとの距離や獲得標高の目安をスプレッドシートに整理し、全体として無理がないかを確認します。

フェリーがなくシンプルなので、台湾旅のスプレッドシートを紹介します。

ルートを保存する

 ここでもStravaの出番です。Strava作成したルートは保存してスマホから呼び出しナビにすることができます。Stravaは道に迷いそうな場面、グーグルマップは補給地点と探す場面、というように2つのマップを併用しました。

フィリピン旅用に作成していたルート
スマホのStravaのナビ画面です。

ルートをひくときに意識していること

 日別にルートを決めておくものの、状況に応じて距離を伸び縮みできる柔軟性を持たせることを意識しています。自転車ですので、実際に走れる距離はやってみないと分かりませんし、気分でルートを変えたくなることもあるためです。
 距離を縮ませるためのショートカットルートはトラブル対策として特に重要です。フィリピン旅では、ドゥマゲッティをカットしてセブに直行するルートを用意していました。
 逆に、予定よりスムーズに走れた場合に距離を伸ばすルートもイメージしておきます。フィリピン旅では、あわよくばレイテ島に立ち寄るというプランも想定していました。
 このように柔軟性を持たせるため、出発前にホテルの予約をしておくのは初日と最終日だけです。あとは前日夜にホテルの候補を挙げておき、当日昼~夕方に予約していました。宿泊予定地のホテルの空室が少ない場合は前日から予約を入れる場合もありますが、予約したとたんに窮屈な気分になるので、ギリギリまで先延ばしにします。ちなみにホテル基本的に全てAgodaを使って検索、予約をしています。

航空券を予約する

 安く予約する方法などについてはあまり詳しくありません。
 1つ言えるのは、LCCをする場合は自転車の持ち込み費用を計算にいれましょうということです。JAL国際線(成田⇔台北)、ANA国際線(羽田⇔マニラ)、フィリピン航空(セブ→マニラ)での飛行機輪行の経験がありますが、追加料金が発生したことは一度もありませんが、おそらくLCCだと追加料金が発生するのではないかと思います。

飛行機輪行の準備をする

 飛行機輪行は電車輪行より少し難易度が上がります。詳しい手順は検索していただきたいのですが、難関はリアディレーラーの取り外し、取り付けです。普段ほとんどしない作業だと思うので、初めての人は事前に複数回練習しておきましょう。出国前は自宅で作業できるのでいいのですが、到着してからの組み立てや帰国時の梱包は慣れない外国での作業になるためです。
 ディレイラーハンガーも一緒に外してしまうほうが安心です。台北→東京のJAL便で曲がった経験があります。
 飛行機輪行で私が使っている道具を紹介します。

  • 飛行機輪行袋

    • オーストリッチ OS-500

  • 養生テープ

    • ニチバン フィルムクロステープ 軽包装用 50mm×25m 185-50
      帰りも使うので、現地にも持っていくのを忘れずに

  • 緩衝材

    • 酒井化学 #400SS 300mm×10m 緩衝材 ロール ミナパック
      こっちは再利用できるので、現地には少し予備を持っていければ十分です。

  • ペダルとディレイラー用の六角レンチ

    • シマノの工具セットについてきたものです。携帯工具に含まれていないので別で持っていきます。

  • フロント/エンド金具

    • 電車輪行ではエンド金具だけで十分ですが、飛行機輪行ではフロント金具も必要です。

緩衝材と養生テープでグルグル巻きです。

初日の行動計画をつくる

 海外自転車旅の初日の2つのタスクとして①タイヤの空気入れ、②飛行機輪行袋の発送、を日記編で紹介しました。初日は確実にこの2つのタスクをこなす必要がありますので、情報収集をしておきましょう。

 1点目、空気入れを貸してもらえそうな自転車屋を探しておきましょう。飛行機輪行でトラブった場合に修理が頼めそうなところだと尚良しです。
 2点目、帰りのための飛行機輪行袋の準備です。台湾旅は島一周ルートだったので、台北の荷物預かり所を利用しました。フィリピン旅ではマニラ→セブの片道ルートですので、宅配便の利用が必要になりました。どの宅配会社を使うのか、どこから発送し、どこで受け取るのか、よく調べておきましょう。ネット検索と併せて電話確認も有効です。

安全に関わる情報を調べる

 安全に関わる情報は忘れずに調べておきましょう。
 観光地や楽しみ方、食事のことなども調べればキリがないですが、ネットでの事前情報収集には限界があるので、できる範囲で十分だと思います。現地に行ってから分かることも多いですし、その驚きが旅の楽しみでもあります。

治安

 治安が悪い地域はどこなのか、どんな犯罪があるのかということを把握しておきましょう。例えばスリが多いのでジャージの背中ポケットに貴重品を入れて街中を歩くのは危険、ということが分かっていれば対策が取れます。フィリピン旅については、むしろ警戒しすぎだったかな、というのが帰国してからの感想ですが。

病気

 どのような病気のリスクがあるのか、どこに食中毒のリスクがあるのかを把握しておきましょう。参考になりそうな厚生労働省のページを貼っておきます。
 必要に応じて、行き先で感染リスクのある病気に備えたワクチンの接種も検討しましょう。自分は特に接種しなかったのですが、日記編でも書いた通り野犬は恐怖だったので、狂犬病のワクチンは打っておけばよかったと思います。

天気・気候

 日程と行き先が決まってからは、毎日天気予報をチェックして雨が降らないことを祈る日々がはじまります。私はWindyというアプリで天気予報を見ていました。台湾旅の途中で会った日本人サイクリストから紹介を受けて使い始めまたものです。天気が分かるのに加え、その名の通り風の状況を細かく知ることができるのがサイクリスト視点でのメリットです。
 しかしこのWindy、台湾では大活躍だったのですが、フィリピンでは天気も風も予報がさっぱり当たらず、ほとんど役に立ちませんでした。予報が当たらなかった理由は今もよく分かりません。
 フィリピン旅で1つ学んだのは、天気予報を見るだけではなく、より大きな「気候」という視点から理解しておく必要があったということです。フィリピンであれば例えば、
 ・雨季、乾季とは
 ・平地と山、島ごとにどのように気候が違うのか
 ・天気はどの方向で変化していくのか、どのくらいのスピードで変わっていくのか
 このような気候についての理解があるかないかで、同じ天気予報を見たときの解釈が変わってくるはずです。気候を理解できていればWindyも使いこなせたかもしれません。

言語を習得する

 Google翻訳を使ってもなんとかなると思いますが、少しでも現地の方との会話を楽しむためには、自分の力で話せたほうが当然よいです。
 まずは英語です。自分の場合は、サボりがちになっていたDMM英会話を、フィリピンへの出発1ヶ月前に再開しました。それでも現地でうまく会話できない場面もあり、もっとしっかり特訓しておけばよかったと後悔しています。
 英語以外の現地の言語も重要です。フィリピンならタガログ語やセブアノ語といったローカル言語です。種類が多くて完全に諦めており、ろくに勉強しなかったのですが、これも後悔しています。
 「タガログ語しゃべれる?」「セブアノ語は何知ってる?」などきかれた場面で何も喋れなかったときは、失礼なことをしてしまった気持ちになりました。日本で外国人にいきなり「Do you speak English?」と話しかけられたら「ここは日本だぜ?」と少し思いませんか?多少は現地のローカル言語を習得しようという気持ちを見せるのが礼儀と思います。

装備を決める

 早めに始めましょう!(重要)
 初めて使う装備は事前に国内でテストをしておく必要があるためです。ガジェット系は特に使い方の習得も必要です。最低でも1ヶ月前からははじめておくのがよいです。装備編は別で書きます。

身体をメンテンスする

 長距離旅から日が空いてしまっている人は意識的に走っておきましょう。装備のテストも合わせるのがよいです。
 身体に不安がある方は、事前に検査なり行っておきましょう。自分はサイクリストあるある?の粉瘤の治療をしておきました。現地で虫歯が痛くなったりしないように、歯医者に検診にも行っておきました。ワクチン接種についてはすでに触れたとおりです。

自転車をメンテナンスする

 タイヤ、ワイヤー、バーテープ、ブレーキシュー、チェーン、クリートなど、消耗品の状態を確認し、必要なら新品に替えておきましょう。ホイールの振れ取りをしておくのもいいでしょう。

海外旅行保険に入る

 自転車は普通の旅より明らかにリスクが高いので、医療保険、携行品補償、トラブル時の日本語電話サポートがしっかりしたものに入っておくほうがよいでしょう。私はソニー損保を使っています。契約内容の証明書やトラブル時の緊急連絡先を印刷して持っていましょう。

出国/入国の準備をする

 パスポートの準備やコロナ関係での手続きです。コロナ関係では、フィリピンへの入国で「eTravel」というアプリ、日本への再入国で「Visit Japan」というアプリでの事前手続きが必要でした。


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