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8月14日

お焼香日オショコビ
今年も母と、我が家のお墓へ向かう。

墓地のお隣に住むおばちゃんは、世代的にはおばあちゃんなんだろうけど、とてもハツラツとしたお方。お盆やお彼岸の頃にはいつも、道路沿いの土手の草をきっちり刈っていた。

だけど今年のお盆は違った。
墓地へと続く道の半ばで、母が歩みを止める。

「あぁ……〇〇さん、今年は草刈り、あぎらめだな……」

急勾配の、大きな土手を見つめる、どこか寂しげな母の声。翻ってここぞとばかりにのびのび育つ、青草たち。

勢力が、逆転しつつある。

お焼香オショゴから帰ると、庭で塩をつまんで背後にぱっぱっと放る。さらにひとつまみ口へ入れ、井戸場でゆすぐ。子供の頃から続けているお清めの儀式。父と祖父母なのだから清めなくてもいい気もするが。

連日の暑さがこたえる。
今年はやたら、塩がうまい。


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