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【読書日記】陰陽師 女蛇巻

夢枕獏/文藝春秋

<感想>

保憲兄さんがいる!
「さしむかいの女」という話に出てくる。
いつものように沙門に乗って登場する。
好き。

晴明は露子姫がいるのに堂々と博雅を口説くのやめた方がいいと思う。
せめて二人だけのときにした方がいい。
そしてそれを堂々と帯に書く文芸春秋がすごい。

※以下ネタバレあります。

「相人」が一番好き。
人相見が得意なお坊さんが、実は無意識のうちに自分の占いを現実にしていた、と。
本人はそんなつもりは全然なくて、むしろ人を助けたいと思っている。
心というのは自分の意思ですべてをコントロールはできない。
その「ままならない部分」が美しいんだけども、美しいだけでは済まないこともある。
事実を淡々と述べているだけなのに、何とも言えない切なさがある。
世界観の賜物だと思う。
そしてシリーズもののパワー。
読者が勝手に深読みできる仕組みは強い。

情景描写が美しいのは博雅や蝉丸がひとりでいるときなんだけど、やっぱり晴明と博雅におしゃべりしていてもらいたい。
それはそれ、これはこれ。


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