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ロキソニンがコンビニで買えない理由

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こんにちわこんばんわ。
全ての増税に反対し、全ての減税に賛成する自由人、七篠ひとり(@w4rZ1NTzltBKRwQ)です。

今日は昨日の「ロキソニンがネットで買えてコンビニで買えない理由」の続きです。

前回記事では、ロキソニンなどの第一類医薬品が一時期ネット販売規制をされていた理由が「なんだか危なそう」という雰囲気だけだったということをお伝えしましたが今回は、

今ではネットでも買えるそんなロキソニンがどうしてコンビニには売っていないのか?

についてです。
結論から言えば「第一類医薬品は薬剤師による対面販売しか出来ないという規制があるから」なんですが、これも結局「なんだか危なそう」という雰囲気だけで私達は不便を強いられています。

でも対面販売の話の前にまずコンビニでの医薬品販売について触れるべき規制の話があります。

それが「2分の1ルール」です。

「2分の1ルール」とは「医薬品を販売する店舗では営業時間のうちの半分以上の時間、薬剤師又は登録販売者が勤務し医薬品を販売しなければならない」という謎ルールです。

このルールのおかげで24時間営業のコンビニで医薬品を売ろうとすると、毎日12時間以上にわたり薬剤師又は登録販売者がシフトに入る必要があります。
これは労働基準法では1日の労働時間は8時間と規制があるので、コンビニで医薬品を販売するには「2人の薬剤師又は登録販売者が毎日シフトに入る」が条件になることを意味し、現実的にコンビニでの医薬品販売を不可能にしていました。

しかし「不可能になっていました」と過去形で書いたことからもわかるように、この「2分の1ルール」は現在はありません。

2021年の夏に「2分の1ルール」は撤廃されたからです。

ではなぜ規制廃止されたのでしょう?

その答えは2020年10月に行われた規制改革推進会議にあります。

第2回 令和2年10月21日 規制改革推進会議 医療・介護ワーキング・グループ(PDFファイル)
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/iryou/20201021/gijiroku1021.pdf

長い議事録なので関係部分だけ簡単に要約しますが、これを見れば「いかに現実にそぐわない建前だけで規制が作られているか」を再認識できるでしょう。

●「なぜ2分の1ルールが必要なのか」に対する厚労省の見解
・医薬品販売は、利用者への販売だけではなく、相談、医薬品の陳列、管理、保管まで一体的に行ってもらう必要があるために薬剤師又は登録販売者に限定している
・営業時間規制は利用者の利便性はもちろん、仮に服用後に副作用が起こった時、店が閉まってて相談できない事態を防ぐため。
・販売店は売るだけでなく売った後に専門家がきちんと相談対応できることが店舗としての責任。
・こういった薬剤師が一体的に対応できる仕組みこそが利用者が安全かつ安心して医薬品を購入できる担保に繋がる

●河野太郎規制改革相(当時)の反論
・営業時間中のうち半分は薬剤師がいなければいけないというのは厚労省の思い込み。何時間売るかは店が決めることだ。
・副作用対応をその薬を売ったお店がしなければいけないのなら、観光地にある薬局は観光客には薬を売れないことになるが?
・沖縄の薬局で薬を買った東京からの観光客が飛行機での帰京中に副作用が出ても沖縄の薬局はその対応は出来ないのだから厚労省の言い分は理解できない。
・安心、安心と言うけれど実際は薬剤師がいても「風邪薬の●●を下さい」「はい、どうぞ」だけの売り買いが結構ある。
・いま厚労省が薬剤師の必要性について説明した内容のかなりの部分は疑わしい。
・薬剤師がいなければいけない、薬剤師がやらなければいけないケースが医薬品売買時全体の中でどれぐらいあるのか、「本当に薬剤師が必要なのはどういう状況なのか」というのをきちんと調べて説明する立証責任は厚労省にある。
・今までのように安心だとか副作用が出たときにとか五感を使ってとかいう説明は、きちんと立証されていない。
・立証もせずに規制を決めることは、もうやめなければいけない。
・どういう場合に薬剤師が本当に必要だったのか、薬剤師にどれだけの相談があるのか、厚労省はきちんとエビデンスを集めて、それをベースに議論しなければダメだ。

ぐうの音も出ないとはこのことでしょうが、何十年にもわたって守られてきた「2分の1ルール」はこの議論から1年経たずに撤廃されました。

規制廃止になったということこそ、前回記事の医薬品ネット販売同様、この規制にはなんのエビデンスも裏付けも無かったという証拠です。

そしてこれは現在も残る薬剤師による対面販売規制にも言えるわけです。

副作用などの相談は店舗でなくても、専門家が常駐するカスタマーセンターをひとつ設置すれば24時間年中無休で対応可能です。

しかし現在ある対面販売規制のおかげで、コンビニでは各店舗に薬剤師又は登録販売者が必要になっており、これがコンビニでの医薬品販売の普及を妨げてるのです。

このおかげで夜中に頭痛に悩まされてもコンビニでロキソニンが買えないわけなのですから、利用者の利便性というのであれば「販売規制緩和」が必要なのは言うまでもないでしょう。

一応言っておくと規制緩和は「薬剤師不要論」ではありません。

医薬品販売規制緩和は「薬剤師による販売を禁止するものではない」からです。

ロキソニンもイブA錠も正露丸もその場で調合することの無い市販薬です。
そんな市販薬を薬局で薬剤師の説明を聞いて買うのか、バイトが売るコンビニで買って自分で注意事項を読むのかは消費者が決めればいいだけ。
それが規制緩和です。

もし薬剤師による販売の方が安心だと消費者が思うなら、みんな薬局に買いに行くので規制緩和してもなんの問題もないはずです。

規制緩和すれば薬剤師の雇用が無くなると思うのであれば、それは多くの人が薬剤師を必要としていなかったということに過ぎないのです。

そういえば昨日「ロキソニンでこんな薬害事故が起こってるの知らんのか!」みたいなことを言ってきてる人がいましたが、それは現在の規制があっても用量を守らない飲み方をする人はいるという話であって、薬剤師の説明は機能していないといってるのと同じです。

それでも「国民は薬剤師から買えば一回一錠、一日2回までという服用量を守れるけど、コンビニ店員から買えばロキソニンを歳の数だけ飲んでしまう」と思っているのであれば、なぜそうなるかを立証すべきだと思います。

ということで、今日の記事はここまで!

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