コロナで苦しい今だからこそ考えたい、「タクシーのNetflix化」の話。②

昨日は少し大雑把にタクシーのNetflix化であり、別の収益方法の話をしました。
今日はその話をもう少し細かく考えた内容をお送りしていきます。
タクシーのNetflix化には「クリエイター発掘の場?」という
新たな価値の可能性も眠っていると思っています。

前日の記事


「タクシーを移動手段からエンタメに変えていく」をテーマに、
現在はタクシーエピソードで新たなエンタメを作ることを中心に活動している
日本タクシーエンターテインメント協会 
発起人 ヨナシロ
の書いた記事です。


四方良しで考える

昨日の記事では四方良しとしてタクシー利用者、タクシー運転手、タクシー会社、業界を挙げました。
しかし、タクシー会社と業界は同様に考えて、
Netflix化した際にで新たに絡むコンテンツ配信元の企業(広告主)に変えてみたいと思います。

タクシー利用者、タクシー運転手、タクシー会社(業界)、広告主企業の四方です。
それぞれが求めるモノを考えてみます。

タクシー利用者は運賃以上の「移動体験」→「面白いコンテンツ」

無料が難しいならば、同じ額で今まで以上の価値を受け取ることが出来れば移動体験としては相対的に安くなります。
タクシーの中で面白い作品が見れるのであれば移動以上の価値を受け取ることが出来ます。その作品を観るためにいつもは歩く距離をタクシーに乗る可能性があります。
また、話題の作品が登場すれば普段乗らない方が作品目当てで乗ってみる機会が誕生します。
この場合、月額制で利用する人を増やすことにもなりますが、
話題の作品を観るにはタクシーに乗らなければならず、
通常の移動手段としてのサービスでは存在しなかった利用者を生み出します。

Netflixで例えると、
少し前に話題になった山田孝之さん主演の「全裸監督」は会員しか観ることが出来ません。
非会員が観たい場合は入会しなければなりません。
Netflixが要らない人はこの手のサービスにありがちな初回1ヶ月無料の会員登録等を利用して作品だけを見て退会する方法などもあります。

これをタクシーの話に戻すと、今まで利用していなかった方の利用を促しています。

Netflixでは入会が必要になるのですが
タクシーの場合は会員にならなくても乗るだけで観れる機会がつくれます。しかも、それはコンテンツを得るのではなく、「移動」の中に入る「移動×コンテンツ」です。
そこがNetflixとの違いです。

タクシー会社(業界)は「コンテンツによる利用者増」によって安定的、かつ収益増

シンプルに利用者が増えてくれれば収益が増えます。

月額制の会員(利用頻度 高)、
たまに乗る非会員(利用頻度 中)、
乗らない非会員(利用頻度 小)
という分け方を作ると分かりやすいです。

利用頻度の高、中はこれまでと変わらず乗っている層です。
それ以外の、これまで乗らなかった“乗らない非会員(頻度 小)”がコンテンツ配信によって利用したくなるカタチです。

会員でない人が何かの作品を見たくて乗る場合、通常のタクシー料金です。(後々値下げ)
Netflixのように一つ気になる作品があったらそれだけのために会員になる必要はなく、「コンテンツ一回分の購入」と言う形の「タクシー1回利用」になります。

それによって、
会員ではない人で普段乗らない人が作品を観るために乗る。(0→1回)
会員ではないが月に2~3回の利用者が少々気になった作品の続きを観るために普段の倍の回数乗る。(3→5.6回)

月額の費用とは別に回数が増えることで売上が上がります。

タクシー運転手は「会社」→「社員」という流れの下で収入増、月額制により運賃変動によるトラブルやストレス減

会社の収益が上がれば、社員への収入へ還元することも可能になります。
また、月額制のお客様をお乗せした場合、運賃変動を気にする必要がなくなるため、1分1秒を争ってスピードを上げる必要がないので事故のリスクを下げたり、渋滞に気を悩ます必要が無くなります。

また、運転手の立場に関してはタクシー運転手営業マン化計画(別名タクシーアフィリエイト計画)があるので、それが更に収入プラスの材料となります。
ひとまず、今のタクシー運転手の収入は売上に対して歩率約60%で時間や距離で上限があるため最大1000万強で頭打ちです。

タクシー会社の経費は人件費が約70%とされているため、これ以上その比率も上げられないですし、今のままでは上限以上の収入増はありえません。

タクシーという“密室”や“個人で動く”強みを活かして収益をつくるアフィリエイト計画についても後々書きたいと思います。

自動運転が普及するまでの間、まだ有人運転のタクシーには運転手が必要ですが、この先10年で乗務員が3分の2になる(約28万人→約20万人)人材不足のタクシー業界に人員を増やすには収入増、ストレス減は重要なポイントです。根本を変えずに、紹介料を上げたりても何も変わりません。しかも紹介料を受け取る代わりの2年勤め縛り契約なんてあるべきではないです。

広告企業はタクシーの車内という空間を利用しこれまでより低い予算でテレビ、ネット以上の認知、話題の獲得可能性

タクシーで行われる車内アド広告は、
密室での強い関心度による訴求力の高さ、タクシー利用者という比較的高所得者層といったターゲットの絞られた客層へのアプローチが主な狙いです。
(特に東京)

しかし、僕は全国で走る約20万台、年間14億5200万という集客力、さらに前述した積極的関心度の高い室内のアプローチを活かし、
さらに広告を見るのではなく、作品を見るコンテンツプラットフォームとして存在する方が良いと思います。
別名、移動するショートフィルムシアターです。

また、広告としてもテレビCMに必要とされる大きな予算もいらず、利用者が楽しめる作品を作る事が結果的に深い認知獲得に繋がると思います。
(昨日の「ファインディング・ニモ」の話)


クリエイターや作品発掘の場?

もし、全国のタクシーがドラマやアニメを見れる場所に変われば、そこが俳優、映画監督、アニメ関連のクリエイターの発掘の場になるかもしれません。

作品を作ると、それを多くの人に観てもらいたいと思うのが製作者の思いです。
今は個人個人がSNSやYouTubeで発信でき、その手段も増えていますが、それぞれが最初からファンが存在するわけではなく、作品を作り、観てもらい、面白いと思って貰わなければファンの獲得に繋がりません。
そして、面白いと思って貰うにはどこかで気付いてもらう機会を作らなければなりません。

コンテンツ製作者(広告主でもある)は作品を観て、存在に気付いてもらう必要があるため、多くの集客を必要とします。
作品をつくるだけでは集客に繋がりません。
多くのお客さんと、その人たちに触れる場所を求めていますし、届ける手段も幾つも取る必要があります。

自分が作った作品を多くの人に届けるには作品や作者の知名度やお客さんの多い環境が必要とされますが、タクシーで配信される場合は移動のために乗る人がいるので勝手に集客をしてくれます。

映画館で上映する場合、映画館自体には集客力はなく結局作品の話題性がないと上映出来なかったりします。
しかし、タクシーでは集客力があり、さらにタクシーも集客の装置になる作品を求めます。
そこで配信することで、作者やキャストのファンになれば自身の別の作品も観てもらえる可能性があります。

チャンネル登録者数5万のYouTubeで作品を出すのも良いですが、
年間14億人のタクシーで作品を出す方が多くの方に観てもらえます。
「観てください」「観に来て下さい」と、返事もない営業メールをしなくても観に来る人(タクシーに乗る人)がいます。

広告の役割でもある作品なので完全に自分の作りたい作品とは違うところも出てくると思いますが、
街中、ネット上、テレビ、電車、さまざまな広告媒体よりもタクシーという密室空間の通常以上の積極的関心を得られる場所であり、
年間14億人もの輸送人員という対象は製作者にとって非常に大きいギャラリーです。
そこに載せる作品を作り、多くの人に観てもらうことで気付いてもらう機会が出来ます。

この話をまとめると、
タクシーは集客のために「面白いコンテンツ」を求める
製作者(広告)は集客(ファン)のために「配信場所、タクシーの利用者」を求める。

タクシーで「面白いコンテンツ」が配信され、『利用者が増える』と
タクシー会社は売上が上がります。嬉しいことです。
製作者(広告)は多くの人に観てもらえる機会が出来ます。
これも嬉しいことです。
その中で更に注目されるような作品を作るために力をいれてコンテンツを作ります。
そして面白いコンテンツが出来れば出来るほど、増えれば増えるほど、
さらに『タクシーに乗りたい人』が増えます。
するとタクシー会社は売上が上がります。また嬉しいです。
タクシーに乗る人が増えるということは、
作品を観てもらう数も増えるということです。また嬉しいです。

こうやって互いに株を持ち合うようになり、相乗効果で求めるモノを得ることが出来ます。

その環境で、まだ陽の目を浴びていないクリエイターや俳優が参加できれば、ファン獲得やチャンスにもなります。

記憶にあるか分かりませんが、2017年に公開された映画『カメラを止めるな』は「無名の新人監督と俳優が創ったウルトラ娯楽作」というキャッチフレーズがつき、予算は300万ながら、興行収入30億を超えるヒット作となりました。
2018年の興行収入ランキングでは木村拓哉さん主演の『検察側の罪人』を超え7位という結果でした。

タクシーの様な集客力のある場所でそのような挑戦が出来ます。

カメラを止めるなの内容はネタバレ厳禁という空気がSNSで起き、それを気にするように観客が増え、次第に口コミが増えるサイクルがあったという話があります。
※芸能人の猛プッシュも要因の一つだと思いますが。

ネタバレ厳禁はタクシーでも同じ構造が出来ます。
見ないと(乗らないと)分からないという、タクシーの閉鎖空間と共通するところがあり、観てもらう数が多ければ口コミの量も増え、
タクシーの車内コンテンツから大ヒット映画が生まれる可能性もあります。

このように、
まだ世に出てないが活動をしている方々の世に出る機会になるのもいいなと思いますし
いずれは、テスト的に小さく作った映画やドラマをタクシーで流し、反応が良ければ本作を造るという流れになっても面白そうです。


今日もちょっと長くなってしまいましたがお終いです。

ありがとうございました。

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