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テレワークゆり物語 (79)テレワークで「働ける」ようになる人は何人?

テレワークだと「働きたいけど、働けない」人が「働ける」ようになる、って言うけど、日本に「働きたいけど、働けない」人は、どれぐらいいるの?

なんとも、ややこしい質問を受けたことがある。確かに、数までは調べていないし、正直、想像もつかなかった。

調べ始めると「非労働力人口」なるものを見つけた。

「非労働力人口」とは、15歳以上で、収入になる仕事を少しもしなかった人のうち,休業者及び完全失業者以外の人。もう少しわかりやすくいうと「今、仕事をしていない人」「今、仕事を求めていない人」。専業主婦や、学生、定年退職した高齢者、ニートなども含まれる。

総務省の労働力調査によると、2020年度の非労働力人口は4202万人。
コロナ禍の影響もあり、前年度に比べ、7万人も増加している。

フキダシ付きの数字を足すと159万人

数値をよくみると、この中には「就業希望」つまり、本当は「働きたいが、働かない」という人が、286万人も含まれている。

働いていない理由は、さまざまだ。「近くに仕事がない」「勤務時間・賃金などが合わない」「出産・育児のため」「介護・看護のため」「健康上の理由のため」など。特に、勤務時間や子育て・介護を理由にする女性は多い。

テレワークであれば、働ける可能性のある「地域」「勤務時間」「子育て」「介護」「健康」の数字を合計すると、なんと159万人にもなる。

もちろん、全員がテレワークで働けるわけではない。しかし、労働力人口が減っていく日本において、ひとりでも多くの人が働ける社会にするために、テレワークという働き方がいかに重要かがわかる。

以上が、田澤由利リサーチの結果だが、実は調査中に、それより、ちゃんとした数字を見つけてしまった。

国は、2018年から「未活用労働指標」という新しい指標を設定した。
(これに伴い、非労働力人口の定義も変更されている)

「未活用労働指標」は、より対象を広げた「働きたいけど、働けない」人の、公的数値である。
(ということで、田澤由利リサーチの結果は、「理由」のみ注目いただければと思う。でも、これも大事。)

「未活用労働指標」においては、

  • 就業者の中で、もっと働きたいと考えている者

  • 働きたいが失業している者

  • 非労働力人口の中で働きたいと考えている者

この3つの合計数値を「未活用労働」としている

未活用労働の範囲

では、実際に未活用労働人口はどれぐらいなのか
独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)による統計表をみてみよう。

未活用労働指標

いかに女性の労働力が「埋もれているか」が、一目瞭然である。

また、総務省の2021年7-9月の統計データから、追加就労希望就業者219万人、失業者224万人、潜在労働力人口43万人という数値がでている。これらを合計すると、

未活用労働力は、なんと486万人となる。

この数字を「テレワークできれば就業できる人数」というには、あまりにも無責任であることは認識している。実際に、これだけの人数が就業できるテレワーク可能な仕事・就業先は、今の日本には無い。

しかし、「テレワークがあたり前」の社会になれば、埋もれる労働力であるこの500万人近い数字を、減らすことができることは間違いない。

思えば30年前、長女と出産と夫の転勤で、会社を退職した私は、まさに「働きたいけど働けない」状態だった。そのもどかしさが、くやしさが、今のテレワーク推進の原動力となっている。
500万という数字を減らすために、まだまだ、がんばらないといけないみたいだ。


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