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19 「ホワイトノイズ奏法」

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 今回は、前回の18「コラム:響きと振動」で取り上げた発音原理に基づいて、新たに開発した演奏テクニックについてご説明します。私はこれを「ホワイトノイズ奏法」と名付けました。

 このユニークな奏法で、どれだけ演奏が楽になることでしょう!
 ポイントは、楽器から出る音の決定権は口(マウスピース、リード、唇)ではなく管体にある、という音響学の知識にあります。「コラム」を今一度読んでイメージをつかんでください。その上で、楽器を持って以下の要領で練習し、息が音に変わる瞬間を味わってください。

ノイズの音程を聞く

 呼吸は04「一の呼吸」を使います。大切なのは、あらかじめお腹を凹ませて、息を吹き上げておいてから発音することです。でも、お腹を引っ込める動作の最中には、音を出さないようご注意ください。ブワブワとあとぶくれする音になってしまいますので。

 お腹を「スッ」と凹ませて準備が整ったら、楽器を口に当てて音を出してみましょう。そして、息を出し続けたまま楽器を口から離し、口から出ている息の音を聞いてください。しっかり音になりきらない口笛のような、「スー」というノイズが、ある音程で出ていることを、よく聞いて確認しましょう。

 このノイズの音程があまり楽譜の音とかけ離れていると、楽器の管体が共振してくれないので、伸びのある音が出ません。「スー」というノイズの中に、音程を聞くようにしてください。

 そして、譜面と同じ音程で「スー」というノイズを出してから、同じ息づかいで楽器を吹いてみると、以前とは違う吹奏感がするはずです。その感覚と効果は、実際にやってみるとよく分かると思います。

 金管楽器の場合は「シラブル」という言葉で理解することもできます。
 一般的には、シラブルとは舌の形や位置のことです。発音でいいますと、低音は「アー」または「オー」、中音は「エー」、高音は「イー」というような感じになります。
 それぞれの舌の位置の違いが分かると思いますが、こうした舌の位置を調節することによって、ホワイトノイズの音程に正確さを与えることができます。なお、非常に低い音域では、舌ではなく喉の位置で調節することになります。


「ホワイトノイズ奏法」の発音練習

 では、楽譜を使って「ホワイトノイズ奏法」の発音を練習しましょう(下の譜例)。タンギングできる人はその方が楽ですが、ノータンギングでも大丈夫です 。

 「セット(息の準備ができてから)&プレイ(音を出す)」の練習です。息はあらかじめ吹き上がって、発音現場に届いているという感覚が大切です。
 発音現場とは、16「息が音に変わる場所の意識」で行った「スー」「ズー」「フー」の練習で音が出るところです。隣の音に移行する際にはその位置がブレないことが大事です。

移調楽器では楽器の調性に合わせて吹いてください。
ト音記号のソはB管のクラリネットでは実音F、Es管のアルトサックスなら実音Bになります。 ホルンはinBで読んでください。ヘ音記号のレはinCの実音Dと読みます。


 今回は「ホワイトノイズ奏法」の入り口のみのご紹介となりましたが、この奏法によって、息が直接鳴る感覚、音域による具体的な舌の位置や喉の位置、横隔膜の位置など、さまざまな発音の要素が一気にまとまることに、私自身びっくりしています。

 まずは細かいことを気にせず、息が音に変わる現場を体感してください。練習を重ねるうちに、「ああそうか!」と腑に落ちる時が必ずやってきます。

 一番幸せな瞬間ですね。


→ 次回へ続く
(次回は4月中〜下旬に更新予定です)



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