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12 歯切れの良い音、メリハリのある演奏

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 今回は、「二の呼吸」を使って歯切れの良い音を出したり、メリハリのある演奏をしたりすることに挑戦しましょう。ポイントは、息の圧力を鳩尾(みぞおち)に感じることにあります。

「二の呼吸」の発音は鳩尾がポイント

 あらかじめ下腹を数回出し入れして、お腹をリラックスさせておきます。次に、「一の呼吸」で息を下腹に入れてから、「二の呼吸」で鼻から胸に息を吸います(お腹は自然に軽く引っ込みます)。

 口を閉じたまま軽く「咳」をしてみて下さい。すると、下腹が凹み鳩尾に息の圧力がかかるのが分かります。イメージとしては、胸に吸った息が下に向かい、その反作用で下腹から息が吹き上がって、鳩尾のところでぶつかる感じです。鳩尾に指を一本当てておくと、前方に指を押し返すように胸が動きます。圧力は発音中ずっとかかり続けます。これが「二の呼吸」の呼気の感覚です。

 この「二の呼吸」はとても便利な方法で、ほとんどの表現をこれでやってしまうことができます。よく、「鼻から肺に吸って、鳩尾を押し出すように」と簡潔に指導されることがありますが、才能のある人はそれだけでほとんどの表現ができてしまいます。しかし、弱音での息の微妙なコントロールや、ホールに響きわたる最強音の演奏など、もっと表現の幅を広げたい時は、前出の「一の呼吸」の使用も重要になってきます。

鳩尾に圧力がかかっている感覚を覚える

 それでは、この呼吸法を使って実際に発音してみましょう。連続する四つの二分音符をワンブレス(ひと息)で吹きます(譜例1)。その間、鳩尾に一定の息の圧力がかかり続けるように注意してください。鳩尾のところで息がぶつかる感覚をお忘れなく!

譜例1
「二の呼吸」の呼気による発音練習(1)

 次に、複数の八分音符や十六分音符を、鳩尾に一定の圧力をかけた状態で発音します(譜例2)。maestosoの譜面では、二小節をワンブレスで吹いてください。低音では息の支えを「腰に感じて」演奏します。

譜例2
「二の呼吸」の呼気による発音練習(2)

 鳩尾の感触を覚えてきたら、譜例3で練習を重ねて、「二の呼吸」による発音を確かなものにしましょう。
 他にも、ご自分の好きな曲の演奏に応用してみてください。たとえば、ミッキーマウス・マーチ(付点音符が連続し、音が跳躍しない)や、ダースベイダーのテーマ(跳躍があってもドミソを繰り返すだけ)など、「二の呼吸」の練習に適した曲はたくさんあります。

譜例3
「二の呼吸」の呼気による発音練習(3)


 今回ご説明した「二の呼吸」は、スポーツの世界で「ブレーシング」(bracing)と言われる体幹の安定法に似ているところがあります。前回ご紹介した「ドローイン」という方法では物足りない部分を感じて「ブレーシング」を提唱する人が多いようですが、実際に訓練を進めると、実は、ブレーシングはドローインの最終段階で現れる筋肉バランスと同じであることが分かります。

 この方法は、「一の呼吸」のドローインによる腹横筋に加えて、ブレーシングの外腹斜筋・内腹斜筋を意識的に収縮させ、腹筋群全体を収縮させる方法なのです。脊柱の安定性を高めることで、私たち人間は四肢を動かすことができると言われています。最近、スポーツ界でもてはやされているトレーニング法は、管楽器や声楽の世界では昔から使われてきたことがよく分かります。
 「一の呼吸」と「二の呼吸」。これをしっかり意識して次に進みます。


→ 次回へ続く

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