見出し画像

舞台挨拶『War Bride 91歳の戦争花嫁』川嶋監督「戦争体験者の生の声が届きにくくなっている。この作品から戦争体験を伝えていきたいと思う」

3日目の3月19日(日)には、第二次世界大戦終戦の5年後にアメリカの軍人と結婚した川嶋監督の伯母、桂子・ハーンさんの人生や生き様、家族、苦悩、差別などを当時の世相と共に描くドキュメンタリー映画『War Bride 91歳の戦争花嫁』が上映され、川嶋龍太郎監督木下庸子氏(横浜雙葉中学校・高等学校校長)が舞台挨拶を行った。
 
「半沢直樹」などのプロデューサーとして知られる川嶋監督は「戦争花嫁、War Brideという聞きなれない言葉を通して、戦争というものを見てもらいたい。戦争体験を語ってくれる人も少なくなっている中で、桂子さんの戦争体験を伝えながら、世界平和への想いを共有したかった」と本作製作の狙いを明かした。
 
木下氏は横浜雙葉校OBの桂子さんの生き様について「桂子さんには偏見や先入観でものを見るということがない。国や人種に関係なく一人の人として他者を見る。そこに胸を打たれて感動しました」と目を潤ませていた。
 
途中、この日MCを務めたTBSアナウンサーの佐々木舞音も横浜雙葉の元OBということで、この日は劇中でも桂子さんが胸につけていた学校の校章をつけて舞台挨拶に望んでいたことも明かされ、会場には横浜雙葉関係者やOBもおり、場内が笑顔で沸く場面も。
 
川嶋監督は桂子さんの強さの源について「強い意志と強い推進力。その理由は私の祖父でもある桂子さんのお父さんにある。祖父はグローバルかつインターナショナルな考え方の持ち主で、横浜雙葉校に通わせるなど桂子さんに国際的な知見をつけた。桂子さんは『人と人がしっかりと知り合えれば、戦争など起こるはずがない』と言う。まさにその通りだと思った」と明かした。
 
木下氏は本作のテレビ放送版を在学生たちに見せたそうで「自分たちの先輩がこんな思いをして戦争時代を生き抜いたのかと、真剣かつ興味深く見てくれた。辛く苦しい戦争時代から立ち上がり、アメリカへと歩んでいった桂子さんの力強さを見習わなければという思いを語ってくれました」とその反応を報告した。
 
本作製作を通して川嶋監督は改めて「戦争は起こしてはいけないもの」という気持ちを新たにしたといい「戦後78年が経ち、戦争体験者の生の声が届きにくくなっている。私はこの作品から戦争体験を伝えていきたいと思う。そして本作を桂子さんの住むオハイオで上映して観てもらいたい。そのためには日本で沢山の方々に観ていただき、いたるところで宣伝をして欲しいです」と米国での上映に意気込み。木下氏は「戦争を知らない若い世代に観てほしい。戦争の怖さを伝えるとともに、私たちも世の中が平和になるための努力をしていかなければと思います」と満席の場内に向けて呼び掛けていた。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?