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”小さな声を届けたい” 家入一真氏が創る新プラットフォームとは?(前編)

柿次郎:「Dooo」司会の徳谷柿次郎です。本日のゲストは、株式会社CAMPFIRE代表の家入一真さんです。よろしくお願いします!

家入:宜しくお願いします・・・これ、どこ見たらいいんですか?

柿次郎:こっち(カメラ)を見ていれば多分大丈夫ですよ。あの「赤い光」を見ていれば・・・

家入:あっ!?あれがカメラ?・・・へぇ~・・・

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自己紹介できるかな?

柿:CAMPFIREの説明であったり、自己紹介をお願いしたいんですけど・・・今日できますかね?

家:う~ん、できるかな。できる日とできない日があるんですよ。

柿:あーなるほど(笑)

家:今日は自己紹介上手くできたな!って日と、グダったな・・・って日があって・・・さぁ今日はどっちかな?

柿:どっちかな。一応やってみてもらってよいですか?今、何歳ですか?

家:え~っとこの前、40歳になりました。もう、おじいちゃんのにおいが体中から。

柿:僕、家入さんと初めてお会いしたのが、12~13年前とかだと思うんですよね。

家:何気にね。でも、まさかこうやって柿次郎がメインの番組に呼んでもらう日が来るとは思ってなかったですから。あの頃は・・・

柿:ありがたいっすね・・・

*****Dooo*****

柿:今日は自己紹介がうまくいかない日なので、僕の方から若干補足しますね。家入さんは「キャンプファイヤー」っていうクラウンドファンディングのサービスをやっている会社ですね。あとは「ポルカ」(Polca)っていう・・・

家:フレンドファンディングっていう、個人と個人が少額でお金を送りあえる仕組みとか。

柿:ほかにやっている事業ってありますか?

家:結構何気にあるんですよね。地域に特化したクラウンドファンディングの「FAAVO」(ファーボ)というサービスをやったりとか。


小さな声を届ける

柿:「小さな声を届ける」っていうのが、割と家入さんのここ数年のテーマなのかなって思うんですけど・・・

家:はい。ずーっと言い続けてますね。クラウンドファンディングやっていると、ある意味メジャーなプロジェクトとかはメディアに取り上げられやすいんですよね。例えば、アイドルがこういうプロジェクトをやるとか。大型アニメの資金調達でクラウドファンディングやりますとか。そういう大きなものはすごくメディアに取り上げられやすいんですけど、クラウンドファンディングの本質って、例えば、鳥取で古民家で再生しようとしている若者たちがいるとか、30万円集めてこれを何とかしたいとか。例えば5万円集めて個展をやりたいクリエイターがいるとか。声を上げたくても上げられなかったような方々がクラウンドファンディングっていう新しい資金調達の仕組みを使って声を上げるってことが、本質であり大事であると。

*****Dooo*****

“インターネット“どう変わった?


柿:そもそも今、2019年の家入さん的にインターネットってどんな状況ですかね?まさにインターネットから家入さんも、這い上がってきたといいますか・・・

家:はい。僕、中学2年でイジメにあって、そこから学校に行けなくなっちゃったんですよね。10代はほとんど引きこもりで部屋から出られないような状況で過ごしていて・・・やっぱり小学校とか中学校・高校とかって、「世界=学校」じゃないですか。

だから学校に行けなくなった瞬間に社会から拒絶されたような気持ちになっているわけですよ。かつ、その家の中に居場所があるかというと、親への申し訳なさとか、そういったものもいろいろあって家にも居場所がない。

だから僕は本当に世界で独りぼっち、自分だけなんじゃないかっていう感覚に陥って、すごくつらかったんですけど・・・で、その時に唯一の社会との接点がインターネットだったんですよね。

本当に知らない人たちと年齢とか肩書とか性別とか超えて、チャットとか当時「匿名チャット」とか言われてましたけど、あーいった何気ない会話でもしてくれる人たちがネットの向こう側にいて、そこが唯一の社会との接点で救われたというのがあって・・・。あの時感じたインターネットというものは、ある意味今みたいなメジャーな・・・みんながみんな使うものにはなってなかったんですよ、インターネットが。

モデムで「ピーヒョロロ・・・ガー」みたいな感じで、つながらなかったし、遅かったし、そもそもパソコンとモデムを持っている家庭もすごく少なかった時代なので、ある意味、みんながみんなとは言いませんけど現実社会に居場所のなさを感じている人たちにとっての「聖域」みたいな所があったんですよ。

柿:なるほど。

家:僕は今でもそういう風に思い返すと感じるというか。それが10、20年で急速にインターネットが普及していって、もう今やスマホで常時接続されているわけですよ「インターネット」に。

柿:ずーっとですよね。「ピーヒョロロ・・・」とかいらないですよね。

家:いらない!ああいう通過儀礼みたいなものは本当になくって。

柿:通過儀礼・・・(笑)

家:だからインターネットとリアルみたいなものを、まず分けられなくなってしまった。ネットで起きていることがリアルにも影響与えるし、リアルで起きていることがネットにも影響を与えるし・・・。じゃあ、かつての僕が感じた「聖域」感があるものは、今どこにあるんだろうなって思うと、ある程度閉じられたコミュニティだったり、例えば今、長野で柿次郎もやっているけど、「リアルな場」を中心とした小さな経済圏というか、小さなコミュニティ、共同体を創っていくことが、そこを起点としてつながりあって、新しいものがそこから生まれてきたりとか、そういった場を創っていくことこそが、これからの時代において必要なんじゃないかっていうことを、今考えているって感じ。

リバ邸&やさしいかくめいラボ

柿:それが数年前からやらているリバ邸っていう・・・

家:そうですね。「現代の駆け込み寺」と呼んでいるシェアハウスなんですけど、もう7年になるのかな?もう30か所くらい日本中にありますけど。

柿:さらに最近、「やさしいかくめいラボ」という・・・

家:ちょうど1か月くらいかな?立ち上げてから

家入氏が立ち上げた「やさしいかくめいラボ」は、10代~20代前半の会員限定オンラインサロン。去年の年末に行われた忘年会で、家入氏は若者を前にラボ立ち上げの思いを語りました。
(会場で話す家入氏)生きづらい時代だ、やりたいことと夢を語れば「意識高い」と笑われ、現実的に歩みを進めると「ゆとり、さとり」とラベルを貼られる。すぐに批評がマウンティングしてくる社会では、生まれたての希望なんて殺されてしまう。だから、現実世界とは異なるレイヤーに新たな居場所をつくろう思う。「やさしいかくめいラボ」それは全員がGIVERな世界。一人一人がやりたいことや得意なことを持ち寄り、与えることから価値を生み出してく共同体。若く、貧しく、無名であることを恐れなくてもいい。その立場で気づくことにこそ、既存のルールや仕組みを変えていく可能性がある。なにより、真の革命とは、立場を超えてまず何かを与えるやさしさから始まるのだから。

家入:10代20代前半ぐらいの子たちが何も大人の目を気にせずに発言できる場所を創ろうと思って立ち上げたのが「やさしいかくめいラボ」で、いわゆる初期のmixiみたいなもので、基本的には応募してもらって、承認された人しか入れない仕組みにしていたので、まあこういった場所を創ろうとおもうけど、みんな入る?みたいな感じでTwitterで募集したら、数時間で1000人近く応募がきて。

柿:おお!すごい・・・

家:そこから少しずつ増え続けて、今2000人くらいの閉じられた。だから、外からは絶対に中の発言は見られないけど、中では10代の子たちが本当さまざまなチャンネルを創って、例えば社会課題、SDGsといわれる社会課題だったり、恋愛だったり、地方創生だったり、食の問題、いじめ、いわゆる今までなら「意識高い」といわれるようなテーマの中でみんながいろいろと、自分はこう思う、ああ思う、違うみたいなことを結構ワァワァ言ってるという。

“宗教”について語れる場がなかった

柿:若い子たちの「こういうこと話したい!」っていう欲求がそれだけ溜まっていたとも言えるわけですね。

家:そうですね。今までで象徴的なのは宗教チャンネルなんですけど、宗教について語れる場所がなかったと。

柿:ほぉー。

家:まぁないですよね?10代が宗教についてガチ議論できる場所って。今のネット上にないですよ。だけどここでは安心して議論ができると。で、自分は親がなんとかって宗教でした。自分はこういう宗教に親が入ってますと。それによっては「つらいです」「いや、自分は誇りに思っています」、でこれから宗教ってどうなっていくんだろうみたいなことを、ワーワーワーワー言っているんですよ。10代ですよ?中高生ですよ?確かにそんな場所なかったんだなって・・・

柿:若い子たちは雑談で欲求を満たすだけではなくて、例えばエンジニアだったりデザイナーだったりとか、スキルを持った若い子たちが集まっている。そこで主体的にギルド的にチームを作って仕事を何かやるとかっていうのも一応機能としてある?

家:もともとどちらかというと、そっちが目的だったというか。僕は今、大学生とか高校生の起業家にも出資したりするんですけど、エンジェル投資という形でこれから起業しようとする学生にちょっとだけお金を出してあげたりしていて、今100社くらいあるんですけど、起業家って誰にも悩み相談できなかったりするんですよね。社員にはもちろん相談できないし。メンターとか、株主にもなかなか相談できない。弱みを見せているようで。でも同世代の起業家同士がつながれば、そこでお互い悩んでいることとか、自分はこうしているよとかいう話ができるわけじゃないですか。だから起業したい子たち、もしくは予備軍が集まれる場所を創ろうっていって最初作ったんですよ「やさしいかくめいラボ」。そしたらもちろん起業家だったり、エンジニアだったり、デザイナーとかそういう子もいっぱいいるけど、それだけじゃなくて、自分は起業とかはちょっとわからないけど、例えば社会課題についてこういう活動をしたいとに思っている。NPOをゆくゆくは立ち上げたいと思うとか、その実際に募集してみるといろいろな子たちがいたって感じですかね。

柿:ほぉ・・・なるほど。生き物みたいに広がっていった状態なんですね。

“やさしいかくめいラボ”に込めた思い

柿:やさしいかくめいラボで大事にしていることといいますか、無秩序ではないですよね?ある程度こういう風な方向にもっていきたいというか。例えば人を傷つけないようにとか。

家:そうですね。う~ん最初は正直、無秩序というか。今もまだどんどん・・・なんでしょう。あまりルールみたいなものは押し付けたくないわけですよ、僕は。とはいえ、あまりにも無秩序すぎると・・・例えば、他者を攻撃してしまったりとか、その中でよくない行動をしてしまうこととか出てきてもおかしくないので、ある程度最低限の約束事みたいなのを作ろうということで今5つ掲げているんだけど・・・今、5つぱっと出ってこないです僕は。

柿:これはサッ!と(後から編集で)出てくるんで・・・

家:流石!はい・・・

やさしいかくめいラボの5つの行動指針

・自ら居場所を作る ・まずは与える ・他者に優しく ・考える事をやめない ・どんどん失敗しよう

(会場で話す家入氏)なにか小さな一歩を踏み出そうとするときに、仲間がいたり、先輩がいたり、全然違うジャンルだったけど掛算して、こういうことやったら面白いんじゃないか?っていう新しいアイディアが生まれたり、そういったものが生み出されれば。そうやって小さな一歩が踏み出せる、それがきっと僕は「革命」ってことなんだと思っていて・・・そういった革命を起こすことを一人一人がやっていけたら、きっとこれから先の日本はまだまだ明るいなぁと思いますし、そういったものが生まれるプラットホームを作りたいと・・・

柿:(5つの行動指針)そんなすぐ出てくるもんじゃないですもんね?

家:出てくるもの・・・だと思います。

柿:開き直ってる!ははは(笑)

家:でも「やさしい」というだけあって、他者にやさしくあろうねと。例えば議論するのは大いに結構だし、例えば僕に対して文句があったり、不満があったり、それも僕は全部受け止めるし、だけど、それを言うのに汚い言葉を使う必要ってないよね、って僕はよく言うんですよね。要は同じことを伝えるのでも自分はこう思うんだけど、どう思う?っていう伝え方と、「これはあり得ない!バカ!」みたいな感じでやっちゃうと、受け取る方も受け取れないじゃないですか、そのまま・・・。北風と太陽みたいなもので。強い言葉っていうのは、やっぱり人を遠ざけてしまうので、それは僕らがやりたいことじゃないよねっていうことを言っていたりとか。

*****Dooo*****

“居場所”を創り続けたい

柿:「やさしいかくめいラボ」は、まだ1ヶ月じゃないですか?もしかしたら、1年2年やらないと全然わからないかもしれないけど、家入さん的に、もっとこういう風になっていけば良いな・・・とかは?

家:僕にできることってじゃあ何だろうって考えるとやっぱり、原点・原体験の中学生の時にいじめられて居場所のなさを感じていたってことが、ずっとそのあとの活動においても僕の根源になっていて、それでも何とかこう、面倒見てくれた親だったりとか、僕が起業して面倒見てくれた先輩の起業家とか、いろんな人たちから僕は「恩」というか「バトン」を受け取っていて、じゃあ次に世代にどうつなげていくか、ということを考えた時にやっぱりとにかく時間はかかるけど、そういう場所を創り続けていくことはすごくやめちゃいけないなって思っていて・・・

「場所を創ること」は継続して、ライフワークのようにCAMPFIREとかの会社経営とは別に・・・つながってはいるんですけど、個人としての場所づくりみたいなものは継続していきたいし、もう一つ40歳になって意識している事は、場を創る人を創っていくっていうのをやっていかないと、僕が全部作っていったら多様性も失われていくし、広がるスピードも遅いじゃないですか・・・。だから居場所を創る人たちをどう作るかっていうのが、この40~50までの僕のミッションなのかなってちょっと思ったり。

柿:なるほど。

*****Dooo*****

柿:さて、まだまだ聞きたいことはいっぱいあるんですけども、一旦ここでお時間となってしました。引き続き家入さんに色々な話を聞いていきます!
Dooo!!!(後編につづく・・・)

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