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【コーチインタビュー #3】きっかけとなった上司の一言。自然と手放せた「認められたい自分」

徐々に日本でも主流になりつつあるコーチング。きっとコーチングを受けたことがある方は多いと思いますが、コーチとして活動されている方のお話を聞く機会はあまりないのではないでしょうか?

実はコミュニケーションのプロである「コーチ」としての活動のあり方はコーチングセッションや研修の提供だけではありません。日常のあらゆるコミュニケーションや普段の仕事の中で学びを活かして活躍されている方がいます。

本特集「コーチになって拓けた新しい視点」では、一般社団法人トラストコーチングで活躍されているコーチへのインタビューを通じて、コミュニケーションの学ぶことの魅力についてお伝えしていきます!

鈴木 絵美さん
TCS認定シニアコーチ/マザーズコーチングスクール マザーズティーチャー

接客業、IT系企業の人事を経験し、現在は営業企画の仕事に従事。
部下を育てたい想いが届かず、部下育成に苦戦・人間関係に悩んでいた時にコーチングを学ぶ。現在は、会社員として働きながら、経営者様や管理職の方など、部下をもつ方向けに個人講座やセッションを提供。TCS認定シニアコーチ、MCS認定ティーチャー、たいわ室コーチとして活動中。


実はコーチングに興味がなかった私


ー 鈴木さんのコーチングとの出会いを教えてください。


鈴木  26、27歳のころ、ホテルで働いていました。ある日、偶然にも社長と同じエレベーターに乗り合わせたのですが、突然「コーチングって知ってる?」と話しかけられたことが始まりです。

その時は「コーチングって何ですか? ティーチングの親戚ですか?」くらいに答えた気がします(笑)

その後、コーチングの本を読んでみたりしたのですが、結局その時に社長が何を伝えたかったのか分からずじまい・・・。
いつも心のどこかでコーチングという言葉が引っかかっていたんですが、その時は自分には必要ないかなと感じてしまい、そっと頭の片隅に閉まっていました。

当時、仕事で成果を上げるためにはアサーティブネス(相手を尊重しながら自分の考えや想いを伝える考え方)なんて意識せず、感じるままに突っ走り(笑)、部下に対しても「仕事についてこれないなら辞めれば?」くらいの勢いで毎日を過ごしていました。

そしたら部下から嘆願書が出たんですよ・・・。
「もう鈴木さんとは一緒に働きたくないです」って。

ー 嘆願書!? なかなか出されることってないですよね(笑)

鈴木  はい・・・(苦笑)

突然支配人に呼ばれ、嘆願書の件を告げられました。「嘆願書に書かれている言葉をそのまま伝えるので、今すぐ改善することをこの場で決めてください。」と。

今思えば、きっと支配人にとっても辛い時間だったと思いますし、嫌な思いをさせてしまったなあと思います。でもその時の私は「仕事でここまで成果を出しているのに、なんでそんな事を言われなければならないのか」という気持ちだったんですよね・・・。

周囲とのコミュニケーションのうち、半分くらいは無意識でやっている部分があって、きっと相手も良い思いをしてないだろうなとうすうす感じてはいました。

それでも「仕事の結果で補えば何とかなるだろう」と言い聞かせていた自分がいたのかもしれません。

その後会社を辞めたんですが、そのシーンと共に「コーチング」という言葉が私の中に残り続けていました。

ー もし当時の自分をコーチするとしたら、どのように関わりたいと思いますか?

鈴木  もし当時の自分にコーチをするなら・・・。

何て言うかな〜。まだ答えは出てないですが、あの時の私はたぶん何を言われても受け入れなかった気がする。

だからこそ、前職の社長がエレベーターでコーチングについてさりげなく聞いてくれたのかもしれません。「いつか向き合うことになるかもしれないから、とりあえずコーチングが何か知ってるか聞いておこうかな」ぐらいの感覚で私を引き留めてくれたのかなと思うと、社長には感謝しかありません。

ー 仕事で結果を出すことがご自身にとって大切な強い信念だったのかもしれないですね。さて、その後、転職されたと伺いましたが、コーチングを学んでみようと1歩踏み出したきっかけを教えてください。

鈴木  今の会社の上司の言葉です。

上司が私に対して、仕事に対するものと人間関係・信頼関係の構築に対するものを切り分けてフィードバックしてくれたんです。

「鈴木さんは仕事ぶりは良いけど、周囲との信頼関係の構築の仕方は改善しないとステップアップできないよ」と明確にフィードバックしていただきました。それまで、仕事の成果で補えば良いと考えていた私にその選択肢はないことをはっきりと示してくれたんです。

伝えづらいことも明確に伝えてくれたことで、上司との信頼関係が私の中で確立された感覚がありました。私の中で「この人のために変わりたい!」って本当に思えた瞬間でしたね。

ー ご自身にとって耳が痛いフィードバックだったにも関わらず、そのようにポジティブに捉えられたのはどうしてですか?

鈴木  周囲との信頼関係の構築の仕方について課題があることは、たぶん私も気づいていたと思います。上司も前々から思っていたけれど、そのタイミングまであえて言わないでいてくれたことに信頼感を感じたんだと思います。

つまり、フィードバックが私に響くタイミングを選んで伝えてくれたんだなって思えたんです。

もし入社直後のタイミングや上司との関係性ができていない時など、私の仕事ぶりについて理解してくれているかわからないタイミングで言われていたら、きっと前職の時と同じように「仕事で結果を出しますので大丈夫です」と言い返していたと思います(笑)

でもそうじゃなくて「正に今」というタイミングでのフィードバックだった。

どうしたら自分が変われるかを考える中で、ずっと心の中に残っていた「コーチング」がふと頭に思い浮かびました。

そこで上司に対して「私、コーチングを勉強することにしたんです」って伝えたら、なんと「僕ね、本当は(この会社に来なかったら)コーチングを本業にする会社に入社するつもりだったんだよ」と言われた(笑)

それもあって「ぜひコーチング学んでみなよ」と背中を押していただきました。その時は他のコーチングスクールを勧められたんですけど、お値段にびっくりして、トラストコーチングスクール(以下TCS)を受講することにしました(笑)

ー どうしてTCSに決めたんですか? 数あるコーチングスクールの中でもTCSのどこが魅力的だったのでしょうか。

鈴木  当時の私にとってTCSの競合はグロービスや日経ビジネススクール等のビジネススキルを学ぶプログラムでした。

過去にそうしたプログラムでアカウンティングやマーケティングを受講していたのですが、いずれも講師の著書を元にグループワークする形式が多く、当時の私はアウトプット・インプット共に物足りなさを感じていました。

これって本を読んで自分でやるのと何が違うんだろう・・・。そう思っていた矢先、TCSはトータル8時間で、しかもコーチングを受けながら学ぶってなんだか新しいコンセプトだな!とビビッと来ました。


もしかしたらコーチングを学べば私のことを変えてくれるかも!? 魔法の何かがあるんじゃないかくらいに思ってましたね(笑)

全ては自分次第


ところが、実際にTCSのプログラムを受けた後の感想は、魔法も何もなく「結局は自分次第だな」ということでした。

TCSでは専用のテキストに沿ってベーシックとアドバンスの2つの講座を、コーチからコーチングを受けながら進めていく形式なのですが、受講した当初はテキストに書いてあることに対して「当たり前じゃん、うん、これ知ってるよ」と思うことが多かった。

でも受講し終えた時、「知っているかどうかじゃない。結局、大切なのは自分のあり方なんだ! そこに向き合わない限り、何も始まらないんだな」という感覚に変わりました。

もちろん、最初からすぐに自分と向き合えたわけではありません。

そんな自分でもできることは何だろうと考え、3ヶ月に1回はテキストを見直すようにしました。

「あの時、自分ってこういう目標立てたよな」とか、「毎日絶対部下と話をしよう」、「同僚が1センチでも髪を切ったと気づいたら、髪切ったねと伝えよう」とか・・・。

もうとにかく日々の生活でできることから実践していきました。 
そうした歩みの中で、当たり前のことが実はなかなかできてなかった自分に気づきました。

自然と手放せた「認められたい自分」


ー 何か新しいことを始める時に一歩踏み出せる人と、そうでない人がいると思います。鈴木さんが一歩踏み出そうと思えたのは、上司との会話以外で何かきっかけはありますか?

鈴木  当初は、上司に「頑張ってることを認めてほしい!」っていう承認欲求だけでやってました(笑) 承認欲求の塊でしたね(笑)

その後も自分なりに気づいたことを実践し続けて、半年くらい経った時でしょうか。

直属の部下のひとりが私を初めて「鈴木さん」ではなく「絵美さん」と呼んでくれたんです!

この瞬間、「ついに関係性が変わった!」と感じました。そして「この感覚を増やしていきたい! みんなそうなってほしい!」みたいな想いが湧き上がってきたんです。

そこには自分自身が認められたいという気持ちではなく、「今一緒に働いているスタッフの皆さんが生き生き、伸び伸びと働くためには何ができるのか?」を中心に考え、行動する自分がいました。

なんか自分はもう存在感なくてもいいや!ぐらいな感覚です(笑)

今の会社って私が入社した当時は雑談がない職場だったんですよ。
私がいたチームは新しく入社してくださった方が毎回辞めてしまい、離職率が課題になっていました・・・。

ところがTCSでコミュニケーションを学び始め、認定コーチになってから3年半ぐらいの間、チームの誰一人も辞めなかったんです!
何が変わったのか。雑談のなかった職場で、雑談が自然な形でどんどん増えていった。

始めは意識して実践してました。1対1で話す時間を1人あたり1時間は絶対に取るとか。

そんな関わり方を続けていたら、例えば有給を取るときに「ペットが病気です」とか「彼氏に用事を頼まれて」とか、本当のことを気軽に言ってくれるようになったんです。

一般的に休暇取得の時って「体調不良のため」とか差し障りのないことを言うことが多いですよね。

でもそうではなくて休暇の取得理由を、こちらから聞かずとも赤裸々に伝えてくれるようになった。

休暇の取得理由を話してくれるようになったこと自体ではなくて、そうしたことも遠慮せず言えるような関係性になれたことがとても嬉しかった。
私自身も上司と普段から子供たちの受験のことなど、プライベートな事も気軽に話せる関係になれました。

それと、公私ともにですが、距離を取りたい人とちゃんと上手に距離を取れるようになりました。今までは常に全力でぶつかり、すべて白か黒かはっきりさせていました。

グレーは中途半端に感じ、どちらかのカテゴリーに入れなきゃいけないという感覚が強かった私ですが、グレーを許容できるようになったことも大きな変化でした。

仕事をする時にガチガチだった承認欲求の塊が少しずつほぐれていくにつれて薄まっていったのだと思います。

なぜそうした変化を生み出せたのか・・・。

それはきっと「周りの人全てに認められたい」「ちゃんと自分の答えを持ってないと認めてもらえない」と思い込んでいたものが、「自分で自分を認めてあげる」という考え方に目を向けられるようになったからだと思います。

ー 自分で自分のことを認められるようになったのは、何が一番大きかったと思いますか。

鈴木  今も自分自身を認められているかというと、まだまだですけど(笑)
 
何だろう・・・。
やっぱりTCSのコーチコミュニティの存在が大きいと思います。

コーチングの資格を取って終わりではなく、その後もずっと一緒にコミュニケーションについて学び続けられる仲間がいますし、ちょっと悩むことがあればすぐに聞いてもらえたりする。

コーチ仲間だからこそ言えるフィードバックもありますし、私にとってTCSの存在は大きいです。

ー いろいろなことにチャレンジされている鈴木さんですが、これからコミュニケーションやコーチングの分野でどのような活動をしていきたいですか?

コミュニケーションって形がないものだからこそ、丁寧に扱いたいと思っています。

恋愛で例えると、好きという想いは言葉にできますよね。でも想いには形がないからこそ、丁寧に向き合うことが大切だと思うんです。

でも、丁寧に向き合うことってすごく難しい。

例えば、仕事の場面でもその人に高い能力は備わっているのに、ちょっとしたコミュニケーションのすれ違いがきっかけで職場で苦しい思いをしてしまうことがある。そのような経験をする人が少しでも減らせれば嬉しいです。

組織の中で働きながら、日々人間関係に悩んでいる方はたくさんいます。

そうした方々に「TCSがあるよ」って伝えていきたい。コミュニケーションの大切さについて、アンテナが立つタイミングは人それぞれ。それでもいつかは届くかもしれない、そう信じて「トラスト(信頼)」を大切にするコーチとして活動も続けていきます。

そして更には、働きながらもコーチとして活動することに興味がある方に対して「コーチと会社員の仕事は両立できるよ!」とたくさん発信していきたいと思います!



以上、いかがでしたでしょうか。

一歩立ち止まり、ご自身のコミュニケーションと向き合うようになった鈴木
さん。その過程で、ご自身の考え方や周囲との関係性はここまで変わるのか!と驚きに溢れたインタビューの時間でした。

誰しも抱えている「認められたい自分」。でもそんな自分を否定するのではなく、少しずつ手放していく。そして自分が持つ力を誰かのために役立てる。そんなことの大切さをじんわり感じることができました。

トラストコーチングは10年以上の実績と第一線で活躍するビジネスパーソンに選ばれ続けてきたコーチングブランドです。
2015年より《誰もがコミュニケーション(コーチング)を学ぶ文化を創る》というミッションを掲げ、より多くの方に、もっと身近にコーチングを体感して頂きたくTCSが誕生しました。

コミュニケーションを学んでみたい!と思われた方はぜひHPをご覧ください!

また、気になる点などございましたらお気軽に事務局までご連絡ください。


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