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【デザイナー志願者向け】ツール操作スキル、資格より重要な事&デザイナーに必須の基礎能力、センス

元WEBデザイナーが、デザインの仕事についてつらつらと書いていきます。今回は資格、スキル以上に大切なデザイナーの必須能力、センスについて語ります。職業訓練、スクールで学んでいる人、就活中の人に読んでいただければ幸いです。


ツール系資格・能力検定の勉強より、制作物・実績を作る事の方が重要

クリエイティブ業界は良くも悪くも「実力主義の世界」です。どんな資格を持っているかよりも、何ができるのか、どんなものを作れるのかを、制作物、成果で示せなければ評価されることはありません。

ツール操作は制作物を作る際に自然と覚えるので、ツール操作そのものをわざわざ単独で勉強する必要がありません。制作物を作り続ければツール操作も上達するし、ポートフォリオに掲載できる制作物の数も増える、まさに一石二鳥です。

それゆえに、資格取得に掛ける時間があるなら、制作物を作る、もしくは実績を積むことに充てた方が、有効な時間の使い方だと言われるのです。

そもそも資格が必要な仕事というのがごく一部の専門職に限られていますし、クリエイティブ職の大抵の仕事は資格がなくても務まります。

資格が必要な専門職の場合、求められる資格も「色彩検定一級」等の専門性が高く、取得も難しいような資格であることが多いです。

ツール操作系の資格等が必要になる場面があるとすれば、ツール操作系のトレーナーに就業する場合、スクールや職業訓練の講師になる時位ではないでしょうか。その場合は「資格なし」の人が講師を務めても説得力がありませんので、資格等を持っていることが前提になります。

また、能力検定試験のための勉強は検定合格のための勉強=試験対策でしかなく、それらが実戦で役に立つかどうかは、「大学合格のための受験勉強、受験対策が、社会人になっても役に立つのかどうか」が物語っている通りです。

検定合格で箔が付くと考えている人も多いと思いますが、それは同時に自分の能力に対する自信の無さの表れにもなっている、という事を自覚しておきましょう。

ツール操作の達人になる必要はない

デザインの仕事において、クリエイティブ系ツールの機能のうち、よく使う機能は結構限られています。クリエイティブ系のツールのすべてを知っている、100%フルに使いこなせているプロの現役デザイナーは少数派なのではないでしょうか?

確かに知っていると便利、時短になる程度のメリットはあるでしょうが、そこまで深く知らなくても大抵のことはできるし、困る事もない、というのが実情ではないかと思います。時短に限って言えば、ツール操作よりも、どれだけ早くデザインの「解」を導き出せ、組み立てられるか、思考の速さの方が重要だと思います。

デザイナーに必要な基礎能力、センス

デザイナーに必須とされる能力のうち、「コンセプトワーク」に必要なデザイン思考については、その思考モデル、プロセス、手法等はネット上でいろいろと語られていますので、割愛します。

ここでは「視覚表現」「ビジュアルコミュニケーション」を構築する「アートワーク」のフローにおいて必要とされる能力、センスについて紹介していきます。

・造形的表現力、造形的センス

デザイナーとして仕事をするにあたり、モノを形作る、モノの形の良し悪しを見極める能力、感性が必要になります。

モノを形作ると聞くと「立体物」が真っ先に頭に浮かぶ人も多いかと思いますが、平面的な図形、「ロゴ」「アイコン」「文字」のデザインにも造形的表現力、センスが必要です。

特に日ごろから「WEBデザイン」しかしていない人、「ツールの機能、テクニックだけ」でデザインしている人は「ロゴ」「アイコン」「文字」のデザインが苦手で、生成AIや有料・無料の既製品素材に頼るしかない人が多いのではないでしょうか。そのような人は造形的センスはあったとしても、造形的表現力が欠けている場合が多いです。

・色彩表現力、色彩センス

色使いの良し悪しを判断する感性についてはわかりやすいので、デザイン職志望者の多くの人はそれが必要だとわかっていると思いますが、仕事をするうえでは感性だけではなく、表現力も必要になってきます。

色彩表現力については体系的、理論的にある程度身に着ける事が可能ですし、デザインの分野によっては、感性よりも論理性が重んじられる部分でもあります。

デザイナーに必要とされる能力、センスのうち、習得、活用が比較的容易な領域と言えるでしょう。

・空間表現力、空間認識力

造形的表現力、センス同様、「空間」と聞くと三次元を想像する人も多いかと思いますが、二次元、平面にも「空間」はあります。「レイアウト」「余白」といった要素がそれに該当します。

グラフィックデザイン、WEBデザインで必要とされる基本的な空間表現能力は、「二次元空間での表現力」=「レイアウト、余白等を駆使する能力」であると言えるでしょう。

基礎能力、センス以外に「演出力」も必要

上記基礎能力以外にも、デザインの仕事、特に広告の分野では「演出力」が必要になる事が多いです。いかに基礎能力が高くても、「必要な演出」や「演出の機微」がわからない、できないと、良いデザインにはなかなか至れません。

演出の必要性について、分かりやすく音楽で例えてみましょう。曲の始まりから最後まで、同じ音量、同じトーン、強弱がほぼ無い曲を聞かされて「面白い」「感動した」と思う人はおそらくいないと思います。

基礎能力だけでは、「なんとなく見た目の良いデザイン」は作れても「人の心を動かすデザイン」「心にささるデザイン」は実現できません。

デザイン初心者に多く見られる特徴、「見た目がイマイチ」「素っ気ない」「訴求力、インパクトに欠ける」原因は、デザインコンセプトの建付けの問題、目的、ターゲットのアンマッチよりも、表現力が未熟であったり、演出に対する意識、技術が乏しい場合がとても多いように思います。

既製品素材を切り張りして並べたり、ツールの機能やテクニックだけでデザインせず、「表現する事」「演出する事」をより深く突き詰める事を念頭に置いてデザインを学んでいきましょう。

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