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《浜通り旅一日目》海と森と発電所。

今日は福島県海沿いの、広野駅から富岡駅まで歩く旅。

それは、発電所と、海と丘をゆるくアップダウンする自然豊かな土地をめぐる旅となった。

朝、東京から福島県浜通り地方を目指す。

初めての駅ネットでの指定席購入。間違えて別の日にちのものを買っていた、それに気づかず乗った。全席指定の特急は満席で水戸まで座ることができなかったが、体力的に目立ったダメージはなく、スタート駅に着けた。

駅前の新しいビルの一階にあるデイリーヤマザキで、朝飯と、道中の食べ物を買う。(初日の目的地まで、お店はなさそう)

歩き出すとすぐに海に出た。デイゴの花が咲いていたら、まるで沖縄のように青い海と空、黒潮の匂い。

♪島唄よ風に乗り〜 と歌ってしまう。

北に向かって浜街道を歩き出すと、広野火力発電所の煙突がニョッコリと出ている。こういう貝の身、あったよなぁ。何だっけ。


浜街道という昔からの道を歩くと目の前に。


浜街道と国道6号を結ぶ新しい道


発電所の入口。実物はかなり大きく感じる。大阪万博の太陽の塔の後ろ側を思い出す。


いったん浜街道が県道に統合され、きれいな道を歩いていると広野町から楢葉町へ。

このエリアは藤が見頃。森の中の自然な藤がとても良い。

すぐにJヴィレッジに。

Jビレッジ駅前のベンチで最初の休憩。自動販売機とトイレあり。


Jビレッジ駅は上から見るとAだった。

歩き出すと下り坂。目の前にまた海が見えてくる。

海沿いは、どこもかなり高い堤防ができていて、道からすぐに砂浜にはならないが、展望はいい。


北側


南側。火力発電所。夜は光が灯ってキレイらしい。

海沿いを歩いていると、さつまいもの貯蔵施設があった。

あまり福島のさつまいもって聞いたことがないけど、新しい施設なのでひょっとしたら塩害に強いのかと思い歩きながらスマホで調べるとそうだった。

トマトもそうみたいですね。

このあたりは平地がとても多い。歩いている道は堤防の高さなので、かなり低地に見える。

海から離れたところは木々や家が見えるが、海沿いの周りの平地には見渡す限り何もない。

津波がすべてをさらってしまった跡。
祈念碑が近くにあった。

避難が早く、津波で亡くなった方は少なかったそうだが、平地の家は根こそぎ破壊されて、更に原発事故による避難で、人生が滅茶苦茶にされた方々がこのエリアだけでも数知れない。目の前に、津波や原発事故の混乱がわずかばかりでも浮かんでくる。

この広い利用されていない土地。例えば荒川区民が必要とするさつまいもの5%でも作ってもらえるように契約できたら、それなりに産業になり、農家さんは収入が安定して、荒川区も食料の安定につながらないだろうか、などと考えた。一部の収穫を区民が体験させてもらえば、観光にもなる。絶対にまた来たくなる、海ぞいの穏やかなエリアだ。

浜街道は、ゆるやかなアップダウンを繰り返す。

今度は丘の上。田植えの準備が始まっていた。

田植えが出来るまでになっているんですね。
十年前に来たときとは、違う。


なにげない花も盛り。

さて、歩いていると、遠くに塔と見たことのある巨大な箱が見えてきた。

福島第二原発だ。
ここは東日本大震災で、ギリギリ、安全に核反応を停止できて本当に良かったなと現地で強く思った。今、廃炉に向けて作業をしているらしい。

浜街道の真横に原発がある。近くになると、除染の際に出た土壌だと思うものがドでかい袋に詰められて広場に置かれていた。

今回確認したいことがあった。

十年前に数え切れないほど、この袋が至るところにたくさん積まれていた。袋は石油製品だろう。時間とともに劣化して、最終処分が決まらないでそのままなら、中身が出てくるんじゃないか、現在はどうなっているだろうか、ということ。

実際に間近で見ると、袋の中から植物が生えている物がいくつかあった。植物が大きくなれば、より大きく裂けて結局はこの土地にまた戻されるのかもしれない。

しかし、袋の数が少なすぎるのが不思議だ。

いたるところにあったこの黒くて大きな袋が、いまどうなっているか、それを偶然知るのは翌日のことになる。

道が入り組んでいて、ボーッと歩いていたら第二原発の入り口に来てしまった。



遠くに薄く見える青い建物が原子炉を覆う格納庫、建屋。

あわてて正しい道に戻り北を目指す。

第二原発は見事な美しい森に囲まれている。そして、境界をフェンスと有刺鉄線で覆っている、

コントラストが強烈だ。


本当にきれいな森だ。原子力発電所の土地で、一般の人が中に入れず荒らさないからか、自然に近い森が保たれている。

そして、普段は穏やかな海。

原発事故がなかったら、福島の浜通りは桃源郷みたいな所だと思うと、本当に残念だ。

津波で流された土地で、このまま荒れ地になるくらいなら、森を再生して、その中で自然と親しむ様々な施設を作ったら良いのでは、とも思うが、よそ者の戯言だろう。

第二原発を離れ。最近開通したばかりの海沿いの道を数キロ歩くと、今日のゴールの富岡。

駅周辺にいくつがあるホテルの中で一番評価の高い所を予約していた。(朝食付き7300円)

期待していた近辺の飲食店は、ゴールデンウィークでみんな閉まっていたので、ホテルで夕食の日替わり御膳メニュー(一種類のみ)1500円を頼む。


これ以外に、白米、炊き込みご飯、特製カレー、ソフトドリンク、お新香、味噌汁、アイスなどが食べ放題。


お酒は飲み比べセットから。「天の希」は、現地富岡で収穫されたお米で作った日本酒。キリッとして美味しかった。3種類で1000円。

あまり飲みすぎないようにと、次に熱燗一本飲んでお酒は終わり。カレーライスをセルフでよそった。

お米がなんと会津のコシヒカリ。会津のコシヒカリは高級!そしてカレーも有名らしく旨い。おかわり2回。

部屋に帰ってきてから口に残る余韻で分かったけど、きっとカレーに福島の桃を使っている。結構辛いので分からなかったけど、その旨味だ!

そして隠れキャラ。

小さな炊飯器があった。これなんだろうと、最後の最後に開けると、たけのこの炊き込みご飯。滅茶苦茶旨い!完全にノックアウト。なんでこんなにご飯がうまいんだ。

そして〆の味噌汁。


駄目だ、廃人になりそうだ。酒なんか飲んでいる場合じゃなかった。

明日の朝食で、惜しみなく食べよう。今日はおしまい。

いやー、お米良ければ全て良し、今日のオイシイところを、全部米に持っていかれた、そんな一日だ。

明日は予定距離数は10キロ程。いくつかの資料館や祈念碑があったり、可能な範囲で寄り道したいところもあるので、ちょうどいい距離かも。

書き足りない部分は、明日以降の日記で。

最後まで長文を読んでくださり、ありがとうございました。

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