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PERFECT DAYS 映画感想文

是非観てください、と近所の「おぐセンター」店長に言われた。

彼は時々、映画を観て感想を聞かせてくれる。

「福田村事件」もすごく見ごたえがあったらしく、教えてもらい、観たかったがまだ観られていない。

PERFECT DAYSは、下町が背景なのと、トイレ掃除の話なのに金融の世界の多忙な有名人とかが絶賛しているので、そのギャップが気になり、観ることにした。

普段休日は自転車に乗りたいので、なかなか映画館に行けないが連休なので、最初の1日を映画に。

映画館に行くと満席。

去年末から上映されているのに、いまだに満席はすごい。

前日の夜に予約ページを開いたら、ほぼ真ん中に一つだけ席が空いていて(前の3列ぐらいはまだ空いていたがそれ以外はすべて埋まっていた)、迷わずその席で予約した。

始まった。

主人公の暮らしぶりは、清貧の思想って本が昔に流行ったけどそんな感じもある。

今で言うと、ミニマリストに近い暮らしなのか。足して2で割った感じか。

自分と同じ世代・年齢の人が、主人公だ。
カセットテープ世代だ。50代半ば以降か。

私が住んでいる町は東京の下町で、彼のような生き方に近い人はそれなりにいるし、自分もある部分は近いかも知れない。

ビジネスの世界で活躍している人が、この映画をすごく評価するのは、ほんの一瞬でも、この人のような時間を持つことが許されないくらい忙しいからか、憧れるからか、などと考えた。

余計なセリフがなく、豪華な撮影のセットもなく、役所広司さんの体も余計な肉がない。

映像のトーンも落ち着いていて、これは令和の映像枯山水なのかな、とか、銭湯や居酒屋のシーンは令和の浮世絵かなとか、思ったりした。

映画にも色々タイプがあるが、枯山水のように余白や抽象的な部分が多いと、それだけ、観ている人達が自分で余白を埋めていく作業になる気がする。

この映画では、若い人と主人公との関わりがそれなりに出てくる。

私と同じ世代で、多くを語らない、語れない主人公と、若い彼らのつながりを観ていると、「老害ではない、この年齢の美しい生き方とはこれじゃないかな」と頭の中で巡っていた。

これが一番の感想。
他の人の感想と全然違うだろう。

ピンポイントで印象深かったのは、あまりに映画のシーンが心地よく、ふと意識が薄れた時、突然、清掃服を着た、私の地元の安藤玉恵さんが登場されて、一気に映画の世界に引き戻されたこと。

一瞬の演技でもアイスブレーカー。すごいなあ。

ということで、久々の映画鑑賞文を終わります。

ハイボールを飲んでから映画を見ると、トイレに行きたくなるシーンが多いので、お気をつけ下さい。

石川さゆりさんの歌声も、最高の音響で聴けて良かった。

おやすみなさい。



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