見出し画像

事業承継まであと一歩のしくじった話

どーも、薬剤師兼中小企業経営者の海老沼です。

最近、会社を設立しまして
地元足立区の調剤薬局を
事業承継する予定でしたが
まさかの最後の最後で破談となってしまいました。

ブログは基本的に良い話を公表しますが
たまには悪い話も公表しようと思います。

会社設立から破談に至るまでの経緯
なんかを書きながら
これから起業、独立する人のためにも
参考になる話を少し書いていきます。

書く

0.そもそもなぜ起業?

2019年11月にグロービス経営大学院が主催する
G-CHALLENGEに出場したことがきっかけでした。
(入賞はできなかったのですが)

出場前までは起業なんて1ミリも考えていませんでしたが
チームで本気でビジネスプランを考えること
チームでビジネスプランに熱狂することを経験し
大企業で腐っていた自分の心が奮い立たされました。

この頃から『自分の得意な分野で起業したい』と思い
調剤薬局業界のベンチャーもしくは
自分で調剤薬局を持ちたいと考え始めました。

GVC_海老沼_4

1.お金を貯めよう

まず最初に考えたのは、お金です。

ビジネスプランの財務計画を立てる中で
何をするにしてもお金がかかることが
よくわかりました。

お金を貯めるために参考にした本が
年収200万円からの貯金生活』という本です。

自分の月次の収入と支出を1円単位で
管理するようになり
会社設立の自己資金を貯めることができました。
(コロナで飲み会が減ったことが一番の追い風でした)

後々この貯金が重要だったのが
銀行や公庫からお金を借り入れる時に
自己資金の約2-4倍を目安に借入できるので
自己資金が多ければ、借入の上限が上がります。

カネ

2.足りないスキルは何か?

起業のスタート地点に立つ前に
何が必要なのか逆算した結果
薬剤師としての経験が足りないことに気付きました。

薬剤師の経験を積むために副業先を探しましたが
コロナ不況の真っ只中で薬局経営者が
副業の未経験薬剤師を雇うことはありません。

そこで、人材紹介会社に
タダで良いので、働かせて頂けるところはないか?
と相談し、薬局業界の恩師に出会うことができました。
(今考えれば異常ですねw)

恩師のおかげで
様々な個人経営薬局で研修させて頂き
多くの学びを得ることができました。

薬局

3.会社設立の手続き

本業と副業をしながら
会社設立も同時並行で進めました。

会社設立は
Money Forward 会社設立
を利用しました。

説明通りのSTEPを踏んでいけば
手数料も少なく
簡単に会社を設立することができます。

ここで大事なことは
会社設立のための費用を最小化すること』です。

私は地元足立区で起業しましたが
足立区主催の起業支援セミナーを受講することで
設立時にかかる登録免許税15万円が半額になりました。

その他にも融資の際に
創業時の融資の利子補給を1.6%~2.5%
信用保証料補助を2/3~1/2まで補助頂けるなど
起業家に手厚い制度もあります。

会社を設立する前に地域の創業支援課に行き
地域で起業することでどんな特典が得られるか
確認することをお勧めします。

ティーチング

4.ベンチャー or スモール?

調剤薬局業界のベンチャー企業を目指すか
調剤薬局を事業承継しスモールビジネスを目指すか
かなり悩みました。

やらないで後悔するなら、やって後悔しようと考え
ベンチャーピッチイベントに参加しつつ
事業承継先を探しました。

ベンチャーピッチに向けて
50人以上の薬局経営者にヒアリングし
エンジニアを集め、プロトタイプを作成しました。

グロービス経営大学院の
『ベンチャー戦略プランニング』の授業で
ビジネスプランをブラッシュアップし
SAMURAI INCUBATEASAC
ピッチイベントに挑戦しました。

結果、最終審査まではいくものの
不合格ばかりでした。

不合格になる理由を自分でも理解しており
広域の視点で求められていることと
自分がやりたいことのギャップがあったこと
そして、仮説の甘さでした。
(※スタートアップ初期のアンチパターン)

(そもそも会社を設立していなかった時期だったので
経営者としての覚悟も見られていたのかなとも思います。)

僕自身、『業界をこう変革したい!』
とか、『爆発的に成長したい!』みたいな欲がなく
視座が低かったのも原因の一つと考えています。

ピッチイベントに挑戦したことで
グロービス経営大学院の卒業生で
活躍されている薬剤師の先輩(Kさん)
の凄さがよくわかりました。

プレゼンテーション

5.事業承継先を見つける

調剤薬局を始めるなら
好きな地元足立区が良いと思っていました。

大手M&Aの仲介業者に問い合わせても
私のような個人案件は仲介業者にとって
手数料が低く、魅力がない案件のため
承継先がなかなか見つかりませんでした。

(多くの仲介業者はレーマン方式を取っており、
規模にもよりますが事業譲渡代金の5%
もしくは売上の5%をとることが多いです。)

また、地域指定となると
希望案件が出てくる確率はかなり低くなります。

そこで
都の事業引継ぎ支援センターに行ったり
足立区の信用金庫を練り歩き
後継者を探しているオーナーがいないか聞いて回りました。

本当に運良く、地元の承継先が見つかり
M&Aに向けて薬局オーナーと交渉がスタートしました。

ネゴシエーション

6.M&A

M&Aに向けた交渉が始まりましたが
M&Aなんかやったことがありません(笑)

グロービス経営大学院の
『サービス・マネジメント』の授業を
一緒に受けていたM&A経験のある
財務コンサルタントの方に
相談しながら進めていきました。

後に、会社の顧問財務コンサルタント
になって頂き、今でも会社経営について
アドバイス頂いております。

自分の心の支えにもなっている
財務の専門家です。

また、Twwiterで薬局経営者のフォロワーを
増やしていたこともあり
薬局M&A専門の会社(株式会社 YAKUDACHI )の
社長様とも繋がることができました。

お二人からは事業承継するにあたり
リスクを最小化するためのポイント
教えて頂きました。

薬局オーナーとの価格交渉では
グロービス経営大学院で学んだ
DCF法で事業価値を算出し
自分の納得解での事業譲渡代金で
交渉を進めることができました。

適正価格

7.最後の最後に落とし穴

薬局オーナーとの基本合意締結し
信用金庫と日本政策金融公庫からの
3000万円の融資確約を頂き
あとは賃貸借契約を結ぶだけでした。

詳細はあまりお話しできませんが
不動産会社同士のいざこざに巻き込まれ

賃貸借契約を結ぶ不動産会社に
お願いするのに、入り口が違うだろ
という理由で断られてしまいました。

『・・・???』(足立区特有の問題?)

泣く

8.学び

中小企業の経営をしながら案件を探し続け
2か月で会社設立と融資に奔走していたので
最後の最後、とてもショックでした。

今まで協力して頂いた方には
大変申し訳ない気持ちでいっぱいです。

大企業に勤めていた時は
ミスをしても会社が守ってくれましたが
独立すると全て自己責任です。

独立の厳しさを初めて体感しました。

ただ
セーフティネットとして
今の会社の仕事を継続する予定でしたので
かすり傷で済みました。

僕はまだ死んだわけではないので
次のチャンスを見つけに旅立ちます

医療業界での知見や経験を
地元足立区に還元できるように。

旅