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Philosophyとサッカー部

教員生活も残り少なくなってきた。自分で辞める決断をしたとは言っても、ここまで喜怒哀楽を共有できる職業から離れることに、しっかりと寂しさを感じている。この4年間は自分にとっての宝物であることは間違いない。
だからこそ、自分の歩んできた軌跡を何かに記したい。自分は、気持ちを整理するために音楽のフレーズや小説の1行を繰り返し聞いたり見たりしてしまう性質がある。なのでこの4年間の思い出や出来事を『○○と○○』というシリーズで勝手に語っていきたい。自分の好きな曲や小説を布教できて、ポートフォリオにもなる。一石二鳥。今回はサッカー部の思い出と大好きな『Philosophy』について・・・


舐めていた初の公式戦。

1年目。いきなりの主顧問。前年の主顧問も副顧問も異動と退職で学校におらず、しかもコロナ禍まっただ中で、手探り&手探り。中学3年生の総体はコロナで中止。交流戦でお茶を濁され7月に新チーム発足。それでもそれなりにトレーニングを積んで臨んだ新人戦。選手の能力や練習試合の結果を考えても市は優勝を狙えるチームと高を括っていた。恐らく選手以上に。

初戦は5-0か6-0ぐらいで圧勝。こんなもんか。次も余裕なんじゃ。そんな気持で臨んだ2回戦。指揮官が油断してたら勝てるわけもなく0-4で完敗。「せめて一矢報いたかった」そんな言葉が選手から出るぐらい、何もできなかった試合だった。

なんとなくから合理的に

先輩の先生によって統率されたチームに、良いようにやられたこの経験は自分にとって痛烈で。悔しいよいうより情けない気持ち。劣等感のほうが大きかった。まず着手したのはフォーメーションの変更。4‐2‐3ー1から3-4-2-1に変更した。いわゆるミシャ式。4-2-3-1をなぜ使っていたかと言われたら思い出せなく、きっと合理的な理由はなかったような気がする。なんとなく中学年代なら4‐4‐2か4‐2‐3ー1でしょと。ここがまず甘かった。チームの特徴を考えると、下で守れるフィジカルが強い選手が3人揃っていたこと、細かいスペースで前を向ける選手が多かったこと、縦に仕掛けられるウイングがいたこと。それらを踏まえて3ー4‐2‐1を採用。
どうしても冬場は練習時間も短く、それ以外の仕事もあるので、トレーニング内容については、今でも一考の余地はあったと思うけど、フォーメーションの変更についてはバカハマりした。3バックなのだから当たり前なのだけど、5レーンをフル活用したサッカーを展開することが出来たと思う。

再戦とPhilosophy

9月の新人戦から9カ月。最後の大会。組み合わせは2回戦で新人戦で敗れたチームと再戦するトーナメント表。前回新人戦の市王者に立ち向かう。こんな燃えるシチュエーションなんてないのだけど、さらに心を燃やすために、作ったのがモチベーションムービー。

この曲を知ったきっかけは筑波大蹴球部のモチベーションムービー。
筑波大と比べるなんておこがましい、ただの中体連のチームだけど、歌詞に共感できるストーリーが自分たちのチームにはあった。眠い目をこすりながら、低クオリティながらも選手に届くように作った。
1回戦を2-0で突破(3バックも隠しつつ)。2回戦の前日に保護者経由で、モチベーションムービーを見てもらって臨んだ2回戦は0‐0のスコアレスドロー。最後はPK戦で力尽きて敗戦。勝利には届かなかった。けれども0-4から0-0まで詰めることが出来たこの試合は未だにこのサッカー部でのベストの試合で間違いなく、見ている人の心を動かすサッカーが出来たと思っている。

マイナスな感情をプラスに

モチベーションムービーを作ったときは考えもしなかったけれど、モチベーションムービーの効力は人にとっては一生続くと今は思ってる。選手からも言われたけど間違いなく再戦前に見たことで気持ちは爆上がりしたと思う。
いま、高校生になった選手がこの曲を未だに聴いてくれているかはわからないけれど、自分は3年たったいまでの頻繁に聞いている。そして自分にとってのお守りだ。

何もかもが光って 妬ましく思えた あの夜 僕はどうしても
笑えずにいたんだよ マイナスの感情は マイナスでしかないの?
Oh oh 僕は僕でしかない Yes I know I'm right(そう、僕は間違ってない)
Yes I know I'm right(そうだ、わたしは正しいんだ)

[[Alexandros]「Philosophy」歌詞]

正直他の部の成績が良すぎて、サッカー部のみんなが妬ましく嫉妬心を覚えることもあったんじゃないかと思う。というか自分がそうだった。そんな感情を持つ自分に対して、マイナスな感情を肯定して、それをエネルギーに変えてくれる歌詞はありがたかった。ただ負の感情に飲み込まれるだけじゃない。

下向いていたら 「上向きなさい」って 無理矢理「頑張らされた」
でも下向きながら 目線だけ上げて 睨む方が僕らしいや
僕の哲学は 揺れ続けるだろう それでいいだろう あてもないまま
抗っていこう

[[Alexandros]「Philosophy」歌詞]

どっちかというとネガティブがどんどん胸の中で煮詰まってしまうタイプ。
でもそれで良い。自分は自分で、他の部活に嫉妬するような大人とは言えないようなメンタルの持ち主。だからこそ自分たちだけのストーリーをこのチームで作っていく。弱いとか勝てないとか勝手に言わせておく。文脈を知っているのは自分たちだけなんだから。

ちょっと心が折れそうなとき、自分の気持ちを理解してくれていると思えないとき。心を奮い立たせるための気持ちの持って行き方がこの代のサッカー部とこの曲でできるようになった。

残りの2か月。非公式ではあるが来年の総体に繋がる大切な大会がある。
自分のためにも、選手のためにも。そして未来で聞いた時、自分や選手にとってのお守りになるようなモチベーションムービーをこれから作りたいと思う。




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