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大人への道のり

 

【 言い訳 】


   20歳になる年からだったかなぁ…今思うと寂しかったのかも知れません。何故かって?ひと言で言えば幼い頃の家庭環境かな?掘り下げるとそんな簡単ではない複雑な人間関係が交差し独りになるのが怖かったのかな…いや、独りになる事を望んでたのかもしれません。なのに何故に華やかなネオン燦めく夜の社交界だったのか今でも人生の謎の1つでもある。だから寂しかったと表現することで自身に言い聞かせているのです!過去のどうしようもない出来事をアレこれ悩み抜いた処で答えが変わり、出来事そのものの発生が無くなる訳でもない所謂、無駄な時間を過ごしている事への怒りや絶望感、そして過去の自分からの脱却を求め、新しい人生への一歩を踏み出す為、苦しみから逃れる為の【言い訳】であると……。

【ネオン街への参入】


 全国各地の歓楽街ではその土地にしかない、その土地が発祥地の誰もが肯く食や言語、習慣などが国内の異文化と交わり新たな文化として定着したり消滅したり…そんな瞬間に出逢い、別れて往くのが所謂、【水商売】と云われるのではないかと感じる私には居心地の良い場所でした。まだ東京に出たての頃の大泉洋が紹介【スープカレー】や〆ラーメンじゃなく【締めパフェ】昔から食す羊肉の焼き肉【成吉思汗】、 ホストクラブより安くスナックより割高の【メンパブ】高級クラブのような落ち着きとキャバクラのような華やかさを併せ持つ【NEW倶楽部】、山本晋也監督が深夜番組で紹介!一躍全国区となった【プッシーキャット】おっ!パブのようなお色気系の店の総称【キャバクラ】現存するのは沖縄?大阪?【ちょんの間】など発祥地は北の街ススキのと云われるものからその土地で変化したものまで多種多様の風俗が入り乱れる歓楽街には色んな出入りが発生する。

【 愛情 】


   新店舗、新規オープン、新商品、新サービス、新料金プラン、新人スタッフ、新人ホステス、ご新規様、そして安定した売上の基盤である常連のお客様など挙げれば切がない程である。その中で注目したのはやはり人間関係…そうです!一番苦手としていた人との交流です。私が心掛けたのは先輩や上司の誘いは絶対に断らない!特に酒の誘いは…。そして呑んだ次の日は二日酔いでも必ず出勤する!でした。
若かった私はこれだけで上から可愛がられ、社会人として業界人としてのイロハを教授されたのです!と、言えば聞こえは良いが、時代柄パワハラ、モラハラ、セクハラ、何でもアリで、時には手足も飛んできました。仕事が出来る出来ない以前に、人間性の構築から叩き込まれたのです。
当時の人間関係の作り方は、今では考えられないほど雑で安易に行われていました。人それぞれでしょうが何となく大人になった気がした(笑)
私が受けた体罰や罵声には幼少期に受けた愛情の域とは較べるまでもなく、遥かに上質のものであったと錯覚するほど【愛情】に飢えていたのを、今になっても思い出すのはやはり人生の分岐点だったのかも……

【 復讐 】


  親友だと思っていた…Tに直接問い正した訳ではないが過去を振り返ると都合の良いように利用さているとしか考えられなかった…

2度のチャレンジ失敗!

その度に生活は困窮を極め、電気 ガスはもとより携帯電話までも停止する有様でした。
家賃が払えず退去通達を受けたのも一度や二度で済む訳もなく危うくホームレスに成りかけた事も……。

しかし私の極貧生活を横目にTは子も授かり家庭をも築いていたのです。一体誰のせいでこんな状況に陥ったのかと周りに愚痴る事も屡々……
3度目は絶対に断ろう!関係が壊れても自己防衛すべきだ!と一瞬に脳が反応したのです。

【 過去の精算? 】


Tとの出逢いは中2の夏。両親が子育てを放棄したり問題をかかえた家族が生活を立て直す為に一時的に子供達を預かる制度の施設の中でした。同じ部屋でTは2コ歳下の無口な少年でしたが自分の置かれた環境に反発するかのように瞳の奥にはいつも燃え盛る焰のような光が妖しく輝いていたのを覚えている。
そんなTと再開したのは私が高2で施設を出てから5年後の秋だった…以前とは変わり果てたふくよかな体型からは当時の面影は感じられず、思わず誰?って感じの他人行儀な対応にTが戸惑う姿が可笑しくも感じたのを覚えている。その時の事を酒の席で面白可笑しく皮肉るのがTの口癖で私への信頼と友情への裏返しだと思っていたが、施設時代の出来事も含めて復讐の口実になっていたのかと今になって思うと小さい奴だな!と感じた反面、恐ろしさも込み上げてきたのです。

 【偽りの友情 】


   暫く経つが3度目はなかった………哀しいがやはり図星のようだった。
そこに現れたのが彼の知人、私の知人でもある職場で知り合ったMでした。
Mは人当たりが柔らかく会話も豊富で第一印象としては合格点の所謂、成績優秀な営業マンのような奴だった。何方かと言えば私の好きなタイプであるがゆえ、そこに隙間が発生したのだろう。
しかし信用していても腹の内は中々見せないのが私の信念でありその部分に関しては根拠のない自信となって現れるのである。
Mは以前、豊田商事の金塊宜しくダイヤモンドを使った詐欺事件で仲間たちと共に指名手配を受けた前歴があり、言うならば筋金入りの詐欺師崩れでした!
そんなMも私とのコラボで2度のチャレンジ失敗!
一度目のMは独立後に順調だったキャバクラが傾きかけた時にもう一件とオープンさせたのが連鎖反応でパンクした時、もう一件はなんとTMWの3人同時コラボ案件で起きた『潰し』であった!
20坪の店舗は私Wがワンオペにて在籍数10〜2・3名のセクシーパブと35坪中規模クラスの在籍数30名前後でキャバクラを開店、TとMがメインでスタッフを2〜3名ほど補うという。売上げは赤字ではないもの利益率の低い私が差配役の店舗は2ヶ月で閉店、私はもとより移転出来る女性はキャバクラへ!これを画策したのが社長ではなくTであることに激怒!その話で説得しにきたのがMで犬に成り下がった奴は勝手に吠えさせて社長に直談判するもTの画策は完璧にて私は引き止める声を嘲笑いながら最悪のパターンである退社を選択したのです。
その5ヶ月後、私が潰された店のコンセプトが流行り出しノーブラ テニスウェア(パンツは履いてます)の制服はセクシー系ではなくギャバ系で一世風靡するのであるが男が男に対する妬み嫉みは本当に恐ろしいものだと悟った出来事でした。

【気付いた事がある…】

この事件をキッカケに3人の関係は希薄となり、それぞれの人生を歩んで行くわけですがTとMに関しては今もススキのを主戦場にしているのかも知らない。当然わたしのことなど知る由もなく互いに知りたいとも思ってないと推測する、。
只、ひとつ言う事が有るとしたならば…
歳を重ねるにつれ、出逢いよりも別れが増えてるんだなぁ、人間いつか必ず土に帰るのだからどうせなら1番先に逝きたい…

また出逢えたら仲良くなれるかな…?

  もし関係が良好のままなら出逢いから今年で40年になるけど…前もって知ってたら今とは違う未来に俺たちは辿り着いたのかな?

  互いの連絡先も知らぬ状況が時のいたずらか、うらめしくも想う……気分はまるで砂丘で風に吹かれる小さな昆虫のようだが…いつ飛ばされやしないかハラハラどきどき、色々考え込んでしまう午後の陽射しがやけに目に沁みる、別れてから20回目の梅雨に我泣きぬれる。




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