エネルギーテック~電力におけるイノベーション~


脱炭素化でサステイナブルな社会の実現を

温室効果ガス排出による地球温暖化が原因で、様々な環境問題が起きており、パリ協定で「産業革命から2050までの気温上昇を2℃以内に抑える」という共通目標が設定されるなど、世界共通の課題となっている。

中でも、太陽光・風力・中小水力・バイオマス等といった温室効果ガスを排出せず、エネルギー源として永久使用することができる再生エネルギーは効果的な施策の一つとして、近年世界のトレンドとなっており、多くの企業で導入が急速に進んでいる。

また、日本においては電力の自由化をきっかけに、エネルギー分野への新規参入者が増え、競争が加速している。

世界、日本のトレンドに押され、エネルギー分野では様々なイノベーションが起きている。


まずは、エネルギーにおけるイノベーション盛んになった背景を、3つのキーワードから考察していく。

イノベーション促進の背景

①電力・ガス自由化

規制産業であった電力・ガスに競争原理を導入し、消費者の便益を最大化することを目的に、2016年に電力が、2017年に都市ガスが全面自由化された。
競争をさらに活性化させるべく、「電力市場の分化」が進められている。

※電力市場の分化とは?
既にしていた「電力卸売市場」に加え、「ベースロード電源市場」「容量市場」「需給調整市場」が新設され、新規参入企業を含めた競争市場が形成される。

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➁運輸・熱需要の電化と電源の脱炭素化

2015年のCOP20で採択されたパリ協定では、「気温上昇を産業革命以後から2℃未満に抑える」という目標が掲げられた。日本も呼応し、2050年までに温室効果ガス排出量の削減目標を80%としており、その為には、温室効果ガスを排出させないエネルギーの利用比率を上げるべく、「運輸・熱需要の電化」「電源の脱炭素化」が必要である。

※運輸・熱需要の電化→需要側では、ガスコンロをIHにする等、ガスや灯油 で動く危機を電気で動く機器に置換
※電源の脱炭素化→太陽光や風力で電気を作ること。

➂RE100

RE100は、遅くとも2050年までに企業が消費する電力の100%を再生エネルギーとすることを目指す企業連合のこと。2019年8月時点で20社が参加。参加企業は、より積極的に自然エネルギーの普及促進を図る。
取り組み背景には、ESG投資の拡大が表すように、環境問題の深化の影響を受けて、投資家が非財務指標を重視していることが挙げられる。
この領域に対応したテクノロジーとして、ブロックチェーンを活用した環境価値のトラッキング技術が注目されている。

では、エネルギー業界にはどのようなイノベーションが起きているのか?
2つのイノベーションを紹介する。


2つのイノベーション

①VPP DR

電気は貯蔵できない性質をもつ。故に、常に発電量と電力使用量を一致させなければならない。今後普及が加速する太陽光発電などの再生可能エネルギーは、日射量によって発電量が変動してしまい、発電量をコントロールする仕組みがないため、電力使用量を調整する必要がある。
そのために、「VPP=仮想発電所」「DR=デマンドレスポンス」が注目されている。

VPP→家庭や工場が持つ太陽光発電、蓄電池、電気自動車等の分散エネルギー資源を遠隔から制御して、発電量と電力使用量のバランスを調整する仕組み。加えて、遠隔から電力使用量を調整する行為をDRと呼ぶ。

➁ZEH ZEB

周囲とのエネルギーの融通や、太陽工パネル等によりエネルギーの自給自足が可能な建築物のうち、住宅をZEH、非住宅をZEBと呼ぶ。
エネルギー基本計画では、ZEH/ZEBを増加させていく方針であり、補助金等各種推進政策が行われている。
ZEH/ZEBの実現には、断熱・自然通風/光活用などの建築自体の技術だけでなく、太陽光発電や蓄電池エネルギー資源を含めた設備技術や、熱などのエネルギーを融通する技術が求められる。


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