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北海道とサケの歴史を学んできた

結論:冬をしのぐための神からの贈り物とされていた。


11月11日は、ポッキー、プリッツの日だけではない

ポッキー、プリッツの日

ポッキー、プリッツは江崎グリコの主力商品の一つです。ポッキー、プリッツの1本1本が1に見えます。江崎グリコが1999年(平成11年)に制定しました。平成11年11月11日という1が6つ並ぶ日に制定されました。

プリッツの思い出といえば、クアラルンプールに住んでいた頃、最寄りの駅で夜降りると、100円で5箱購入できます。帰国時のお土産にしていました。バター味など日本でも食べられるものが多かったです。

鮭の日

11月11日は、鮭の日でもあります。鮭という漢字の右側のつくりの圭の字を分解すると、11が2つあることから、11月11日は鮭の日と制定されました。1987年、新潟県村上市が、1992年、大阪市中央卸売市場の「鮭の日制定委員会」が制定しました。

今年の鮭の日は、北海道のサケの歴史について語ります。

鮭はサケ目サケ科の白身魚。オキアミなどエサに含まれるアスタキサンチンという色素が身に移って橙色に見えます。鮭は冷たい場所を好みます。そのため、北海道から新潟県北部にかけての北側の地域を中心に生息。シロザケは日本海側は山口以北、太平洋側は利根川以北に生息しています。

鮭は、産卵のために、故郷の川へ戻る「母川回帰」という習性があります。鮭は産まれて川を下り、オホーツク海、太平洋へ旅経ち、3年かけて戻ります。漁、クマなどによって捕らえられ、戻ってくる個体は、1%未満という、ほんの一握りです。卵を孵すために、温める必要があるため、暖かい場所で産卵します。北海道の冬は寒さが厳しく、水面は氷が張るほど冷たいです。しかし、地下水は表面にふれる空気の影響を受けず、一年を通じて一定のです。さらに、川の上流、中流に砂州があることによって、川の水が砂州を通り、砂州の終わりに再び湧きます。鮭は水の湧く場所に産卵します。

鮭という名前の由来は、身が裂けやすいことが由来になったと考えられています。たしかに、焼鮭は、軽く押しただけでほぐれます。一方、サバは押してもほどけず、箸先で切ったり、持ち上げると身が連なって取れます。

世界中で食べられるサケ

世界中で食べられている鮭。消費量は日本が世界一で、3分の1の鮭を消費しています。消費されている鮭は、白鮭、紅鮭、銀鮭。

多く食べられている鮭は白鮭。淡い赤色でどんな料理にも会います。
紅鮭は身が濃い鮮やかな紅色で強い香り、しっかりした歯ごたえがあります。塩鮭、缶詰、燻製として食べられます。
銀鮭は養殖がほとんどで塩鮭、おにぎりの具材として利用されることが多いです。

秋に遡上する鮭は秋鮭アキアジと呼び、初夏に水揚げされたものはトキシラズ、成熟前の状態で水揚げされた若い鮭を鮭児とよびます。鮭児は全身に脂がのっており、数万匹のうち一匹しか取れず、特にレアです。1匹10万円で取引されることもあります。

栄養

EPA、DHA、ビタミンD、B2、B6が特に豊富です。カルシウムの吸収を助け、骨粗鬆症の予防、筋肉機能の維持、口内炎、髪のトラブル予防、アレルギー症の改善などさまざまな効果が期待されています。

アイヌ民族とサケ

北海道は鮭の漁獲量90%を誇り、千歳川、石狩川など道央地域を中心に多く穫れます。鮭は縄文時代から重要な食糧とされていました。

アイヌ民族は、鮭は栄養価が高く、毎年豊富に捕れたことから、人間のために、神が送ってくれた魚と考えられました。鮭はアイヌ語で「シペ(食べ物)」と呼ばれています。特に脂肪分の少ないシロザケ、サクラマスは「シペ・カムイチェプ」(大きい食べ物、神の魚)と呼ばれ、重宝されました。 サケは、皮、身だけではなく、卵、内臓、ヒレも利用され、捨てる部分がありません。

毎年、秋の最初に遡上する鮭を迎え、祭壇に供えて、アペフチカムイ(火の神)に感謝を伝え、漁の安全、豊漁を祈る儀式(アシリチェプノミ)が行われました。冬になると寒さと雪で植物を中心に狩猟採集ができなくなるため、鮭を保存食として春までしのいでいました。必要な分だけ捕獲して、資源も守っていました。マレク漁というモリのような道具で突いて鮭を捕獲していました。

捕った鮭は、冬にむけて燻製、干して水分を飛ばし、保存性を高めたサッチェプ(鮭の干物)を製造しました。見た目は現在の鮭とばに近いです。一方、鮭とばは、冬の寒い日に生鮭を薄くスライスし、塩水に漬け込み、風干しした乾物。干すことにより、鮭の旨味が濃縮されます。12月、遡上の季節の終盤にくるシロザケを凍らせて保存するルイベもごちそうです。凍らせることにより、アニキサスなど寄生虫を殺すことができ、刺身としても食べられるようになります。

皮は生活用品、貿易品として利用されました。

アイヌ民族の住宅様式も、サケ基準。住む場所はサケの遡上、産卵スポット。住まい+燻製小屋の役割を果たした住居。中央に囲炉裏があり、急な傾斜の屋根裏にサケをつるして燻製にしました。屋外でもサケをつるし、風に当ててサケを乾燥させました。

北海道の鮭料理

現在、北海道で食べられているサケ料理は、アイヌの伝統的な料理に加えて、明治時代、開拓のために多くの本土からの移民の食文化の融合により誕生しました。
千歳川沿いにある千歳水族館では、レシピ検索コーナーが存在し、一人3つまで印刷して持ち帰ることができます。北海道だけではなく世界各地のサケ料理について、調理法、部位から選択できます。今回は、アイヌ料理のオハウ、北海道名物のちゃんちゃん焼き、石狩鍋を選択して持ち帰りました。

オハウ

アイヌ民族が主食としていたスープです。冬はサッチェプ、海藻などの具材とともに煮込んで作ります。塩で味を付けます。塩味の素朴であっさりした味わいでした。

ちゃんちゃん焼

鉄板に、鮭、キャベツ人参、玉ねぎ、キノコなど野菜、味噌ベースのタレ、バターをのせて焼いた料理です。ちゃんちゃん焼きという名前の由来は、「ちゃっちゃとくつくれるから」、「お父ちゃんがつくるから」、「焼くときに鉄板とヘラがチャンチャンという音を立てるから」など、さまざまな説があります。札幌市の北の石狩市で、1930年代に船上で漁師たちが釣ったサケをドラム缶からつくった鉄板で焼いて食べたのが発祥といわれています。

石狩鍋

石狩市にある1880年開業の金大亭が元祖。オハウから発展し、狩地方の漁師がサケ漁の間に食べていた漁師飯が発祥です。
昆布だしに鮭のぶつ切り、あらをメインに、白子、卵巣も入れています。甘みを引き出すため、キャベツ、玉ねぎの具材を入れて味噌ベースの鍋です。豆腐、こんにゃくなども入れられます。石狩市では、旨味を引き出すため仕上げに山椒をいれます。

みなさん、オススメの鮭料理がありましたら、ぜひコメントで教えてください。

千歳水族館

営業時間 9:00~17:00(3月~11月)
     10:00~16:00(12月~2月)
定休日  年末年始、1月後半のメンテナンス期間
アクセス 千歳駅から徒歩10分

参考文献

尾形希莉子、長谷川直子,(2018) ,地理女子が教える ご当地グルメの地理学, ベレ出版.

ニーコラス ミンク ,(2014) ,鮭の歴史, 原書房.

千歳水族館

国立アイヌ民族博物館


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