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あかるい夜に

 ミルッカのともだちはカエルのタリーです。カエルといってもそれはぬいぐるみのカエルでした。ミルッカがうまれたときにサッラおばさんがプレゼントしてくれた、ひょろながいてあしとエメラルド色にきらきらとかがやくひとみをもつカエルです。ミルッカはうまれたその日から、ずっとタリーといっしょです。ねむるときはもちろん、ごはんのときもさんぽのときも。近所のともだちとあそぶときにもタリーはついていきます。タリーのあしはながいですから、ミルッカがかけっこをするたびにひきずられ、なわとびをするたびになわにひっかかり、すなばではすなまみれになって、どんどんよごれました。
 ミルッカのお母さんは、よごれているタリーをふびんにおもい、あらってあげることにしました。ミルッカがねむっているすきにさっとタリーをつれだして、せんたくきのなかにほうりこみました。
 しばらくするとミルッカは泣きべそをかきながらおきてきました。目をさましたときに、へやのどこにもタリーのすがたが見えなかったからです(タリーはだいたいいつもベッドからとびだして、ゆかでねむっていることがおおいのです)。お母さんはそのことにきがつくと
「タリーはおそとでひなたぼっこをしているわよ」
 とおしえました。ミルッカはあわててにわにむかいます。
 タリーは、りょうてをものほしざおにくくりつけられて、だらんとぶらさがっていました。
「おはよう、タリー!」
 見あげるようにしてミルッカはタリーにあいさつをしました。
「ミルッカかい。ああ、おはよう」
 タリーは元気なくミルッカにあいさつをしました。そしてこんなふうにつぶやきました。
「この朝、ぼくにおこったことをきいてくれるかい? ほんとうにさんざんな目にあったんだ」

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