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できるだけネタバレせずに映画『ラ・ラ・ランド』を語る

「映画の日」で料金が安くなるというので、映画『ラ・ラ・ランド』を観た。

前日の昼ごろネットで予約しようとしたら、前のほうの座席しか空いておらず、しぶしぶ前から2列目の「B-12」の席をとった。

いざ映画館についてみると座席の表記がわかりにくく、自分がB-12に座っているのか、B-13に座っているのかいまいち自信がもてないまま、たぶんこっちだと思うほうに座って上映を待っていた。

すると厳ついおっさんが近づいてきて、「おたくチケット何番?」と聞いてきたので、俺も即座に「あ、やっぱり座るところをまちがってたんだ」と気づいて、「ごめんなさい」して隣の席に移った。

厳ついおっさんは俺の顔を見て、「おっさんが座ったすぐあとに座りたくねぇなぁ……」という感じでイヤイヤ座っていた。ちょっと申しわけなく思った。

映画が中盤にさしかかったあたりで、隣の厳ついおっさんが鼻をぐずぐずやりだした。あ、花粉症なんだな。でもちょっとうるさいなと思って、ちらと横を見たら、厳ついおっさん、号泣してた。「おっさん号泣してるやんけ!」と言いたかったけど、さすがに言えなかった。

しばらくして、ちょっと切ない場面になったとき、あ、隣の厳ついおっさんはこの映画を観るの、2回目なんだなと気づいた。だから早くから泣きだしてたんだな、と。そのとき、このシチュエーション、もし何かが“ほんの少し”でも違っていたら、俺はこの厳ついおっさんと恋に落ちたかも知れないなと思った。それくらい、俺の人生と隣の厳ついおっさんの人生は交錯していた。

何かが違っていたら、そこにはまた別の幸せがあった。偶然にも『ラ・ラ・ランド』は、まさにそういう映画だった。

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