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おかんの手紙写真館(2)

押し入れから出てきた、20数年前に母から届いた手紙。
母からの手紙には、僕の話でも母自身の話でもなく、第三者の話題が多い。

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お仕事がんばって!
5月12日ハナは目の手術をします。
逆まつ毛を抜きレーザーで焼くらしい。
ちょっと、かわいそう。

シンプル、かつ4分の3が犬の話題という大胆な構成。

仕事のことが書かれているので、前回の手紙から数年後、僕が22、3歳のころのものだろう。

大学を卒業するも就職先がなく、時折アルバイトをするだけの日々。数年間は甘えてお金を振り込んでもらったり、食料を送ってもらったりしていた。自分の稼ぎだけで生活できるようになったのは25歳くらいから。情けない。

ハナは、実家にいたシーズー犬(♀)。先に飼っていた同じくシーズーのミミ(♀)と、姉妹のように仲良く暮らしていた。カタカナで書くと可愛らしい名前だが、要は「耳と鼻」。その「鼻」のほうが目の手術をするという話。たしかにちょっとかわいそう。

今回は、「母の手紙には第三者の話題が多い」ということを伝えるために、時系列を無視してこれを選んだ。次回の手紙でこの意味がわかると思う。

母の名誉(?)のために書いておくと、僕は自分の近況を親に伝えるのが好きではなかったし、たとえ「元気でやってる?」「そちらはどう?」などと書かれても、返信をすることがなかった。だから、おのずとこういう内容になったのだろう。


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