vol.92 ”並べて眺める”を味わう【手紙の助け舟】
こんにちは。
喫茶手紙寺分室の田丸有子です。
春はまだ淡く、けれど確実に季節が移り変わっていることを感じる今日この頃、いかがお過ごしですか。
二十四節気は「雨水」(2月19日〜3月5日ごろ)になりました。
雨水にお雛様を飾ると良縁に恵まれるという言い伝えがあるそうです。良縁というのは男女の縁だけではないと思いますから、私もこの時期に飾ります。飾ると言っても雛人形の描かれたポストカードと桃の花を飾るだけなのですけれど、それだけでも春を迎える気分になります。
七十二侯について、雨水の初候は「土脈潤い起こる」(2月19日〜23日ごろ)と言います。
早春の雨が降り注ぎ、大地がうるおい始める頃という意味です。
古来中国の雨水の初候は、「獺魚を祭る」でした。
カワウソは捕らえた魚を川辺に並べておく習性があるそうで、その様子が祭りのお供え物に見えたことから生まれた言葉です。ここから来ているとされる春の季語は「獺の祭り」。また、文筆家が仕事の時に自分の周りに資料や本などをいくつも広げておく状態を「獺祭」といいます。
カワウソの気持ちがわかるとは言いませんが、”並べて眺める”は私も子供の頃から時々していました。集めていたメモ帳やシールを意味もなく並べて一人悦に入っていましたね。
旅行に行ってたくさんお買い物をした時、帰ってきてからベッドの上に買ってきたものを並べたり、自分が使っているお気に入りをあえて意味もなく並べてみたり、カバンの中身を出して並べるなんてことも。大人になってもそれは変わりませんでした。
ただ並べて眺めて満足する。改めて考えてみると不思議な行為です。
いただいた手紙を並べる。これは整理も兼ねていますが、消印の順番に並べ替えたり、美しいポストカードをズラリと並べてただ眺めてみたり。
切手を切手帳に並べる作業も大好きです。始めるといつまでも時間を忘れて夢中になってしまいます。
並べたらほとんどのものは当然しまうわけですが、なぜか出して並べてしまう。”並べて眺める”の何がどう楽しいのかを説明するのは難しいけれど、きっとこの気持ちは私だけではないはずと思っています。他の方々は何を並べて眺めるのでしょう。興味津々です。
みなさんは”並べて眺める”を楽しむことに共感を覚えますか?
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