ひどく苦しんだ産褥期精神病 Ⅲ

かかっていたクリニックは全病棟が個室で、私は閉じ込められることに強く抵抗を感じたため看護師長さんが個室から人の気配が感じられる場所を確保してくれ、少し安心することができた。


だけどそれもつかの間、、点滴が流れ始めると私はまた、正気を失った。泣いて泣いて、こどものようになった。主人が泊まることを特別にOKしてもらえてその日はなんとかやり過ごした。
夜は眠りが浅く何度も起きた。朝になってようやく眠れた記憶がある。


いま思えばすでに産褥期精神病の始まりだったんだね。
翌日も不安で落ち着かなくてロビーに出てはふらふら。時間が経つのがとてつもなく遅く感じた。雪が降っているのを眺めていた。勿論こころのソワソワと薬液の副作用の動悸で落ち着くこともなく。薬液ウテメリンは副作用に動悸がある。この動悸で私は不安症を呼び起こされた気分にもなった。もともと私は社交不安も持っているから。早い脈拍に、焦燥感。時々おそってくる悲しみの涙。幸せなはずのマタニティライフはもうどこにもなかった。


入院4日目。私はなにをしても集中できなかった。映画も小説も頭に入らない。音楽も感情が入らない。ただ夜主人が来てくれることだけを命の綱にしていた。最愛のこどもたちのことも考える余裕はなくなっていた。入院3日目、微弱陣痛で点滴が増えた。それにともない私は不安定に。


マグセントが追加となったが、副作用はだるさ。私は副作用が顕著にでる。私は
日々どうにか、やり過ごすなかで
こどもと笑顔で、やりとりができる日もあった。なぜかはわからない、でも調子がいい日もあったことは確か。夜テレビ電話をして楽しかった。


次の日は不安定だとしてもなんとかやり過ごした。
入院6日目、シャワーのために点滴を差し替えになった。ここから悪夢がはじまる。


腕の痛みが強く出た。血管痛らしい。それから呼吸が浅く苦しくなって眠れなくなった。血管痛いし眠りに落ちそうになると呼吸が止まりそうになる感じ、ハッと恐怖で目がさめる。眠りに入れない…!
それが不安を増大させて明け方に過呼吸になった。浅い呼吸に頻脈。こわくてこわくて涙も出た。ナースコール何度もした。朝から主人が来てくれた。この呼吸抑制のような症状や過呼吸を点滴の副作用と思い、この呪縛からは逃れられないんだという不安が常に付きまとうようになった。


翌日、看護師長さんに相談をすると精神科の受診をすすめられた。それから不安をとる薬を処方された。飲んで直ぐに眠った。起きたら師長さんが退院しようかと言ってくれた。きっとこの不安定な私は入院よりも通院がいいだろうということとここではもう見きれない、という判断もあったのかもしれない。幸い切迫早産は危険な状態ではなかったため、ホルモン注射を打って退院できた。自宅で絶対安静の日々が始まった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?