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NovelJam参加してきた記の1

「2日間で小説を書き上げる日本初の創作イベントをやるんだって。記者会見もやったらしいよ」「わあ、すごいね。大がかりだね。成功してほしいね」「参加しないの?」「え?小説は書いたことないからなあ」「そうなんだ。編集者も募集してるらしいよ」「編集といってもぼくはライター業の延長みたいなことしかやったことないし」「ふうん、じゃあ参加しないんだ」「いや、そうはいってない」「そう?」「そう」「参加したいの?」「どうだろう」「まあ文芸のハッカソンなんて成立するかわからないもんね。1回目は様子見するのが賢明かな」「いやいや、こういう挑戦的な試みは初回が面白いんだと思うな」「そうかな」「そうだよ。運営も参加者も手探りだからこその熱気とか自由度ってあるじゃんね」「そうか、試みだもんね」「だよ。試みだもん」「なるほどね」「うん」「じゃあ参加してみたらおもしろいんじゃない?」「かもしれないね」「うん」「でもさ、よく見たら参加費8000円だって。仕事で文章書いてる人間からしたら、お金払って仕事するみたいなものだね。やってられないね、きっと」「いや、そうでもないんじゃないかな。むしろおもしろいよ」「そう?」「そうだよ。『仕事』を言い訳にできないぶんだけ、自分を追い込んでやれそうな気さえするよ」「そういうものなんだ」「そういうものじゃないかな」「あのさ」「うん?」「もしかして誰かに誘われるのを待ってる?」「まさか」「そう?」

「あけましておめでとう」「おめでとう」「NovelJam申し込んだ?」「まあ、一応」「お、参加するんだ」「でも応募者多数らしいから落ちるよ」「わかんないじゃん」「いや仕事忙しいし、だから落ちる前提で」「ふうん。作家で?」「いや編集にした」「そうなんだ。どんな作家さんと組むことになるんだろうね」「いや、だから落ちるし」「落ちなかったらの話で」「どうなんだろう。ただライターやってる身としては、書き手が最大限やりやすいようにはしたいな」「なるほど。賞は目指さないの?」「それも作家さんの希望次第かなあ。担当する作家さんの名前は事前に連絡あるみたいなんだけど、ギリギリに知らされても作品読めないから焦るよね。早めに教えて欲しいなあ。ちょっとはイメージつかんでおきたいし」「そうだね」「当日までに仕事は片づけておかないとマズイだろうね。やっぱり当日2日間は集中して臨みたいし。すぐ行動できるようにビジネスホテルもとっておこうかな。受験シーズンだから早めに押さえないとマズイかな、もしかしたら夜中もやるべき作業あるかもしれないしさ」「あのさ」「うん?」「いや、なんでもない」


NovelJam(公式サイト) http://noveljam.strikingly.com/

(つづく カバーイラストふじさいっさ)

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