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【読書記録】知的戦闘力を高める 独学の技法

じっくり読んだ本について書くハードルが上がってきているので、まずは軽く読んだ本について記録を書いてみようと思います。第一弾は「知的戦闘力を高める 独学の技法」です。

メタ情報

タイトル: 知的戦闘力を高める 独学の技法
著者: 山口周
出版日: 2017-11-16

読んだきっかけ

目次を読んでみて、内容が想像できること、想像できないこと、なんとなく分かりそうなことの3つがバランスよく書かれていそうだったので、読んでみようと思いました。具体的には、内容が想像できたのは「問いのないところに学びはない」、想像できなかったのは「最大のインプットは人と話すこと」などです。

山口周さんの本を読むのは2冊目で、3年ほど前に「外資系コンサルの知的生産術」を読んでいたようです。「9つだけ引用する」と書かれていて、その通り9つ引用したことが記憶に残っています。

概要

主に知的生産(アイデアを生み出したり、根拠のある文章を書くこと)を対象として、独学の方法を説明します。独学を1. 戦略 2. インプット 3. 抽象化・構造化 4. ストックの4つのプロセスに分けて説明します。

本書の鍵となるのは、「知ることは時代遅れになっている」ということです。インターネットで様々な情報を入手できるようになった今では、ただ情報を手に入れるだけでは十分ではありません。「そもそも何を学ぶのか?」「情報をどのように加工するのか?」「情報をどうやって保存するのか?」などが重要になります。

印象に残ったところ

ネタ切れしているときに刺さる部分です。記事を書くときに「何もないところからは何も生まれないんだなぁ」と思うことがあります。

それは「アウトプットとインプットの量は長期的には一致する」という前提です。これは要するに「人生全体で見てみれば、アウトプットの量とインプットの量は同じだ」ということです。アウトプットする人はインプットしている。逆にいえば、インプットせずにアウトプットしていれば、どこかで涸れてしまうという話で、実に当たり前の前提です。


ピンと来なかった「最大のインプットは人と話すこと」について書かれている部分。何かを学ぶ際に、その分野に詳しい人に概要を教えてもらうのは確かに効果的な方法だと思いました。ちょうど最近、教えてもらった本が面白かったということがありました。

本を1冊まるごと読むよりも、その本を深く理解している人から、いまの自分にとって重要性のある箇所だけをエッセンスとして教えてもらう方がはるかに効率的だということは容易に理解できるでしょう。これはつまり、フットワーク軽くさまざまな人に会って話を聞くということがとても学習においては重要だということを意味しています。


他の本に書かれているのを見たことある気がする部分。抽象化するならば「質は量に比例する」みたいな感じでしょうか。この具体例を紐づけて記録しておけば、質と量についての記事をいつか書く機会があったときに、説得力を増やす材料として使えそうです。

サイモントンによれば、科学者の論文には量と質の相関関係が存在するようです。たとえば、ある科学者のもっともすぐれた論文の引用回数は、その科学者が残した論文の数に比例します。また、サイモントンは同時に、科学者が生涯で最高の仕事をしている時期は、もっとも多くの論文を書いている時期であり、そしてもっとも「ダメな論文」が生まれる時期であることも指摘しています。


知識があれば常識を相対化して見れる、という部分について。終身雇用が常識だと考えている人もいるけれど、それは高度経済成長期に作られた言葉だということを指摘しています。歴史を学ぶと、当たり前が当たり前ではなくなります。

こういった勘違いや錯誤は「目の前のことしか知らない」という知的ストックの貧弱さに起因しています。知的ストックを厚くし、知識の時間軸と空間軸を広げることで、目の前の常識が「いま、ここ」だけのものでしかない、という相対化ができるのです。


記録の方法について書かれている部分。Kindleだったら、ハイライトした部分はWeb(read.amazon.co.jp)コピペできるので楽です。

ここでポイントになるのが、優先順位付けによる選抜です。私の場合、アンダーラインの箇所がどんなに多かったとしても、イケスに放り込むのは基本的に5箇所、どんなに多くても9箇所までとしています。5とか9とかという数字にあまり意味はなくて、5箇所くらいであれば、せいぜい 10 分程度で転記が終了するからということです。

感想

本書自体が、著者の独学の成果物と考えて読むと面白いと思いました。節のタイトルは「問いのないところに学びはない」「インプットは短期目線でいい」などのように、テーゼになっています。そして、その根拠として歴史上の人物の言葉や、研究の成果が引用されています。根拠は著者が独学で様々な資料を読む中でインプット、ストックしたもので、テーゼは抽象化した結果生まれたものだと理解できます。

本の内容について語れるようになるためには、メモを自分の言葉で書くことが重要です。しかし、根拠として使うのであれば、正確性を担保するために内容をそのまま記録しておくのも有効な方法だなと思いました。学び方や説得力のある文章の書き方について、一つの視点が得られる本でした。

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