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「生き方」を読んで心が救われた話

「生き方」を読んだきっかけ

「生き方」は、京セラやKDDIの創業者の稲盛和夫さんが書かれた本です。私はしばらくの間「どのようなことを考えて生きればいいのか?」「あの偉人は何を考えて日々を過ごしていたのか?」というような疑問を持っており、それについて調べている中で本書に出会いました。

人間は誰しも、人生の目的について一度は考えることがあると思います。その答えは人によって異なると思いますが、「幸福に生きるため」「夢や目標を叶えるため」「自分の能力を発揮するため」「社会やコミュニティに貢献するため」など様々だと思います。

私が本書を読む以前に人生の目的として考えていたのは、強いていえば「楽しく穏やかに、前向きに生きること」であり、目的にとらわれすぎて今をないがしろにするのはよくないと考えていました。

その背景には、目的を達成することにこだわってずっと未来のことを考えて過ごしていた経験や、目的を失って無気力に生きた経験があります。死んだら全てのものを失うので、肩の力を抜いてリラックスして過ごせば良い、そんなふうに考えていました。

「生き方」における人生の目的

「生き方」では、稲盛さんが人間が生きている意味、人生の目的について真正面から答えます。本書の人生の目的に関する主張を自分なりにまとめると、次のようになります。

  1. 人生の目的は、心を高めること、魂を磨くことにある

  2. その理由は、人間として正しくあることや、日々懸命に生きることが重要だから

  3. 魂を磨くために最も大事なことは、日々懸命に働くこと

私はなぜ救われたのか?

この考えを聞いて理解が進んだとき、心が楽になり、前向きな気持ちになることができました。なぜかというと、今の自分ができることや、することに意味を見出せるようになったからだと思います。

私は人生の目的について「人は死んだら全てを失うので、肩の力を抜いて気楽に前向きに生きればよい」と考えていました。今もこの考え方が間違っているとは思いません。しかし問題点が1つあるとすれば、前向きに生きるために具体的に何をすればいいのかが分からず、行き詰まりかけてしまったことです。

「人生の目的は心を高めることである。そして心を高めるために大事なことは、日々懸命に物事に取り組むことである。」この考えが正しいと思えることによって、「どんなことをするにしても、それが心を高めることにつながっていれば意味がある」と考えられるようになりました。

また、心を磨くことを考えて過ごすと上手くいくということを思い出したのも一因だったと思います。これは「生き方」で因果応報の法則として説明されているものです。すなわち、私たちが手にしている結果は自身の思いや行いによって生み出されたものであり、良い思いや行いは良い結果につながるというものです。

「思い出した」と書いたのは、因果応報の法則が、前々から知っていた「原因と結果の法則」と同じものだったからです。

因果応報の法則は、心を高めることを後押しするものでもあります。なぜなら、それが良い結果をもたらすと信じることができるからです。しかし、心を高めること自体が尊いものであり、原因を自分自身の中に求めるという点で何か精神的な健全さがあるとも思うのです。

まとめ

私はこの経験から、生きる上で、今やっていることが意味のあるものだと思えることが重要だと気づきました(文章にしてみると、今更何を当たり前のことを言っているんだという感じがしますね)。

適切な言葉が見つからなかったので無理やり言葉にすると「意義感」のようなものです。心を高めることを人生の目的とすれば、一生懸命取り組むことそのもの、つまりほとんど全てのことに意義を見出せるようになるのだと思います。

「生き方」には他にもハッとさせられることがたくさん書かれています。

それらはすべて、たまたま私に与えられたものであり、私はそれを磨く努力をしたにすぎない。どんな人間の、どんな才能も天からの授かり物、いや借り物でしかないと、私は思っています。したがって、どのように優れた能力も、それが生み出した成果も、私に属しながら私のものではありません。(P96)

しかし、それも二十年、三十年といった長い単位で見れば、きちんと因果の帳尻は合っているものです。(中略)やはり三十年、四十年というスパンで見てみると、ほとんどの人が日頃の行いや生き方にふさわしい報果を、それぞれの人生から得ているのです。(P163)

しかし、それでいいのだということも私はよく理解しました。そうであろうと努めながら、ついにそうであることはできない。しかし、そうであろうと努めること、それ自体が尊いのだということです。(P175)

一生懸命働くこと、感謝の心を忘れないこと、善き思い、正しい行いに努めること、素直な反省心でいつも自分を律すること、日々の暮らしの中で心を磨き、人格を高めつづけること。すなわち、そのような当たり前のことを一生懸命行なっていくことに、まさに生きる意義があるし、それ以外に、人間としての「生き方」はないように思います。(P185)

190ページと読みやすくまとまっており、折に触れて読み返したい一冊になりました。もし興味を持った方がいらっしゃれば、素晴らしい本なのでぜひご一読いただきたいです。

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