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北海道縦断歩き旅 19日目「暴風と最後のトンネル」雄冬~

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深夜2時ごろ強風でテントがバタバタして眠れない。

テントを止めていたペグも外れ、自分の体の重さでテントが吹き飛ぶのを支えている状態だった。

雨も降っていた為、外に出ずになるべく目をつぶって寝ようとする。

テント全体が移動するぐらい風が強く、4時ぐらいに撤収作業に入る。

風が強いためテントが畳みにくく、無理やり濡れたままのテントをしまい込む。

朝食は食べずに水だけ飲んで、5時ごろキャンプ場から出発した。


早朝は車も完全に消える時があり、

大きな声で歌ったりして孤独を愉しんだ。


たまに通る車はかなりスピード出してる車が多く、そばを通る時もギリギリの距離で通過してくる車がいて、歩くのを止めて通過するのを待ったりすることがあった。


風が圧縮されるのか、トンネル内が豪風のところがあった。

立って進むのが困難で低い姿勢で少しづつ進んだ。

しかもトラックが通るため、間違って車道に出ないように止まったり進んだりを繰り返しながら通った。


オロロンラインは道が穏やかだと思っていたが、天候との戦いになるかもしれないとこの時に感じた。

9時くらいになると交通量が増してきて、車の走行音が絶えずうるさくなってくる。

風で寝不足なのと、風に振り回されるのを耐え続けていたのとで、精神的に余裕がなくなり。

トンネルで爆音の走行音の車に「うるせー」と叫んでしまった。

しかし、走行音のほうがうるさく、自分の声が聞こえず本当に叫んだのか?と疑ってしまった。

久しぶりに叫んだ為、喉の痛みが残っていて。

その痛みが叫んだ事を実感させてくれた。


短いトンネルが続いた後、長いトンネルが続く。

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これからオロロンラインは傾斜が減りトンネルもないだろう。

最後のトンネルになるかもしれないと思い写真を撮る。


19日目、これまでいろんなトンネルをくぐってきた事を思い出す。

最初は知らない為怖く、避けて迂回することもあったが、結構好きになっていた。


トンネルの良いところは、

・日差しよけ

・涼しさ

・山道からの解放

・アスファルトが劣化していなく質が良いところが多い

・蛇行がなく目的地まで直進できる。

・出口まであと何メートルか分かりやすい

・異世界感がある

・歩き旅にメリハリが出る

・直進だから思考に集中でき、考えにふけれる。

・車がいないときは至高の孤独が味わえる。


悪い所は、

・ホコリっぽい。

・虫の死骸

・蜘蛛の巣が顔やカバンに絡みつく

・謎の白いうんこ

・不衛生そうな水たまり

・ゴミやとがった破片

・歩道の狭さ

・トンネルの凹凸、マンホールやパイプが歩道をふさぐ

・壁から突き出たネジ

・ライトを付けたり消したりがめんどくさい

・電波が入らない

この辺は些細なものだが、圧倒的に車関係がきつかった。

・車の走行音が拡張されて響く

・大型車の通貨による突風

・車のライトが強烈に目にささる



いくつもトンネルを通ってきて思ったのは、

天井の照明が古いトンネルでも消火栓はすべてLED。

道内でトンネル内の落書きはゼロ。ひび割れに工事関係者のメモ書きが至る所に書いてあった。

停車できる空間が設けられている所が多く、だいたい駄菓子系のゴミが落ちている。

出入口の天井には小鳥が巣を作っていたりした。

停車用と別で漆黒の空間が道脇にある所は、なぜだか怖くて直視できなかった。


トンネルを抜ける時の光はいつも、眩しい。

トンネルとトンネルの間に道路関係者が刈った草を掃き掃除していた。

「どこからきたの?」と尋ねられ応えると、

爽やかに「頑張って」と応援してくれた。


トンネルを抜けると山道が続く。

山道もこの旅で最後になるかもしれないと思っていた。

山道は良いところが思いつかない。

この旅の強敵だった。


iphoneの地図だと高低差が分からず、上った後にこんなに辛いとは、と感じる事が多かった。

道が狭く余裕もなくなるためスマホを開けず、山に入る前に休憩しておけば良かったと思う事も多々あった。

もっとも辛いのが車、そして大型車。前後確認しながら渡り、余裕ができない。

道が狭いところが多く、白線の外はアスファルトが劣化して質が悪い場合が多い。

また浸食した雑草で道が塞がれる。

そして、坂。残酷なほど同じような景色が続く坂を上り続ける。道が狭いので疲れても休むことが出来ないし、水も飲みにくい。

気温も風がないため汗が渇かずに流れ続ける。

汗をぬぐい続ける。

排ガスでタンがからむが、水分不足でつばが飛ばない。

急ぐ事も出来ないし、とにかく無心で歩くしかない。

カーブも内と外で距離が違うし、車のドライバーから見えるようにして渡る必要がある。

虫がずっと追ってきたり、蜘蛛の巣が顔に絡んだり。

そして自販機やコンビニもない。


この日は朝から何も食べていないく、キャンプ場で汲んだ水もなくなった為、きつかった。

山で景色を見ていると、視力が落ちている事に気が付いた。

トンネル続きだった為か、夜テント内でスマホを見ているせいなのか?

明らかにこの2,3日で視力が落ちている事に気が付いた。


キャリーバッグのタイヤもカタカタという音が鳴りやまなくなった。

かなり滑らかなアスファルトの上でも音が鳴り続ける。

タイヤもいつか壊れるかもしれないが、宗谷までもってくれ、と願う。

山道を下山しセブンイレブンが見えて、ようやく食事をとる。

この先にすぐにおいしそうな食事処がいくつもあって後悔することになる。

増毛町から離れるところでソーラー発電を積んだ軽トラックが止まり、ドライバーのおじさんが話しかけてきた。

歩き旅をしている事をはなすと、おじさんもソーラーカーで全国を回った話を聞かせてくれた。

トンネルの話をすると、

「トンネルの中に豚が寝ていたんだ」

と言われ「え?」と良くわからずにいると、

「だから、トンネルの中に豚が寝ているんだよ」

また「?」となる。

三回繰り返して分からずに聞いていると。

「豚(トン)寝る(ネル)だよ」

と言葉を立てて解説してくれた。


まさか、こんな北まで来てギャグをブチかまされるとは思わなかった。


他にも色々話を聞かせてもう。

どうやらバイカーの為の小屋を貸しているらしい。

雨が降るから泊まっていくか?と聞かれたがまだ正午ぐらいだったので、先を目指しますと伝えて去った。

オロロンラインの稚内近くは補給が無くなると教えてくれた。


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正午からは雲が濃くなってきて、風も強かった。

留萌に向かう海岸沿いで波をみていると、異様で。

岸にぶつかると水しぶきが道路まであふれていた。

いままで海岸沿いを歩いていて初めての波の感じだった。


後で知るが、この日は留萌に暴風波浪警報がでていた。

トンネル続きでラジオを聞きそびれて知らなかった。


みるみる雲行きが悪くなる。

留萌にもうすぐ着くというところで、

ザーーーッと急激に雨が降りはじめる。

急ぎたかったが風も強い為前になかなか進まない。

雨具にも着替えるが10分くらいでずぶぬれになり、

凍えるほど寒く冷えてしまった。


留萌でビジネスホテルを取る。

荷物をほどくと、キャンプ場のかトンネルのか山道のかわからないが、

蛾、毛虫、クモがカバンにくっついていた。

窓から放ってやる。


食事処を探すがいい店が見つけられず、疲れていて探すのも面倒になり牛丼チェーンに入る。

疲れていたせいか牛丼が美味しく感じられず、無理やり詰め込むように食べる。

風呂に入り、洗濯、乾燥。洗濯物が乾ききらない。

濡れたバッグを整理し、お風呂でタイヤを洗ってチェックする。

車輪のつけ根がだいぶガタガタになってきていた。

油をさしたいが持ち合わせていなかった。


テレビを見ると。留萌で土砂災害や津波警報。稚内には避難勧告まで出ていた。


19日目終了 歩いた距離 39km

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