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日本縦断歩き旅《富山➡能登半島➡京都編》18日目『久々子湖はどう読む?』美浜⇒小浜

天気は快晴。
もう台風は完全に消えた。
風も感じない、暑くなるかもしれない。

体調もホテルに泊まって。
ストレッチをしたおかげか身体が軽い。
左足の小指がバンドエイドをしたのに痛い。

敦賀から昨日の美浜駅に向かう。
電車は混んでいた。
何とか乗ることができたが、
乗り逃したら3時間は電車は来ない。

車窓から昨日歩いた道を見る。

8:10に美浜駅に着く。

空が青い。快晴だ。

ファミマで朝食。

スペースシャトル!?

お墓のようだが、山のように集められている。

浜に着く。
海もだいぶ穏やかだ。

任天堂!?

湖に着いた。
久々子湖が読めず、”ひさびさここ”と読んでいた。

久々子湖は”くぐしこ”と読むらしい。

すごく穏やかな水面。
ずっと海沿いを歩いていたが、
穏やかな湖を歩くのはまた違った気持ちにさせられる。

歩行者は通れそうにないので、この道はやめておく。

浦見川から水月湖へ向かう。

貸出ボートをやっているのか、イケイケなカップルなどがよく通っていた。
確かに浦見川の峡谷はボートが側から見るとアドベンチャー感ありそうだった。

徒歩で渡る場合かなり斜面を登った。

この時、オーディブルで川端康成「伊豆の踊子」を聴いていて、
山を登る場面がシンクロした。

伊豆の踊子は短い話だったが、
描写が細かく丁寧で、
息遣いや鼓動、体温さえも感じる。
古い作品なのに今、生きているかのような描写に吸い込まれた。

赤い橋を渡る。

ここをボートが通る。
ボートから見たら、
深く暗い峡谷から一気に明るく開けた湖にでるので、
気持ちいいだろう。

下る。
伊豆の踊子は、あまずっぱさの余韻が残る。

湖への道はなんともいえない心地よさがあった。

穏やかな湖をそって歩く。
虫の音が少なく静かだった。

水門?
ここで湖の水位を調整しているのだろうか?

帰った後もずっと残った景色。
車も人もほとんどいない、静かで穏やかな瞬間だった。

日本画家が描いていたような景色。
冬の朝に訪れれば東山魁夷のような景色が見れるのだろうか。
本当に穏やかな空間だった。

綿毛


コンビニで買っておいた、おにぎりを食べて休憩。

ドライブインにたくさんのバイク。

人気店なのだろうか店の外まで並んでいる。
ここで昼食をとろうと思っていたが諦めて先を急ぐ。

沢山のバイクが停車している。
バイカーの聖地かなにかなのだろうか?

このあたりから交通量も多くなり、
歩いていてストレスがたまる。
バイク軍団が通るたびに、
うるさい、うるさい、うるさい。とぼやく。

うるさくて、イヤホンをしてオーディブルの「風立ちぬ」を聴くが、
バイクの音で遮られて聞き取れない。

水鳥がたくさん。
真っ白な翼で飛び立つのが印象的だった。

思ったより今日の道が長く。
到着予定時間が遅くなりそうだ。
日没まで歩くことが確定していた。

あと一日で京都。
明日はバスの時間があるから、
今日のようにタイムロスは許されない。

キレイな空。

トンネル。

23度らしい。

トンネルを抜けて坂道を下ると海がみえ、ポツンと小島が見えた。
鳥辺島らしい。

あんな所に釣り人。船が見えないがどうやってあそこへ・・・。

再び長いトンネル。
「風立ちぬ」を聴いていて。
その世界に入っていた。


釣姫
つりひめ?

つるべ
と読むらしい。

福井の道中、何度かみかけた少年像がここにも。
しかもカラーリングされている。

棚田

ここも長いトンネル。

風立ちぬを聴いていて、
風立ちぬの2人の会話と文書の合間から、
相手への気遣いがヒリヒリとする。
お互い平静を保とうとしている。

自分も病院へ恋人のお見舞いに行った時の事を思い出す。

この山と山に囲まれた湾の海沿いを歩く。

ここは車がいなくて静かでゆっくりと情景が入ってきた。

ここで妙な感覚に襲われる

夕暮れ、
歩いているこちら側は山の陰で暗く、
海を挟んだ向かい側の山は夕日で明るい。
こちら側は暗いから、眩しくないので目がはっきりと開いている。
その目で明かく照らされた景色をクリアに見れる。

なにか、幻想を見ているような感覚になる。

この感覚が、なにかに似ているが、中々思い出せない。


そうだ、
映画館だ。

こちら側は暗い席から、
明るい巨大スクリーンを見ている。

その感覚に似ていた。

山影にいる間、海の向こう側が”映像”に感じた。

この日、最後のトンネル。

子猫!

キレイだ!


日が沈むと同時ぐらいに「風立ちぬ」を聴き終わる。
文章と違い、朗読だと一定のスピードで読み上げていくので、
ヒロインが亡くなったシーンが初め解らず、
あれ?いつの間に亡くなってないか?
と、疑問に思いながら最後の方を聴いていた。

最後まで聴いたところで巻き戻して、また聴いていた。

山の後ろの太陽も暮れた。

風立ちぬのヒロインが亡くなったシーンを見つけ、
再び聴いていた。

亡くなった事は一切直接的に描かず。
手の抵抗が無かった事、
そのあとヒロインの足もとのシーツにうつ伏せ、
いつの間に日が暮れるほど泣いた事で描写していた。

最後のセリフも実に呆気なく、
実体験だからこその言葉に思った。

小浜城跡 手前の歩行者専用の橋があって渡る。
ランニングしているお姉さんが「頑張ってくださーい」と応援をくれた。
暗い中、橋のライトが途切れ途切れにあたり、笑顔が眩しかった。

グーグルマップで調べた飲食店に入ろうとするも営業してなかったので、
モスバーガーに入る。
歩き疲れているのもあって、あまり食が進まなかった。
ドリンクがとてもうまかった記憶がある。

すっかり暗くなった小浜で、野宿できるところがないか探す。
人がわりと多くて、
視界に入らなそうな、わずかなスペースを見つけテント張る。

この日はだいぶ歩いて疲れたので、
着替えずにすぐに横になって寝てしまう。

しかし、深夜に寒くなって寝袋を出し、
服の締め付けが気になり結局、着替える。

枕が無いので首が落ち着かない。

夜中、ゲェー!ゲェー!と鳴き声が聞こえる。
鳥かなんかだろうと思ったが翌朝、正体がわかる。


この日歩いた距離 40km

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