私が選んだあなた

このところ失敗続きのせいもあり、よく思い出すこと
あの時のあの一言がなければきっと、今の自分はいないだろうと思うこと

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以前初めて接客の仕事をした職場でのこと。

テンパり癖があるため、何かひとつやらかすとパニックになって次々とやらかしてしまう。
まず落ち着いて! ってそりゃ見てる方は言うんだけど
落ち着こうと思って落ち着けるくらいならそんなのとっくにやってんだよ。

レジでエラー出して、ピーーーーッッッてデカい音してるだけで焦るのに
当然長くなってくお客様の列
目の端に貧乏ゆすりや舌打ちする姿

ああどうしようみんな待ってる急いでるんだろうにマジわかんないコレどうすればいいの⁇⁇

決してナメてかかってた訳じゃないけど楽しそうな仕事だなって即応募して
面接受けてみたら ああやっぱり楽しそう絶対ここで働きたいなって
すごく楽しみにしてきたのに

働き始めたら失敗ばかり


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気持ちの切り替えは割と上手い方だと思ってるし
気付いてなかったことはちゃんとメモって注意されたら気をつけてるのにミスが減らない
それってつまり

能力がないってこと⁇

いちどそう思っちゃったら

お客様に尋ねられても知ってるのに応えられない
さくさく出来てた電話注文何度も何度も確認しないと架けられない
褒められてた いらっしゃいませ の声も小さくなる 

出来てたことが出来なくなる 。
終いには

何でそんなに自信がないの⁉︎もっとちゃんとして⁉︎

そんな怒られ方

そんな怒られ方してんだもん自信なんか持てないよ。


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そんな様子に手を焼いてか
話は現場から、採用時に面接をしたエリアマネージャーに上げられた。

仕事はどう?慣れましたか?
の問いに

ミスばっかりで迷惑ばかりかけてごめんなさいすみません気をつけます
と、萎縮を超え卑下と言ってもいいほどに
小さく小さくなっていた。


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今思えば
そんなのほんとに些細なミスでしかなくて、確かに誰だってやってることなのだけれど。

ちょうど友人関係が上手くいっていなかったこともあり、その頃私は他人に迷惑を掛けることに過敏になっていた。
迷惑をかけることが恐ろしかったし、
迷惑をかけていることに気付いていないかも知れない自分が、恐ろしかった。

他人と関わるのが怖くなって
環境を無理矢理変えるために始めた、はじめての接客仕事でもあった。

頑張ろうきっと出来る大丈夫楽しそうって始めたのに、どんどんよくない方へと巡っているのにも気づいていなかった。


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マネージャーからは

大丈夫 とも
気にしないでいい とも
誰にだってあるから とも
そんな言葉を聞いた記憶はない。

覚えているのは


『あなたは私が良いと思って選んだんだから
   もっと自信もっていい。』


叱責でも説得でもなく、さらりと当たり前のように

理由は語られなかった。
けれど
世間話の一端のようなその言葉が
拗れた人間関係も凝り固まったコンプレックスも昔からのテンパり癖も溶かしてくれた。

ここで働きたいと思った
この人の役に立てるようになりたいと

そう思って辞めずに頑張れた。
辞めなきゃ慣れる
慣れたら覚える
覚えたら楽しい

良い職場だった。

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人を取り纏める立場の人の
ひとの心を引き寄せる話術だったのかもしれないけれど


あなたは
わたしが
えらんだ


今でも繰り返し思い出す言葉。
理由など要らない心強さ。
あの時あの一言がなければきっと、今の自分はいないだろうと思う言葉。 

そう言葉にして伝えること。
私はそんな希望を与えられたことがあるだろうか

私が選んあなたに。

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