【短編ホラー】忘れ物①
ある日の夜、明子は古びた廃校の前に立っていた。
同級生の裕太と美穂と待ち合わせをしていたのだ。
実は彼女たちが通っていた小学校は、彼女たちが卒業してすぐ廃校になってしまった。
小学校の思い出は楽しいものしかなかったが、廃校の雰囲気は何か不穏なものを漂わせていた。
明子「ねえ、みんな久しぶり!かなり久しぶりだよね?」
裕太「そ、そうだな!久しぶり!」
裕太「それにしても、こんなところで待ち合わせなんてなんか変な感じだな。」
裕太は笑いながら言った。
美穂は不安そうに周囲を見回した。
美穂「でも、たしかに廃校って……ちょっと怖い気がするわ。」
みんな相変わらずのようだ。
明子「少し覗いてみない?」
久しぶりの同級生との再会に、完全に浮かれていた。
裕太「いいね!懐かしいなあ~!」
裕太らしい。
美穂「…」
美穂は無言だった。
美穂らしい。
結局、三人は廃校内へと足を踏み入れた。
廃墟となった教室は薄暗く、窓から差し込む月明かりが不気味な光景を照らしていた。
明子「ここにはいろんな思い出があるよね。」
裕太「うん、楽しかったなぁ。」
裕太が懐かしそうに笑った。
美穂は窓辺に立ち、外の闇を見つめた。
美穂「でも、私たち…ここに何かを忘れてきたような気がする…」
突然、廊下から奇妙な音が聞こえてきた。
驚いて振り返ると、見知らぬ影が歩いているのが見えた。
裕太「誰だ!?」
美穂「ここには私たち以外には誰もいないはず…だよね…」
美穂の声も小さくなっていた。
影が近づいて来る。
しかし、動けない。
その姿が次第にはっきりと見えるようになった。
それはかつての同級生、彼らが忘れていた存在だった。
美穂「なぜ、ここにいるの?」
美穂が驚きを隠せていない様子で言った。
裕太「なんで…」
裕太が震えた声で言った。
忘れられていた同級生は不気味な笑みを浮かべながら近づいてきた。
???「忘れたの?私を、そしてあの日のことを。」
二人は恐怖に凍りついた。
その同級生は恐ろしいことを告げた。
???「この廃校には、私たちの忘れ去られた記憶が封じられている。」
???「この呪いから解放されるためには、あの日の真実から逃げてはならない。」
つづく
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