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【短編ホラー】忘れ物④

~美穂の記憶~

私と裕太は幼馴染だ。


家が隣で両親の仲が良く、家族ぐるみの付き合いがあった。


だから、物心がついた時から裕太は隣にいた。


ムカつくことに、昔から裕太はモテた。


あいつのどこがいいの?


まあ、明るい性格なのは良いところだけど、かなりのお調子者だ。


更にムカつくことに、裕太に近付きたい女子はいつも、まず私に近づいてくる。


別に、私に害があるわけでもないから、特に拒んだりはしないけど…


小学4年生の時、初めて同じクラスになった香織と明子もそんな感じだった気がする。


ただ、他の女子たちと違い、二人とは気が合った。


その頃から裕太も含め四人で遊ぶことも増えた。


特に香織と明子は仲が良いように見えた。


これは私の想像だけど、二人はお互いが裕太を好きなことはなんとなく気づいていたと思う。


いわゆる、「友情vs恋愛」のパターンだね。


でも二人は友情を取っていたみたい。


小学5年生の夏までは。


あの日、四人でプールに行った日、香織の様子がなんか変だった。


裕太の様子も変だったかな?


いつも通りかもしれないけど…


女子更衣室の中で、香織と明子がコソコソ話しているのが聞こえてきた。


聞こえないフリをしてたけど、どうやら香織が明子に後で話したいことがあるらしい。


二人は親友だから特に気に留めなかった。


プールの帰り道、二人は忘れ物を取りに行った。


ああ、さっき言ってたやつね。


その日は裕太と帰って、午後は一人で特に何もせずダラダラ過ごしたと思う。


さすがに初日から宿題をやる気にはならないよね。


そういえば裕太、帰り道も変な感じだったな。


何を言っても上の空って感じだった。


どうせ、夏休みが始まって浮かれてんだろうな…


次の日、お母さんから香織が亡くなったことを聞いた。


突然のことで、全く実感が湧かなかった。


その日の午後、警察が話を聞きに来た。


一通り質問されたが、執拗に明子の様子について聞かれたのを覚えている。


その後、裕太と明子に会ったのはいつだったっけな…


思い出そうとすると、頭が痛くなるんだ…


つづく

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