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7/9 SPIC2019「SaaS×経営課題」④要旨と、SaaSベンダーの展望(忙しい方向け)

セッション1、最新テクノロジーと経営の今


・働き方改革の本質は時間短縮ではなく、“創出時間を何に使うか”にある。
・リモートワーク、社内チャットツール等、まずは導入前に現状の可視化(稼働率、混雑率など計測)→目的を明確に→小さく実験・検証の試行錯誤をこなす→ボトムアップで実装を進めていく(かつ導入前には、移行業務の選定と、ツールのマニュアルを明確に)
・リクルートの360°評価は、3つくらいの1-10段階のサーベイを週次で行うことで、社員の評価疲れを解消し、結果的に社内の組織スコアeNPSが12ポイント向上し、離職率も改善。
リモートワーク導入は実はエンジニア・データサイエンティストには向かなく(導入コストがかさむ上に、インタラクティブな修正が必要であるため)、営業において効果が上がった(営業の仕事はそもそもリモート主体)。
・多様な人材の登用として、オンラインワークはチームを組みまた障害者の方を登用している、シニアのベテラン×若手のスペシャリストはうまくいっている。とはいえシニアの登用には活躍のできる方とそうでない方の特徴があるとされていた。
・オフィス見直し=フリーアドレススペース稼働率/会議スペース稼働率/エレベーター混雑解消/トイレ混雑解消と、独創的な改善施策を打っていた。
参考:https://t.co/iMaSX7qd6q


s2、コミュニケーション促進による経営課題へのインパクト


・社内コミュニケーションツール導入のメリット
①各社員の業務プロセスの明確化と交流→社員のコミュニケーション・モチベーションポイント創出
②他事業部での成功事例のを自事業部で取り入れるきっかけ、社内横展開のきっかけ作りになる
③情報共有と共に、全社としてのブランディング認識の統一化


s3、エンゲージメント向上で実現する未来の組織マネジメント


・ツール導入→社内でクローズドだった称賛・感謝文化の見える化(社内で見えない貢献の見える化)
・ソフトな組織課題に対するアプローチを実行する際の定量的根拠となり、合意形成の材料となる。
・採用環境の変化:終身雇用前提で入社した上の世代と、やりがい重視入社の若い世代の価値観の二分化→個別マネジメント化が求められる。

・人口減社会で人手不足が叫ばれる現状において、離職を防ぐ手立てを考えるのがメイン戦略となる。そして離職を防ぐには、入社時からエンゲージメントが高い状態を創出する必要がある。このことを背景に現在の採用トレンドは、カルチャーフィット最重視・リファラル採用強化である。
・上記の流れから、自社ブランドイメージ作りが大事になり求人広告も広告媒体に頼るのではなく、オウンドメディアを通した採用(自社ブランドイメージをコントロールできるように)に切り替えつつある。

s4、マーケティングが営業を変える〜マーケティングツールの導入/活用で進める組織改革〜


・マーケター業務は、実行と実証に5割の時間を要する
・MAでノウハウゼロかつ新たに営業人員を割かずに、リード獲得ができる→リード獲得を経て、プロダクト自体もユーザーからのニーズを汲み取りブラッシュアップになった→CS向上というコア業務にリソース割けるようになった。
・ユーザーとしては、サポート体制はもちろんツール機能よりも、ノウハウがあるかどうかを最重要視していた。
顧客=行動×属性×ニーズ(コミュニケーション)の解像度で分解した上で、各指標でのアプローチを可変にし、また達成度を見える形にするのが求められる。
コンウェイの法則:事業が知識・資本集約になるのではなく、人が知識・資本集約的になると、事業もそうなる。
(参考:コンウェイの法則https://www.s-arcana.co.jp/tech/2011/09/post-51.html)


s5、インサイドセールスによる新時代のセールスモデル


・インサイドセールス導入は、マーケとフィールドセールス等の他部署との連結されたKPI設計が肝になる。→セールスフォースでは「The Model」という社内KPI設計ごと導入を推奨している/マーケ・インサイド・フィールドを一つの事業部内で統括し事業部としてのミッションを明確にする/営業とマーケのトップを統一する
・ツール導入の理由は、グローバルツールであるか、グローバルファースト
・とはいえツールはKPI達成のための手段でしかない(まず入れてみるはよくない)→その上でトップ・推進者がどれだけそのツールを愛せるか
・アライドアーキテクツ社の事例参考https://note.mu/fujitakeisuke/n/n6bfa647e372b


最後に、

今回のイベントを通して私が考えたことをまとめたいと思います。


SaaSベンダー企業への個人的な見解

2つの考えを持ちました。

1つは、ツールのみで顧客への価値提供を終わらせてはいけない、こと。

MAを導入することでリードが得られるのはツールとして大前提であり、顧客にとっての本質はむしろ、MA導入によって営業との連結はどのように変化しデザインし直すべきなのか、もしくは社内のKPI設計はどうあるべきかです。組織として導入するには何が阻害要因にあるのか、SaaS側の設計思想にどれだけ社内システムを寄せる必要があるのか、実際にどのように乗り切った事例・施策があるのか、すべてを終えて結果的にどのくらいで成果を見込め、導入前後で社内のソフト面ハード面にどのようなインパクトを与えうるのか、ということです。ユーザーとしては、ツール導入にあたり初期費用や使用料といった金銭には現れてこない、のれんのような変革コストというのが絶対的にあります。SaaSベンダー側としては、いかにこの目に見えない顧客のコストに寄り添えるか、が問われているように感じました。一方で、ではMAベンダーとしてどのように顧客の社内変革、KPI設計に関われるか考えた時に、パーセプションフロー・モデルが私の頭をよぎりました。リードを分解し各ステータスにおいてのマーケティングフローを、リード獲得からリファラルの創出まで明確にし、個別にKPIを設計することで、点であったマーケ・インサイド・フィールド・CSに一つの線を通すことができます。このようなソフト面での、顧客の導入負担を減らすモデルをMAツールとは別に構築しておくことが、今後SaaS業界でシェアを得る大きな鍵となるのではないかと考えました。

2つめは、上記に関わってきますが、ユーザー・ベンダー/ベンダー・他業界ベンダー間のコミュニティ作りの必要性です。

今回のイベントでもあったように(ジョブカンとRPAツールを併用してワークフローを構築している事例)、ユーザーがツール同士をどのように組み合わせてワークフローの間隙をいかに埋めているのか、その独自のノウハウを知ることこそが、そもそもベンダーのプロダクトブラッシュアップのためのフィードバック情報になります。Appleやキーエンスが直営店販売にこだわるように、このユーザーとの接点(他業界ベンダーも含め)は絶対に捨てられない、むしろ独自の情報収拾体制を築くべきだと思いました。もしくは、独自の情報収拾体制をつくるよりもサードパーティが入り込めるカスタマイズ性を担保し、オープンイノベーション志向のエコシステムを構築すべきである、ということです。また、そのようなコミュニティを作り得た上で、マーケティングに関しては属人的になりやすい領域であるので、優れた人材を発見し複数社でシェアし合えるような体制も、これからの働き方をデザインする第一歩になるように思いました。

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