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なぜ港区の親はみな中学受験させたがるのか?

都心の中学受験熱がものすごいことになっている。
実際にデータを取った訳では無いが、港区に暮らしていた方の話を聞く限りでは、クラスの半数以上が中学受験をするのだという。

本気か?
なんで中学受験をするのか意味がわかっていなさそうだ。
親のプライドが本当に入っていないといいきれる家庭が何軒あるだろうか。

そもそも私は中学受験を、頭が良すぎる子の受け入れ先確保や、地元の生育環境が悪い子どもの逃げ道であると捉えている。

この世の中には、頭が良すぎるがあまり周囲に馴染めず、いじめられてしまう子どもがいる。
学校の勉強が簡単すぎて退屈であり、友達のおしゃべりのレベルも低くて話が合わず、孤立してしまう。

そういった子達は、無理に周りに合わせるよりも、同じく頭が良い子たちと付き合える環境にいったほうが、ストレスなく生きられるだろう。

拙著『東大合格はいくらで買えるか?』にてインタビューしたW.Tさんなどは、まさにそうだ。
頭が良すぎて浮いてしまい、塾に活路を見出した。

もしくは、地元の環境(たとえば治安など)が極端にひどくて、そこから這い出るために受験をするケースもある。
例えば、私自身は足立区で生まれ育っているが、学区の中学校があまりにも荒れており、危機感を抱いて逃げるように中学受験した。

こういったケースに共通するのは、中学受験に対する必要性である。
どちらも、やむにやまれず受験している。

では、これらのケースに当てはまらない中学受験は、なぜ行われるのか?
それは、「より良い生育環境」を求めるがゆえの行動に過ぎない。

本来、勉強とはぜいたくである。
やりたくないなら、やらないでよい。
学歴社会の日本では、勉強しなかったものにはそれなりの末路が待っているが、やらない選択を続けると、やがてはそこにたどり着く。

ぜいたくである勉強をさせない家庭も存在する。
そういった意味で、勉強ができる家庭に生まれ育っただけで、それは親ガチャ当たりだろう。

港区の親の多くは、我が子を中学受験戦争に参加させたがる。
それはなぜか?
「勉強がぜいたくである」ことに答えがあるような気がしてならない。

すなわち、彼らは、「ぜいたくができる家庭である」プライドの維持のために、教育投資を選択するのではないだろうか?
中学受験の結果は、あくまでおまけに過ぎない。

「子どもをSAPIXにいれる」ことそれ自体が、「教育にお金をかけられる家庭である」証左となる。
だからこそ、我が子が普通の学力しか持っていないとしても、中学受験をさせたがる。

横並びから飛び出るためには、それなりのリスクを負う必要があるが、リスクを抑えつつ、周りに差をつけるための行動が、「子どもの中学受験」なのではないだろうか。

結局、周りの人間から抜きん出ようとして、周りと同じ行動しか取れていないところに正体が現れているように思える。

そして、彼らは愚かだ。
中学受験こそ、最もリスクのある行動にほかならない。

中学受験は成功しか許されないからだ。
志望校に入れればよいが、落ちたときのリスクは計り知れない。

高校と大学の受験は、母数が多いので、失敗するものの数も多い。
「高校(大学)受験に失敗して……」なんて話もよく聞くものだ。

だが、中学受験はどうだろうか?
高校や大学受験と異なり、母数が少ない。
「ふつう」の家庭は、学区の公立中学校への進学を選択するからだ。

「中学受験をする」ことは、ステータスにもなるが、枷にもなる。
失敗したら、学区の公立中学校に通えるだろうか?
彼らの肥大化したプライドでは、それが難しい選択であることは想像に難くない。

中学受験には「栄転」しか許されていないのだ。
勝って当たり前、そんな戦いに身を投じることが、どれだけリスクある行動か。

私に港区受験事情を教えてくれた方は、子どもの生育環境を考えて、下町へ引っ越したそうだ。
周囲からは「都落ち」と蔑まれたが、代わりに都心にしては豊かな自然と落ち着いた町並みを手に入れた。

もちろん「中学受験の呪縛」からも解放された。
受験はオプションである。
当たり前だが、そんな「当たり前」が通じない世界が、東京にはある。

中学受験をさせる親たちは、本当に子どもの将来を見据えているのだろうか。
それとも、「格好のつく投資先」なのだろうか。

もちろん、前者であると答える親がほとんどだろう。
だが、私にはどうもそうは見えないのだ。

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