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200kmブルベに初めて出た話

200kmブルベに初めて参加しました。そのレポートを書いていきます。

ブルベは、自転車で規定のコースに従って走り、かつ定められた地点を時間どおり通過し、長距離の認定を目指すイベント。200kmが最短のため、200kmへのエントリーです。

(個人情報のアレで一応参加したブルベの名前は本文では出さないようにしてます)

ロードバイクにハマりたての頃、情報収集のためにロングライド系ベテランロードバイク乗りの方をたくさんフォローさせていただいたのですが、その多くの方がブルベを楽しまれており、いつか自分もと思っていました。

ギリギリ走り切れそうな体力になってきたし、各種装備も揃ってきたこのタイミングでついにエントリーに至りました。

準備編

今まで走った最長距離は150kmほど、予報は雨ということで、真剣に対策を行う必要があると考えました。

準備に際しては、ばるさん著のこちらの記事に沿って行いました。

イベントを終えた今、コレに従っておけば99%大丈夫だと感じました(後述しますが、コレに従いきれてなかったことが原因でトラブルが起きました)。

イベント一週間前にショップでの点検に持ち込み、各種ボルトの締め直しや、チェーン交換をやっていただきました。調子が格段に良くなりました。

丁寧に対応してくださいました。

このバイクを買ったお店で予約しようとしたらもういっぱいとのことで、購入店舗でないお店にお世話になりました。


また、タイヤに小さな穴や表面の剥がれが散見されたので、タイヤを交換。

新タイヤは表面のワックスがベトベトのAGILEST DURO。直前に50kmほど走って表面を剥がしておきました。

地面に接する部分だけワックスが取れてます


雨対策のため、直前に下記用品を購入しました。どれが欠けていても完走が難しかったのでは?と思うくらい役に立ちました。

・モンベル バーサライトレインパンツ

・防寒テムレス手袋

・ビニール製シューズカバー
こちらの記事に記載のシューズとシューズカバーの間にビニールを仕込む方法を試しました。(これまたばるさんの記事)。

参加した所感

総合力が試される

完走を目指すにあたってはパワーや登坂力、スタミナといったフィジカルはほんの一要因にすぎず、トラブル対処能力やメンタルコントロール能力とかと同列に感じました。

今までやってきたことは全て役に立つ

ロードバイクにハマってからいろんなパーツアップグレードや自転車ギアの購入、知識の蓄積を行いましたが、コレが全て役に立ちました。

買い集めたお気に入りのギア達が弱る身体をみんなで支えてくれて走ったような感覚に胸が熱くなりました。第一章の最終話みたいな感じです。

ライト
クロスバイクとロードバイクで前後3灯ずつ持っているので、全て持っていきました。

・Bontrager Ion Comp R
点灯のランタイムは短いが、点滅のパターンが好き
・RN1200
光量はダラ落ちだが長時間点灯できる。昼間付けっぱなし要員。
・RN800
スペック表より明るい。トンネルと夜間に使用。Bontrager flare RT
サイコンと接続してサイコンでモード切り替え可能なリアライト
・Seemee30 ×2
長時間点灯する小型リアライト。片方はシートステー、片方はヘルメットに設置

全てがいい仕事をしましたが、1灯で明るく長時間もつVolt800neoとかがあるとありがたいんだろうなぁという気持ちになりました。

Ridefarrのミニエアロバー

ミニサイズのエアロバー。STIレバーよりも前に出ないサイズなので今回のブルベで使用できました。
空気抵抗が低減できるためわずかに時速が上がるのはもちろんですが、それ以上に辛い時気分を変えられる点がメンタルに良い。

雨での自転車通勤の経験
7年以上自転車通勤をしており、かなりの大雨でもカッパを着て通勤していました。
おかげで雨が降るくらいでは精神面がノーダメージなのと、どのくらいの装備だと平気か、どこが浸水すると致命的かが感覚的に分かっていたため、事前準備の方針決めや雨天走行中の不安要素が本来より少なかったように思います。

また、通勤クロスバイクには純正フルフェンダーをつけており、ロードに移植することでフルフェンダーで参戦することができました。

外すのも付けるのも大変なタイプ

やってこなかったことはできない

普段のライドでは街中はもちろん、郊外のやや車通りの多いところすら避けています。

また、ルートを引いても楽しそうなところがあったら寄り道をして結局違うコースにしたり、ミスコースをしてサイコンがアラートを出しても、なんか戻るのはシャクなのでそのままの道を突き進んでうまいこと元のルートに合流しようとします。

ですので、規定のコースの各ポイントを規定の時間に通過するブルベのルールを知った時(厳しいだろうな〜)と思ったのですが、予想は的中することに・・・。

参加レポート

ここからは時系列に書いていきます。

今回のコースのルート、PCとかフォトチェックとかは、こちらの著作権フリーマップ(5分で作成)で雰囲気を味わってください。

緑の線と青い線は山と川だよ

PCは、通過した証明のためにレシートを貰わなければならないコンビニ。他にも通過したことを証明するために写真を撮ったりとかがあります。

出走まで

大急ぎで準備したのに、かなり早めに到着しました。走らず待つのは寒い。

蛍光色のある風景

雨予報のブルベなのに軽装備の方もたくさんいました。
皆自分のレベルと趣味趣向に合わせた装備で、個性的で見ているだけで楽しかったです。

初ブルベです!という方と何人か言葉を交わしましたが、ブルベに参加する時点でそれなりにアレ()なので、もう装備が完成されていてその人の色が出ており、全く初心者感がありません。すごいところに来てしまった。

アルミエントリーロードでブルベに出ることを若干誇らしく感じていたのですが、Claris8速完成車重量12kgらしいクロモリロードの方がいらしたので「あ、誇れるポイントがゼロになった」と思いました。すごくイケてるバイクでした。

とにかく、初めての雰囲気にワクワクします。

緊張の50km、いきなりの雨

いよいよスタート!

複数人で走る経験は、いつも仲良くしてる人を自転車の道に引き摺り込んで一緒に走るくらいしかなかったので、自分より遥かにレベルの高いベテランの方々がいる環境に変に緊張。

走り始めて30分くらいでもう雨が降ってきて早速レインウェアを着用。

この辺からコンビニ停車とかで参加者同士の間隔が空き、人見知りサイクリストとしては若干走りやすい感じになっていきました。

田舎町のメインストリートみたいなところをひたすら走るため、交通量はそんなに少なくないのに道が狭く、車が結構近くを通過します。

こういう道は危ないしつまんないし、せっかく走りやすい田舎まで来たのに勿体ないなぁとか思いながらも、反射ベストをはじめ反射材マシマシなためか普段よりは車が優しい気がしました。

順調な走り。忍び寄る不具合。

だんだんと山あいに入り、ひたすら川沿いを走ります。

フルカーボンフレームにカーボンディープリムホイールのお兄さんたちと同じペースで走れていて、エントリーロードでもまぁまぁやれてるぞなんて思いながら、川を遡上していく。

順調のままPC1に到着。補給は鞄にたくさん入っているので買うものはありませんが、レシートを取るため補給を追加。

他の参加者さんが菓子パンなんかを広げて食べてるのを見て手持ちの補給もっと少なくてよかったなぁ・・・と反省

200kmと聞いて気合入れて補給をたくさん準備し、何なら走行中に食べられるように普段使わないフレームバッグまで持ち出していましたが、このコースならPCで買って食べて捨てるスタイルで良かった。

PC1を超えると、ここからしばらくは車が通れない河川管理道路が入ってきます。最高です。

この辺は雨が止んでいました

ここでトラブル。駆動系からの異音が発生します。定期的にキュルキュルキュル…という高い音がするようになりました。

以前チェーンオイルが完全に切れた自転車がこんな音を鳴らしているのを聞いたことがあったので、オイル切れを疑いました。

ちょうどGoogle mapで近くに自転車屋を発見したので、コースを外れて自転車屋でチェーンルブを購入。運が良かった〜。

買ったやつ。ほぼ水みたいで粘度ゼロ

と思ったらオイルを足しても異音は鳴り止まず。別原因かなぁ〜これから山登った後100km以上雨の中走ることになりそうなのに怖いなぁ〜と、この旅で初めての大きめの不安要素。

また、この対応をしている間に同じくらいのペースの方々はだいぶ先に進んでしまったようで、全く参加者を見なくなりました。

安心感と得意分野、喪失

今回のコースは折り返しの前10km強くらいがヒルクライムになっています。
私は低身長体重軽々人間のため、ヒルクライムは平坦に比べるとやや得意だと思っているのですが、このヒルクライムでは全然足が動いてくれません。

今まで普通のペースで走っていたつもりでしたが、想像のつかない200km走る心配から多少飛ばしていたようで、ここまでの90kmで結構脚を使ってしまっていたことに気付かされます。

不安要素がジワジワと増えていきます。

ヒルクライムを終えると折り返し地点に到着。100km達成。温泉街に着きました。

50km地点くらいを一緒に走っていた方を見つけほっと一安心。人見知りサイクリストはここまでの道程ですっかり人恋しサイクリストになっていました。

しばし雑談し、ブルベが初めてであること、獲得標高こそ大したことない最後のクライムが意外と辛かったことなど、感想を共有。

お話しした方はブルベは初めてではあるものの未来のSR獲得を目指しており、来月の300kmも出ようと思っているとのこと。すごいなぁ。

また、ここで雨が本降りに。切り札のビニールシューズカバー を仕込み、テムレス手袋を装着し、出発。

行きは良い良い、帰りは…

ここで、保存したはずの復路のルートがサイコンから見つからず、しばしサイコンと格闘。一緒のペースで行こうと思っていた方とはさようならです。

Ride with GPSのルートを主催者さんが作成してくれているので、ガーミンConnectを使って呼び出そうとするもメニューが見つからず(理由は後で判明)。

再起動しようにもあんまりログ切りたくないなぁ。というか復路は次のPCまではほぼ山を降りて道なりに走るだけだし、一ヶ所曲がるところの青看板の内容も覚えてるから、ナビなくてもいけるかも…

とか疲れた頭で考えを巡らせ、ナビなしで行くことを決意。

大雨の中やや空気圧低めに設定したAGILEST DUROのグリップに助けられながら勢いよく雨のダウンヒルを降りていきます。

そうそう、前はテキトーに7〜8barくらいの空気圧で乗っていましたが、スラムのサイトによると私の体重ではこのくらいの低圧で良いそうです。

怖いので様子見で両方5barにした


雨の中100km走って帰りますみたいな異常者ツイートをしようと思って写真を撮った形跡があるので、まだ余裕があります。

この時点でもう既に…

しかしながら、ルートが読み込めてないためミスコースへの不安は拭えません。
何度か降車してスマホを確認しましたが、方向音痴かつ、手袋の付け外しや濡れ手で触るスマホのフリックの煩わしさ、停車する分グロスが落ちて後が辛くなるぞという焦りから、本当にコースが合っているか確証を得られないまま走り続けます。多分ほぼ最後尾、これ以上遅れるわけには・・・。

絶望タイムスリップ

そのまま走り続けると国道4号線が近づいてきました。

これは、ミスコース確定演出です。

コース通りならば、青看板を左折して15km近くひたすら走ってようやくPC2、4号線はその後に出てくるはず。

こんな早くに4号線が出てくるならこのコースはミスコース!!!ミスコース地点まで戻るには…今のダウンヒルもっかい登んの?何キロ降りたかももう分からん!アァーーー!!!!!やらかした!!

・・・

昔辛い仕事をしていた時に、やらかしに気づいた時はやらかしの対応が終わった2ヶ月後を想像し「あの頃は大変だったよなぁ笑」と回想してから元の時間に戻ってくることで正気に戻るタイムスリップ術を身につけていたことがここで活きます。
当時はどんなSF小説の主人公よりも高頻度のタイムトラベルをしていた自信があります。

一旦タイムスリップして落ち着きます。さてどうしたものか。

・DNFの連絡をしてここから最短で家に帰る
・ミスコース地点に戻ってPC2を目指す

選択肢は多分この2択。登るから戻りたくない。ただ帰るにももうちょっとブルベ気分を味わいたい。

後者なら、PC2に間に合えば万々歳、間に合わなくてもブルベ感は味わえて、時間に縛られずに帰ることができる。よし、戻ろう。

1分で決断しました。
この速さで決断できたのはあの辛い仕事のお陰ですが、私は感謝しません。仕事への怒りと憎しみは一生忘れず墓場まで持っていくと決めているから。


こうなるともうログが切れるとかどうでもよくなってくるので、ログを切ってサイコンを再起動。RWGPSのルートを読み込みます(Garmin Connectは計測中には開けないことにここで気づく)。

ミスコース取り返しライド開始。ひたすらゆる〜い登り(一番楽しくない)を続けながら、知ってる道を走って戻ります。先ほどのヒルクライムでもうシッティングのヒルクライム筋が全滅しているのでずっとダンシングで登ります。あと90kmくらいあんのに。

やっとの思いでミスコース地点に戻りました。
サイコンに \コース再開/ の文字が!その一言を待っていた!

運命の分かれ道

ミスコース地点を写真に収めました。

かの徳川家康公は、戦に敗戦し逃げ帰る道中で脱○した醜い姿を絵師に書かせ、二度とこのような思いをするまいと自身を戒めました(諸説あり)が、私もこの画像を見て毎回ルートデータを丁寧に格納しようと自分を戒めることにします。

雨対策が効いてくる

飲み物が無くなっていたのですぐそこのコンビニに立ち寄ります。またタイムロスです。

目的の青看板が無事見つかり左折。フルーツラインなる道路に入ります。この雨でフルーツもクソもないのよ全部の木が薄ぼやけて同じに見えるわと心の中でツッコミを入れたところで、ミスコースをしてからここまでの間、ほぼ雨を認識していなかったことに気付きます。

ミスコース回復に必死だったのはあるにせよ、ガチガチの雨対策のおかげで雨による冷えが最小限に抑えられており、フルフェンダーを装備していたため水溜まりを踏んでも問題なしで、雨によるストレスがほぼなかったのです。

この焦りに浸水イベントが加わったらあっという間に心が折れていたと思います。ちゃんと準備しておいて本当に良かった。

唯一顔面だけほぼ無防備で、コンタクトがぼやけて視界が悪くなることがありました。すぐ治ったから良かったものの、今度は顔も守ろうと思います。

突破口は「無心」だけ

さて、PC2を目指すにあたり、敢えてPC2のタイムリミットは調べていません。これ以上焦る要素が増えるとキャパオーバーだったからです。

精一杯クランクを回し、コンビニに着いて間に合ってたら万々歳、間に合わなかったらプレッシャーから解放。これで良いのです。

考えることを増やさない、何も考えない。状況変化で何か感情が生まれたら即押し殺す。ただ無理のない一定の強度で脚を回すだけ。

この辺りから一生独り言を言っていました。精神もおかしくなってきています。

事前に調べて見覚えのあるファミリーマートが見えてきました。PC2です。

サッと買うものを選び、温泉街をまったり楽しむカップルの後ろにビショビショの蛍光色男が並ぶ申し訳なさを感じながら、タイムリミットをチェック。

14:12

スマホで時間をチェック。

14:10

!?!????!!?!???

こうなると申し訳なさしかなかったまったりカップルに急に怒りが湧いてきます。

女「これくださ〜い」
店『ありがとうございます。○○が1点…』
男「えっ?オレ先行ってた方いい?」
女「どっちでもいいよ〜」
店『○○円になります、袋どうされますか?」
男「あっちょっと待って、アレ買わなくていいの??」

私「(いや男入ってくんなや)」

女「う〜〜〜〜〜〜〜〜ん買ってもいいけどぉ、まぁ、いっか〜〜〜〜〜〜〜〜。」
店『袋は』
女「あっ要ります」
店『・・・・』
女「・・・・」
店『お支払いは』
女「あっハイ、ちょっと待っ

私「(いや全部言われなきゃわからんか?!?)」

女「ハイ」
店『一万円お預

私「(テメどこで万札出してんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

無限に続くかのような会計が終わると、Suicaでスピーディーに会計を済ませます(ブルベ装備でコンビニでイラついてると印象悪いので、苛立ちは態度には出しませんでした)。

時間切れ1分前でした。

へたり込みそうになりながらも、先を急ぎます。

「PC2が間に合ったとはいえ最後尾は間違いない。あと5時間あるけど、遠すぎるし隣県のほぼ知らん道だし間に合うかどうか全く見当つかん」

何も分からない。つまり、また感情全殺しクランク回しマシーンになるしかありません。

情緒不安定人間 爆誕

ブルベの翌々日くらいにこれを書いているのですが、PC2からフォトチェックあたりまでビックリするくらい何も覚えていません。

それくらい感情の皆殺しに成功していたんだと思います。ほんとは滅多に行けない県外の田舎道を楽しく走った思い出を持ち帰りたかった。


しばらく殺風景でしたが、だんだん街中に入っていきます。

交差点で、私の通過を停車して待ってくれた車に「ありがとね〜」の合図を出したら、

水色の軽に乗ったおばあちゃんが「いえいえ〜」という感じで、とびきりの笑顔で合図を返してくれました。

・・・

号 ‌  ‌ 泣

自分でも驚いたのですが堰を切ったように涙が溢れてきました。

雨天対応全自動クランク回しロボットが、数十キロぶりに感情を取り戻したのです。蓋をしていた分の感情がブワァ〜〜っと全部溢れ出し、30秒ほど号泣。かなり気持ち悪い光景です。極限状態では何が起こるか分かったもんじゃないです。

そこからは気分もスッキリして、フォトチェックが終わって走り出すときは誰もいないことをいいことに「ッッシャオラ!!!!行くぞ!!!!!!」とか叫んでた気がします。どっちみちヤバい奴ですがさっきよりは健全です。

県境を超えて、ラストスパート

県境を越えて我がふるさとの県に入ります。県境の看板を見ても安心はできません。

県境周辺に最後のフォトチェックがあり、ここがこの旅程で最も人里離れた、山あいの小道。車が通過する国道は対岸にあり、こちらは滅多に車が通らない。今回のコースには含まれませんがこの先には未舗装区間もあるようです。

先ほどのミスコースを受け、ここまでの行程ではルートを読み込ませたサイコンのナビも完全には信用せず、ところどころ停まってGoogle Mapを確認しながら進んでいました。何せ慌てた自分が急いで読み込ませたルートですから。

しかしこの辺りは電波が弱く、地図チェックができません。GPSもイマイチでたまにミスしてないのにミスコース表示が出たりもしていて、疲労とストレスが最高潮でした。

小さなクライムで左脚を攣りそうになり、坂の途中でしばし休憩。すっかりヒルクライム苦手マンです。

ここで飲んだ水が、この旅程で自分が口に運んだものの中で一番くらい美味しかった。折り返し地点の温泉で買った水です。

クライムを上り切った後少し下って、ようやくフォトチェックの駅が現れました。

最後のフォトチェック。駅以外何もない。

今回のコース、登った後少し下った位置が折り返しポイントであることが多く、脚売り切れマンとしては腹立たしかったです。頑張って登ってきたはずなのに折り返しのときに必ず登らないとダウンヒルに入れない。ダメ押しのダメージが蓄積されます。

ここを越えてしまえば、しばらくは過去にツーリングで通ったことのある道。メンタルの回復もあってペースを上げていきます。

街中まで出てくると車が増えますが、そんなに危険は感じません。

今回、全体を通して路面はビショビショでしたが交通状況はいい感じだと感じました。

雨によってやや交通量が少ないのと、追い抜いていくドライバーさんは皆配慮ある運転をしていたように感じました。

視界が悪い分いつもより見てくれているのか、あるいは遊び目的で出かける方が少ないからなのか、この雨の中必死に走っているこちらへの同情からなのかはわかりませんが、感謝しかない。マジでこんな見通し悪い中チャリで一日中車の通行滞らせてスマンという気持ちです。

残り40kmほど。日も落ち、フロントライト1灯だと心許ないくらい暗くなってきました。

またちょっと登るたびに左脚が攣りそうになったり、ヤバい異音!→聞いたことない音だから多分フェンダー!→ボルト緩んでた!と小さなメカトラに対応しながら残りの道を進めます。

このあたりでずっと点灯で使っていたリアライトが消灯。点滅で使っていたヘルメットライトを車体に移植して点灯させて凌ぎます。

リアライトのうち、サイコンと接続できるタイプのものは、接続のモードの都合か変なパターンの点滅しかしなくなっており、原因を調査する余裕がないためお役御免状態でした。ブルベで使うならライトは多機能よりシンプルに限ります。(手元のサイコンで操作できるので往路ではトンネル通過時に大いに役立ちました)

最後の20kmくらいは完全に追い風。雨もかなり弱まってきた。状況は明らかに好転。時間も余裕あり。

こういう時にこそ事故は起こるのだと言い聞かせて慎重に前へ前へ進んで、ようやくゴール!

ビッショビショ。今までありがとう。

タイムは12:56でした。完走できて良かった。


ゴール受付と運命の悪戯

ブルベスタッフのベテランの方々が一生PBPの話をしてるのを聞きながら、呼吸を整え、ブルベカードとレシートを用意。お願いします!

スタッフさん「おっ!?やっちまったか??」

PC2で違うコンビニに行っていたため、認定外完走になりました。

えっ、マジ?

PC2は、私が1分前に滑り込んだと思っていたあのコンビニです。少し記憶を辿ってみます。

前日にPCの位置を予習するとき、ストリートビューで外観を確認してイメージを掴むようにしていました。
PC2は温泉街で分かれ道が多く、直前に小さい橋もかかっておりやや方向感覚がわかりにくくなる地形でした。
ストリートビューの画面を矢印で操作する時に方向を間違えたのでしょう。しばらく矢印を連打するとファミリーマートが出てきたのでここか!と思って次のフォトチェックの位置を確認する作業に移りました。

そして本番は、何も疑わずにストリートビューで見たコンビニに駆け込みます。本物はもう200mほど先のファミマ。
ブルベ前日にもう勝負は決まっていたわけです。

入念な下準備中にどうしてもそこだけそんなテキトーに確認したんだろう?と思っても時すでに遅し。

「今回は残念でしたけど、またチャレンジしてください!ブルベカードはお土産にお持ちください!」

ぼく「あぁーそっすかぁwハイ!」

不認定による悲しみが-500だとすると、ミスコースをしながらも完走できた安心と達成感が+50000000000000000000くらいだったので、 悲しむでもなくヘラヘラした返事をしてしまいました。


今思うと、あそこで勘違いせず正しいPC2に行っていたら、少し距離が遠くなるのでレジに並ぶ頃にはギリギリ間に合わなかったはず。

そうなると残り1分でミスコースを取り返したぞ!と喜ぶことも、認定がかかってると思ってヒリヒリした気持ちでその後の80kmを走ることも無かったでしょう。

いや待て?そもそもその前段階のミスコースをしなかったらどうだろう。

他の参加者とPCやフォトチェックでたまに合流しながら走ってPCの勘違いにも気づいて普通にゴールしていたかも。

あるいはPC2の間違いにに気づかないままずっと順調に走り続け、最後の最後での急なバッドエンドに絶望して抜け殻になっていたかもしれません。

今回の2つのミスのおかげで、一番ゾクゾクする一番楽しいパターンを経験できたのでは?と思います。これは嬉しい神様の悪戯です。


スタッフの皆さん、私の受付が終わるなりテントを片付け始めます。私が最後だった。
私のせいで少し長くこんな寒い雨の中待たされていたのかと思うと濡れた地面に額をつけて謝罪したい気分ですが、既に濡れた路面を転げ回った後くらい濡れているので感謝の意だけ述べて帰路に着きます。

10kmくらい走って家に到着。

247km???

鍛えれば300kmも走れなくない?

そういえば朝4:30から夜7:30くらいまで走ってましたが、ダラ落ちフロントライトのRN1200は最後まで点灯し切りました。素晴らしい。照度は落ちているでしょうがブルベ向きです。


あとがき

初めては一生に一度なので、超長文で綴ってみました。

一緒に走る中で声をかけて下さった皆さま、ブルベスタッフの皆さま、本当にありがとうございました。

本当に、大の大人になってから一日の間にこんな強い喜怒哀楽を味わわせてくれるブルベに、自転車に感謝です。

多分また出ます。

強い喜怒哀楽を味わえてありがとうという感想は、開店から閉店までぶっ通しでパチンコやる人も言っていたのを思い出しました。張り詰めた精神状態を長時間続けると誰しもこの感想になるのかもしれません。

終わり。