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Tenchijin New Age Blog 宇宙ニュース特集 Vol.2

天地人は、衛星データを使った土地評価コンサルを行っているJAXA認定ベンチャーです。
天地人に所属する学生インターンが、これは面白いと思った宇宙のトピックスを、定期的にお届けします。

Tenchijin New Age Blog宇宙ニュースの2回目の記事となる今回は、日本の宇宙産業から海外の宇宙産業まで、国内・海外の動向がつかめるニュースを選んで紹介していきます。

宇宙ニュースがちょっぴり楽しく感じられるような解説や、学生インターンの見解や感想もお伝えしていきます。ふらっと宇宙を覗いていくような気持ちで読んでいただければ嬉しいです。

今回は天地人学生インターンが注目した以下の4つのニュースを紹介します。

  • 国内宇宙スタートアップの「アストロスケール」、米宇宙軍から燃料補給衛星の開発を37.8億円で受注

  • H2Aロケット47号機 打ち上げ成功

  • 中国、リモートセンシング衛星「遥感39号」の打ち上げに成功

  • ドイツ、NASAの月探査に関するアルテミス協定に署名




天地人学生インターンが注目したニュース4選!

ニュース1:国内宇宙スタートアップの「アストロスケール」、米宇宙軍から燃料補給衛星の開発を37.8億円で受注

宇宙のゴミを取り除くことを目的とした日本のベンチャー企業アストロスケールは22日、米宇宙軍との間で軌道上の人工衛星の燃料を補給する衛星の開発契約を獲得したと発表しました。契約金額は約2550万ドル(約37億8000万円)で、今後設計を開始し2026年までにプロトタイプを提供する計画です。

出典:中国新聞デジタル,”米宇宙軍から補給衛星の開発受注” ,2023/9/22

学生インターンの見解
アストロスケールの事業は、スペースデブリと呼ばれる宇宙に散らばるゴミの回収です。この技術を世界的にも初期の頃から開発しているだけでなく、ゴミの回収中に通る軌道上で展開できるサービスにも取り組んでいます。

今回のような大規模な契約が結ばれることは、日本の宇宙スタートアップの実力を示すものになったのではないでしょうか。アストロスケールが米国の宇宙インフラに関与することは、日本の宇宙スタートアップとしては貴重な成功例と言えそうです。

また、アストロスケールは日本のスタートアップの中でも有数の大型資金調達を進めています。今後市場が盛り上がっていく宇宙産業として、他の産業に負けないような勢いが今後とも生まれてくるといいですね。


ニュース2:H2Aロケット47号機 打ち上げ成功

日本初の月面着陸を目指す月探査機「SLIM」などを搭載した「H2A」ロケット47号機は、7日午前8時42分に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられ、午前9時半ごろに「SLIM」を軌道に投入し、打ち上げは成功しました。

岸田首相はツイッターで、「文部科学副大臣時代の22年前に試験機1号機の打ち上げを見た。宇宙開発の競争が高まる中、主要なロケットの開発は日本の独立した宇宙活動にとって必要不可欠。この成功をH3ロケットの再打ち上げと宇宙開発のさらなる進展につなげる」と述べました。

出典:NHK,”詳しく】H2Aロケット47号機 打ち上げ成功 月探査機 軌道投入” ,2023/9/7

学生インターンの見解
H3ロケットの失敗もあったため、ある意味日本の宇宙技術が試された場面だったのではないでしょうか。実はH-IIAロケットの実績は圧倒的で、過去47回の打ち上げ中46回が成功し、成功率は97.9%となっています。

新たに搭載されるSLIMは、OMOTENASHIやHAKUTOが果たせなかった日本初の月着陸を目指しています。最近では、ロシアの「Luna-25」の失敗やインドの「チャンドラヤーン3号」の成功が話題となりました。一般的な月探査では、目標地点から10km以内の着陸が目標とされますが、SLIMは更に高度な技術を駆使し、わずか100m以内の精密着陸を目指しています。このプロジェクトが成功すれば、月や他の惑星への探査、さらには資源探査の際の高精度な着陸が可能となり、宇宙探査の新たなステージが開かれることでしょう。

打ち上げから着陸までのシュミレーションゲームをJAXAの宇宙教育センターが無料公開していました!SLIMについてもっと知りたい方や、詳細について興味がある方はぜひ遊んでみてください。


ニュース3:中国、リモートセンシング衛星「遥感39号」の打ち上げに成功

中国は17日午後0時13分(日本時間同1時13分)、リモートセンシング衛星「遥感39号」を搭載した運搬ロケット「長征2号D」を四川省の西昌衛星発射センターから打ち上げました。衛星は予定の軌道に投入され、打ち上げは成功しました。長征シリーズ運搬ロケットによる打ち上げは今回が488回目です。

出典:新華網,”中国、リモートセンシング衛星「遥感39号」の打ち上げに成功”,2023/9/17

学生インターンの見解
特筆すべき大きなニュースではないかもしれませんが、各国のロケット打ち上げの回数を取り上げるいい機会と思い、紹介させていただきます。
2022年、世界のロケットの打ち上げ回数は合計186回となり、これまでの最高記録を更新しました。この内訳を見ると、米国が78回(うち61回がSpaceX社によるもの)、中国が64回(長征シリーズが53回)と、これら2カ国が他国を大きく引き離しています。一方、日本はH3ロケットの打ち上げ延期やイプシロンロケットの失敗により、18年ぶりに打ち上げ成功回数が0となってしまいました。中国は2021年に年間55回の打ち上げで世界一位となり、米国とともに圧倒的な実績を持っています。

ロケットの打ち上げ回数は、その国の宇宙技術や経済力を示す指標として注目されています。今後、中国を筆頭に各国の動きがどのように進展するか、引き続き注視していきたいと思います。

参考:https://www.zaikei.co.jp/article/20230118/706179.html
https://spc.jst.go.jp/news/211205/topic_5_03.html


ニュース4:ドイツ、NASAの月探査に関するアルテミス協定に署名

9月14日にワシントンのドイツ大使館でドイツはNASAのアルテミス協定に署名しました。アルテミス協定では29カ国目の署名国になります。NASAのビル・ネルソン氏がNASAを代表して参加し、ドイツ航空宇宙センターのドイツ宇宙機関の事務局長、ヴァルター・ペルツァー氏がドイツを代表して署名しました。

ネルソン氏はNASAとして、「ドイツと米国は長らく宇宙分野での成功を共にしてきました。実際、ドイツの宇宙関連企業はアルテミス計画への貢献を既に果たしています。ドイツがアルテミス協定に署名したことで、この連携はさらに強化されるでしょう」と述べました。
出典:Andrew Jones,”Germany signs on to NASA's Artemis Accords for moon exploration”,SPACE.com,2023/9/16

学生インターンの見解
アルテミス協定は、有人月面探査を目指すアルテミス計画に基づき、宇宙の利用に関する基本的な原則を定めた協定です。昨年6月、宇宙開発の主要プレイヤーであるフランスがこの協定に参加したことで、同じく欧州の宇宙開発大国であるドイツの動向が注目されていました。

協定の署名国の数を見ると、2020年10月に米国や日本など8カ国が初めて署名して以来、わずか2年半でその数は増加し、最近のドイツの参加により29カ国に達しました。さらに、今年の6月にはインドもこの協定に署名し、宇宙開発の主要な国々が次々と参加しています。宇宙ビジネスの拡大とともに、国際的な協力の流れが宇宙領域で形成されることは、非常に前向きな動きと言えるでしょう。


今回は日本の宇宙産業のプレイヤーと、海外の宇宙領域での動向が掴める記事をピックアップしてみました。それぞれの企業や国での競争が行われながら、国際協調もある点が宇宙領域の特徴なのではないでしょうか。

これからもTenchijin New Age Blogでは学生インターンがピックアップしたトピックをライトに紹介していきます。これをきっかけに、皆様にとってなんとなく目に入っていた宇宙のニュースに対する彩度が上がったら嬉しいです。

天地人へのご質問・記事に関するご感想・記事の内容のリクエスト等ございましたら、info@tenchijin.co.jp までお気軽にお問い合わせください。

(学生インターン 渡邊)